第九幕 新たな時代の幕開け
☆九尾雷丸目線
隊士も増えて、腕も上がっている。でも、十三代目の兄貴の話によると、慶喜公様が『大政奉還』というものを認めたそうだ。そのことで、僕と十三代目の霧風の兄貴、二十八代目の龍賀の兄貴と会議を開いていた。
「なんで上様は認めたんだろ?」
僕は不思議で仕方がなかった。
「相方である私でさえもわからないことです」
「相方である霧兄でさえもわかんないの!?」
「仕方がないぜよ。認めなければ、日本は殻に閉じこもったままじゃき」
あまり真面目な顔をしない龍賀の兄貴が真面目な顔をしながら言った。
「まあ、あなたの言葉も一理ありますね」
「で、新選組の様子はどうじゃ?」
「上々だよ。沖田以外わね」
「沖田君以外?何故です?」
「沖田は労咳なんだ。長くて五年、短くて三年だって」
僕はそう言うと二人は拒絶していた。
「僕はずっと沖田のそばで刀を振るいたい。でも、沖田の病は悪化していく。だけど、僕は沖田のそばを離れたくない」
涙が出そうになっていた僕を霧兄がそっと優しく抱いてくれた。沖田のそばにいたい。ずっと一緒にいたい。でも、これは夢のまた夢に過ぎないかもしれない。僕は沖田の後悔する顔を見るのが嫌でたまらなかった。
その後、龍兄は暗殺され、霧兄は自害した。それは、新しい時代、『明治推進』の開幕直後だった。
シーズン1はこれにて終了します。