表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

プロローグ

神越優でございます。


本編『恋に愛されない男』をお読みになってくださった方は知っていると思いますが、はじめましてと言っておきます。


本編を凍結してしまい、真に申し訳ありませんでした。

謝罪のつもりもありまして、二度と書くまいと思いましたが、恋愛モノになりますが、番外編を全力で書くことに致しました。


凍結してしまったせいで、登場することなく、名前のみ出てきた、凛−


彼女が今回の主要人物です。


では、短いお話になりますが、お楽しみくださいませ。

 −なんでだろう・・・なんで・・・なんでなんだ・・・


 痛みを伴い、腫れぼったさを感じる瞼は、重く、重く、視界を閉ざそうとしてくる。無理矢理開いた視界に入ってくるのは、すっかり暗くなってしまった、冬の夕方。日本という経済大国は、豊かな技術力と、溢れんばかりの自然が表現する美しい四季を持った、諸外国からも日々注目を受けている。そんな、日本の首都、東京。その中でも、一際目立っている町がある。


 新宿区三丁目・・・歌舞伎町。


 辺りを照らすネオンの明かりが、煙草の吸殻や、平然とポイ捨てされたゴミで汚れた町を、艶やかに照らしている。咽返るような悪臭。ゴミが腐った臭い、下水道の臭い、そして、煌びやかなスーツや、お洒落な女性の、肌を剥き出しにした服等から時折香ってくる、香水の匂い。更に、この日本有数の風俗街をうろついている、欲望にまみれた人々から臭う、酒の臭いも、特徴だろう。

 欲望にまみれた、薄汚い街。だが、欲を持つ者からしたら、こんな純粋な街は、滅多に見られない。

 人は、誰しもが欲を持って生きている。食欲、睡眠欲、物欲、出世欲、性欲・・・それらを隠しもせず、堂々と生きている人々を、腫れ物のような目で見る者もいれば、共に欲望をひけらかし、思うがままに生きていく人々もいる。

 後者のような人間が集まったこの街は、かつての江戸時代に栄えた遊郭のように、歴史を持つ、欲望が集まった楽園でもあり・・・地獄でもある。


 殴られた痛みを堪え、怪我をしたあちこちの自分の箇所を庇いながら、ゆっくりと自宅を目指す。自分の同僚3人と、共に暮らす2LDKのマンションはもうすぐだ。


 −もうすぐ・・・もう・・・すぐ・・・


 血を流し、見るも無残な程にあちこちが青黒くなった顔、普段は綺麗に着こなしているスーツも、グチャグチャのシワまみれになっているのにも関わらず、すれ違う人々は、横目で冷たい視線を一瞬送るだけで、すぐにそれぞれの目的地へと向かう。


 この街で、他人との交流は、ほぼ、無い。


 いくら傷ついているからといって、心配して近寄れば、自分が何をされるかわかったものではない。だから無関心になるのが一番。自分の欲だけ発散できればいい。それが暗黙のルールみたいなものかもしれない。


 −なんで・・・なんだ・・・凛・・・


 相川翔輝、18歳の夏だった・・・ 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ