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狐と狼  作者: 黒崎 真琴
3/10

第三幕 浪士組入隊

 前回のあらすじ


両親を失い、孤独の闇にとらわれてしまった主人公の九尾雷丸。そんな闇を追い払ったのは、一度も会うことはなかった、壬生の狼と言われた男たちだった。そして、沖田総司は『雷丸を浪士組に入れる』という案を出した。果たして、土方歳三はどう答えるのか?雷丸は正式に浪士組に入れるのか?

 え?沖田、今、何て?

「どうです?土方さん」

「壬生の狼の呪われた狐か…面白れぇ組み合わせだな。入隊かどうか決める前に、九尾。お前、刀は使えるか?」

土方さんがそう言うと、悩む。沖田の言う通り、この人は悪い人じゃない。

「えっと…木刀なら使えるんですが、真剣はちょっと…」

そう言うと土方さんは立ち上がり

「道場の方に移動するぞ」

俺を含め、みんな土方さんの声で立ち上がり、部屋を出た。


「ここが道場?広ーい」

 着いたところは、さっきの部屋よりも広かった。壁には、木刀が飾ってあって、土方さんはそれを二本取り、一本俺に渡した。

「九尾。これからお前には俺たちの中の『居合の達人』に手合せしてもらう。死ぬことはないから、安心しろ」

死ぬことはないって…そりゃあ…木刀だからな…

「斎藤、お前だ」

「はい」

土方さんが言っていた『居合の達人』は、見るからに強そうな人だった。

「手加減はしない」

戦う気すらない。

「お手柔らかに」

渡された木刀を左で持っているということは、左構えか…俺と同じだな…

「構えて」

土方さんの声に合わせて、木刀を前に出す。その時、俺は一瞬で悟った。この人は…突きで来ると…

「始め!」

予想は当たった。彼は突きで来たが、俺はあっさり避けた。

「斎藤の突きをかわす奴が総司の他にもいたなんて…驚いた…あいつ、すげぇ」

外野がうるさいが、気にしないでおこう。

「俺の突きを避けるとは、総司以来だな」

沖田も避けたんだ。だったら、俺でも避けられる。

「隙ありすぎですよ」

木刀の先を斎藤さんに向けて、おれは『ある構え』をした。その構えを見ている外野がざわめきが起こった。

「なあ、左之さん。あれって、槍の…なんの構えだ?」

「あれは、槍を投げる構えだ。だが、あれは木刀。重さも長さも全然違う」

槍を使う人がいるのか…この構えが分かるのも当然か…まあ、俺はこの木刀を槍に変えて見せよう。そして、俺は木刀を斎藤さんに向かって投げた。

「斎藤!避けろ!」

当たる寸前、土方さんが斎藤さんに指示を出した。斎藤さんは俺が投げた木刀を避けた。当たっていて、真剣だったら、斎藤さんは死んでいるだろう。木刀なら、打撲で済む。今のおれは何も持っていない。斎藤さんにとっては絶好の隙だ。

「もらった!」

けど、こいつらは知らないし、見えないであろう。俺が糸持っているということに…糸を引っ張り、木刀は俺の手の元に戻り、そして、斎藤さんの腹にあてた。

「そこまで!」

俺の勝ちだ。

「初めて負けた。斉藤一だ、よろしく頼む」

「こちらこそ斎藤さん」

「斎藤でいい。あんたは俺に勝った男だ」

斎藤さん…いや、斎藤は目を合わせていった。

「九尾の実力は分かった」

土方さんが俺の前に来た。

「九尾雷丸。お前を正式に浪士組に入隊することを許可する。これから、よろしくな」

「はい!ありがとうございます、土方さん!」

仲間ができて、少し嬉しかった。そして、沖田の方に行った。

「これからよろしく、沖田!」

「よろしくね。雷丸」


 これから俺と浪士組の皆さんとの一緒の生活が始まります。


 母さん、今俺はすっごい幸せだよ。

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