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武神異界転生 ~己が願いの為に~  作者: 歌音
序章/武神転生
6/7

6.『武神』、可能性に賭ける。

「『勇者』か…まさか、齢100歳で勇者とは。長生きはするもんじゃ、って死んでおったわ」


猛は自分の言った事に呵々大笑する。


「ちょ、ちょっと待ってください!?」


「んんむ?」


「い、いいんですか!?『極楽』にいけるんですよ!『極楽』に行けば、大抵の願いの叶う酒池肉林!タケル様にはぴったりですよ!」


「…お主様もしかして、儂の事、色香に狂ってるエロ爺じゃとおもっとらんか?」


「違うんですか!?」


「概ねあっておるが…」


「『魔王』の棲む『世界』はまだ不安定で、凶暴なモンスターもいます!それに情勢が酷く、治安も悪い!人間に殺されるかもしれませんよ!」


「ほほぅ、まさに、ふぁんたじぃ」


「死んでしまえば『無』となるのに…あなたは何も考えずに…!?」


「まあ、待て。落ち着け」


息を切らして喋るアリスを猛は宥める。


「まず、質問じゃ。お主様…儂の『望み』を知らんのか?曲がりなりにも『神さま』じゃろ?」


「『神』だからって、人の心は読めません。そんなことできたら、もう全ての『世界』は平和です」


「そ、そうか…思うとったのと違うのう。まあ、質問を返すなら…」


猛は『にかっ』っと笑い、


「その酒池肉林の『極楽』は魅力的じゃが、聞く限り、儂の『望み』が叶いそうにもないのでな、遠慮しておくよ」


「『極楽』で叶わない望み…?そんなものが?」


「そう、まあ、それは秘密じゃ。じゃが、儂の『望み』は『魔王討伐』で叶うかもしれん。それが、第一の理由じゃ。そして…」


猛は笑ったまま、


「お主様が『優しい』からじゃ」


「えっ…」


「歳の甲じゃ。お主様の話からの所々…その『世界』の事、そして『魔王』の事を心の底から案じて居る」


元々、猛は生前、特に女子供から何かを助けを乞われた時、例えそれが、死ぬかもしれない状況でも助けていた。


ならば…この『優しい#女神__おんな__#』の願いは聞き入れたい。


「だから『儂の願いを叶える為』に、『お主様の為』に…」


猛の言葉にアリスは感動と驚愕が走る。


しかし、


「ま、待って…!それ以上言っちゃダメ…!」


「儂は『勇者』となろう!」


突如、猛の体が白く光る。


「おおっ!?なんじゃぁ!」


「け、『契約』が、受理されて…しまいました…」


アリスは、取り返しのつかない事をした、という顔をしている。


「おおっ、これで儂は『勇者』か!?」


「………」


「よっし、若返ったことじゃし!気合入れるかのぅ!」


「………」


「…もし。どうした」


ぱちん


アリスは力無く、猛の頬を叩く。


「…『契約』は、完了しました。もう変更はできません。本当に、馬鹿な事しましたね」


アリスは泣きそうな笑顔で、


「…ありがとうございます、バカ勇者様」


「ふふん。馬鹿ではない…大馬鹿なのよ」


にかっ、と再び笑う猛。


しかし、内心は楽しみでしかたなかった。


(これで…儂の『本願』が得るかもしれん。しかし、約束したし、最後の『魔王』で叶えられるよう、頑張るかのぅ)


「それでは勇者様、『討伐支援』に何を持って行かれますか?」




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