問題の対処方法を検討している時間にも問題は刻々と深刻になっていく第四話
まるでアニメのオープニングか悪役の典型的な登場シーンのように現代進行形で焼けている平原の中心に立ち尽くしている。
「どうしよう」
その一言に尽きる現在の状況である。周囲は自分の魔法で文字通り焼け野原とかした上、これをどうすればいいのかすら焦っていい案が思い浮かばない。
一瞬水属性の魔法を使って消火しようとも考えたが、どれだけの水が出てきて最悪陸地でおぼれるという謎の現象が起こる可能性もあったので中止した。さて、いい案は思い浮かばないが、どうしたものか。
と、ここで一瞬、とてつもなく無責任な案を思いつく。
ここで逃げれば、クラスの奴が勝手に解決してくれるのではないか?という人間性を疑うような考えである。
「さすがにないわぁ」
自分のしでかした事を自分で解決しないのはあまりにも無責任というものではなかろうか?
かといって良案が思い浮かぶわけでもなく、只無為に時間が過ぎていく。それに比例して俺の起こした火災の被害を受ける面積は広がっていく。
ここで焦りが最高潮に達する。既に目の焦点は合わずに極度の緊張状態に陥っている。しかしそれでも出す言葉はふるえながらもしっかりとしたものである。
これは親の教えが影響しているのであろう。
『自分が軽口を叩けなくなった時こそ人間は本当に意味で余裕を失い、突飛な行動をするものだ。そして、その行動の9割は自分にとって悪い方向に向かって推移する』
小さい頃から何故かこの教えが頭にこびりついて離れないのである。
しかし、現状『余裕を持っている』とはとてもではないが言い難い。
「そうだ!風魔法で雨雲集めればいいんだ!」
これこそが突飛な考えであろう。親御さんが聞いたら呆れかえるほどの突飛さである。
しかし、これが可能な確率も確かに存在しているのは事実である。7兆越えという圧倒的な数値はそれを実行できそうな気にさせるのである。
『風よ、大気よ、我が下に集え』
クラスの魔法使いが開発した魔法である。扇風機代わりに使っていた。効果としては単純明快自分のほうに風が吹くということだ。
詠唱が終わった直後、ものすごい突風が体を包み込む。
ありとあらゆる方位から風が俺がまるで真空状態にあるのではないか?と錯覚するほどの速度で引き寄せられている。
そして、雨は降った。
洪水のように。
同じ一点に雲が集えば勢いが強くなるのは犬が西を向けば尾は東を向くのは当たり前であろう。
まぁ、結果から行くと、火災は止まった。
それと同時に、一俊は目を付けられる。
魔力の本質を理解する人間に。一目で魔法を見抜く存在に。
出る釘は打たれるというが、果たしてその釘が天に届かんばかりに巨大ならば、一体どうなるのだろうか?
このお話はまだ始まったばかりである。
伏線っぽいもの張ってみる。たぶん回収はすぐするかいつまでたってもしないかの二択だと思う。