第八幕 禁門の変
☆九尾雷丸目線
池田屋襲撃後、僕達新選組は蛤御門の前にいた。浪士達の計画を阻止するためだ。でも、僕は不安でいっぱいだ。なんせ、沖田と平助、山南さんがいないからね。ちょっと心配だな。
「お前、性格変わったな」
僕の隣にいる土方さんが言った。
「そう?」
確かに、左目を失ってから性格が変わっているかもしれない。
「今日は総司がいないから、俺の隣にいるんだろ?」
「バレてた?」
僕は少し笑いながら土方さんに言った。
「バレバレだ」
ドーン
土方さんと話していると、山の方向から大きな音がした。爆発音だ。
「土方さん!」
「ああ、天王山に向かうぞ!」
「はい!」
僕達新選組は土方さんの後について行き、天王山を目指した。
向かう途中、思いもよらない人物が待ち伏せしていた。でも、土方さん達には見えない。奴は妖術で姿を消しているため、人間の目では見ることができない。
けど、僕は妖だから見える。
「土方さん、止まって」
僕は隣にいた土方さんを止めた。
「どうした?九尾」
僕は橋の真ん中に立った。
「いるんだろ?出て来い」
「九尾、誰に言ってるんだ?」
土方さん達にはまだ姿が見えていない。
「人間の目では見えなくても、僕には見えるとわかって消してるんでしょ?出てくれば?」
そして、奴は僕達の前に姿を現した。
「まだ妖力が残ってたんだな。兄貴」
「お前が潰したのは片目だけだからな」
風丸は僕に目を合わせず、土方さんをずっと見ていた。
(土方さんを狙ってる!?)
「九尾、お前は下がってろ」
土方さんは僕にもう怪我はさせないと思ってる。でも、人間相手だと風丸は殺すまで戦うから、土方さんの方が不利だ。
「土方さんが出る幕じゃないよ。僕がやる」
(池田屋の時は油断したけど、あの時のようにはいかない)
「でも、お前はまだ刀が持てないはずじゃ……」
確かに、僕はまだ症状が治まってはいない。
(だけど、いつまでも過去の闇にとらわれてちゃだめだ)
僕は風丸の前に立った。
「兄貴が相手?つまんないなぁ。鬼の副長が相手だと、やる気でるのになぁ」
風丸は愚痴を吐いた。
「頭がやられちゃったら、こっちはもともこうもないからね。それに、こっちは目をやられた思いがあるし」
「兄貴、まだ遊んでんの?もう、やめたら?一族の恥じだよ」
風丸は鼻で笑いながら言った。
「やめる気はないよ。恥さらしはお前の事だよ」
僕はそう言うと、風丸の表情は変わった。
「黙れ!人間共は消え去れ!」
奴は武器を振り上げ、僕じゃなくて土方さんに襲いかかった。
「土方歳三!死ねぇ!!」
奴の姿が目に映る。
「土方さん!」
僕は奴の大鎌を斬撃器で受け止めた。
「何故だ!?兄貴。何故人間の味方をするんだ!?俺達はそいつ等に、散々痛めつけられたんたぞ!」
「確かに、僕達九尾一族は人間達に散々心も体も痛めつけられた。でも、それは昔の話だ。新選組はいい人達ばかりだ」
「黙れ!貴様ら、汚れた狼はあの世で骨をかじっていればいいんだよ!」
奴は大鎌を振り上げ、再び、襲いかかった。僕は斬撃器を引っ込めて、刀を抜き、大鎌を受け止めた。
「風丸、僕は前にも言ったはずだ。俺の悪口は言ってもいい、だが、仲間の悪口は言うんじゃねぇって!」
僕は大鎌を振り払った。
「覚悟しろ、風丸」
僕の振った刀は真っ直ぐと風丸の右目を斬った。
「これであいこだな」
風丸は震えながら、目を抑えて立ち上がった。
「覚えてろよ!」
そう言って、風丸は僕達の前から姿を消した。その後、僕は目の前が真っ暗になった。
僕は目を開けると、最初に映ったのは土方さんの顔だった。
「九尾!気がついたのか」
「土方さん、ここは?」
「屯所のお前の部屋だ。あの後、お前は倒れたんだ。二日も起きてこないから、心配してたんだ。総司も近藤さんも幹部のみんなもな」
(みんなに迷惑かけちゃったな)
「心配をかけてすいませんでした。戦はどうなったんですか?」
(って、今更だけど……)
☆土方歳三目線
「京の町は火の海にされた」
俺は九尾にそう言うと、目を閉じた。
「疲れが出たんだな。ゆっくり眠って、休めよ」
俺は九尾の布団を、ゆっくりかけた。
☆九尾風丸目線
京の町を火の海にはできたものの、俺の心は憎い兄貴のことでいっぱいだ。
「何故だ?何故、兄貴にやられた!?人間の血に染まった兄貴に、目をやられた!?何故だ!?」
俺の心はもはや、憎み、恨み、苦しさのすべてでできてる。目標はただ一つ、兄貴と幕府の犬共を殺る。
前書きを書くのをやめにしました。
~理由~
書くのがめんどくさくなってきた。(前書きを)