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プロローグ

※が付いている言葉は後書きに解説を載せています。よろしければ、、、読んでください。

 戦場の音が止まない。無反動砲※で放たれた砲弾が空を裂いていく轟音、渦を巻くように鳴るヘリの飛行音、搭載されたミニガン(ガトリング銃)※が凄まじい速度で弾を吐き出し、地を抉る音が鼓膜を刺激する。


「無反動砲が効かないっ。どうなってるんだ」


「CP、ミニガンの弾も全く効かない、あいつは一体なんなんだ」


『CH01、02急ぎ、部隊を離脱させろっ、これ以上の交戦は許可できない』


「CH01了解、急ぎ着陸し……くそっ、テイルローターをやられた。CH01、墜落する、墜落する、墜落する」


 頭上で黒煙を上げるヘリが螺旋を描き、地に吸い寄せられていく中、瓦礫が濁流となって降り落ちてくる。それに呑まれそうな仲間を無我夢中で突き飛ばした後、青年はその波に呑まれた。


誰が予想できただろう、こんなことになるなんて。誰もが仮想だと思っていた世界がいつの間にか現実になっていて、自分たちを元の世界から引き離してしまった。非日常を通り越して虚ろに映っていた青年の世界は一層歪み、目の前の景色が遠のいていく。 


”アイツを置いていけるかっ、絶対に連れて帰る、連れて帰ってやる。だから、頼む。頼むから、、出てきてくれ。義弘ぉぉ”

 

 ”もうこれ以上誰かを死なせてたまるか、一刻も早くここから離脱するんだ”


 ”離脱、離脱うるせぇんだよ、この恩知らずが。さっきお前を救ってくれたのは義弘だぞ、今までだって何度お前や俺の命を救ってくれたと思ってる。今度は俺らが救う番じゃないのか、俺は此処に残ってでも探し出すぞ”


 ”俺だってそうしたいに決まってるだろ。だけどよく見ろ、この瓦礫の山に呑まれたんだぞ。奇跡でも起きなけりゃ助かりっこない”


 ぼやけて聞こえていた仲間たちの声に”此処にいる”と返事を出せぬまま気を失ってしまった吾妻義弘。彼は舞う砂塵に咳き込んでやっと目を覚ます。視界に入る周囲の瓦礫の山、自身の口の中と顔に嫌に纏わりつく砂塵、それらが彼の目線を上に向けさせた。嫌なことがあれば空を仰ぐ。それが彼の癖だった。


「くっ、」


 隙間から差し込む夕方特有の鈍い光の筋を見ながら嫌な思いに目を向けようと決心した。そして、自身の体に目線を向ける。これだけ見る限りに瓦礫が散乱している現状だ。否が応でも連想してしまうのだ。瓦礫の下敷きになっているのではないかと。


しかし、下敷きになるどころか、自身の周りには瓦礫が落ちていない。まさに奇跡。不幸中の幸いだった。肩透かし感と安堵感が同時に湧き起こるが、それに浸る暇はないと彼は急いで傍に落ちていた小銃(アサルトカービン※)を手に取り、這い出るようにして瓦礫の山を抜け、外に出る。そして、彼は佇んだ。目に映る現実が相も変わらず絶望に溢れているからである。

 彼の見る荒廃した都市、そこは亡者の大群が地獄の呻き声を響かせながら歩き回り、4階建てビル程の高さの化け物が咆哮を轟かせ、地を揺らしているような魑魅魍魎の世界なのだ。

 ハリウッド俳優顔負けの体つき、顔つきをした義弘は腕で砂塵にまみれた顔を拭いながら、目の前の光景を前に顔を渋めた。そして、この絶望を前に何度覚悟すれば元の生活に戻れるだろうかと自身の肉体に力を籠め、眼光をより一層鋭いものへと変える。何度目か分からない決意を再びその体に宿すのだ。この世界を死に物狂いで生き残り、家族の許に、元の世界に必ず帰ってみせると首に下げたお守りを握りしめ己に誓うのである。



 




  ~戦況報告書~特殊作戦群


  新種の大型亡者の襲撃により我々、分遣隊は多大なる損害を被った。かの新種の厚い外殻には7.62mmのガトリングミニガン、84mm無反動砲の対戦車榴弾では手も足も出ず、輸送ヘリ2機を失い、任務に赴いた隊員を半数も失ってしまった。なかでもアズヒロ(吾妻義弘)の死亡確認の報せは部隊の士気を大いに下げてしまっている。

しかし、我々分遣隊は悲しみに暮れる間もなく前線に赴かなければならない。携帯武器の強化を図りつつ、小火器だけではなく砲兵部隊の重火器による火力支援を要請することも視野に入れたいと思う。我々特殊作戦群は引き続き第一防衛線に近づきつつあるこの新型の弱点を探るため、偵察と情報の管理を徹底していき、必要が迫られれば特殊作戦コマンドを適用し、ガンシップ※の運用も考慮しなければならない。弔い合戦を含め、何としてでも奴を撃滅させる。  

ぽっちゃり系の高校生だった主人公がゾンビが蔓延る世界で一皮も二皮も剥けて英雄になっていく物語です。 軍事に関しての知識の幅はそんなに広くありません。作中に出てくるミリタリ―知識が正しくない場合もあるかと思います。その場合は、指摘してくださるとありがたいです(敢えて控えめな描写をしている場合もあります)。

 FPS(バトルフィール〇)が好きなので、CQBテクニックや射撃姿勢、リロードなどの描写も拘っていきたいと思っています。ミリオタの皆さん、読者の皆さん、カッコいい日本男児、大和撫子を描いていくつもりなので、気長に見守ってください。よろしくお願いしますっ。



以下は出てきた武器・兵器等の解説です。時間が許すならお読みください。


『無反動砲』


 その形はロケットランチャーに酷似しているが、機構や発射する弾の性質が大いに異なる。ロケットランチャーはロケット弾(ロケット推進弾)と呼ばれる発射後に自力で加速していく推進装置を持った砲弾を用いるが、無反動砲は弾丸を発射するための火薬(装薬)によってのみ発射される砲弾を用いる。普通の銃の構造と違い、前だけでなく、後ろ側にも力の出口が設けられているので、作用・反作用の法則によって反動が打ち消される。それ故に無反動という名称が付けられた。後ろ側から高温高圧の燃焼ガス(バックブラスト)が噴出するので、発射の際は後方に人がいないかの確認を怠らないようにしなければならない。


『ミニガン(m136)』


 口径7.62mmのガトリング銃(回転式多銃身機関銃)。内蔵したバッテリーによってモーターが動かされることによって、複数の銃身と機関部が高速回転し、毎分何千発もの弾丸をばら撒く。戦闘機や対空砲などの大口径の弾丸を用いるガトリング銃を歩兵の火力支援にも用いられるように改良(軽量化)した際に、弾薬を小銃弾(小銃に用いられる弾丸)サイズにして、小型化したことから『ミニガン』と呼称される。発射速度とその威力から怖い別称を付けられていたりもする。


『ガンシップ』


 ”天空の戦艦”。地上の味方歩兵部隊の火力支援を行うために運用される。大型輸送機などの内部に小口径~大口径の砲弾を発射できる兵器を搭載し、戦場に弾丸の豪雨を降らせる。しかし、”海上の戦艦”と違って、前方方向への射撃ができないものが多いため、側面を地面に向かって傾けながら旋回することによって射角を確保する。航空優勢(制空権)を取っていなければ格好の的になるため、某FPSゲームでは簡単に撃墜されている。


『アサルトカービン』


昨今、市街地などの狭隘な場所でCQB(近接戦闘)が行われるため、射界を素早く移動させられるような取り回しの良い自動小銃が特殊部隊などで重宝されている。その中でもよく特殊部隊などに用いられるのがアサルトライフルの銃身の長さを短縮化し、ストック【銃床(射撃する際に肩や胸などに押し付ける銃の部品)】を可変式にした”アサルトカービン”である。


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