袁術と張勲、そして黄巾党
左馬助達は山賊の砦で現代兵器を発見する。なぜ、これがここにあるのか。という疑問が左馬助やメリルを悩ませるが、答えは出てこない。とりあえずは置いていてもしょうがないので左馬助の車両として取得することにした。ついでに対戦車砲も96式につないで運んでいる。
~砦入口~
入口では雪連達が待っていた。
「あら?左馬助、それは何?」
雪連が言う
「ああ、砦の奥の倉庫みたいなところにあったんだ。これは俺らの世界にしかないものだ。」
そう言って装甲車から降りる
「ふむ、確かに我々の世界のものではないな。こんなものは見たことない」
冥琳が見ながら言う
「まぁ、どちらにしろ他に使える奴はいないしな。俺らで使おうと思ってる」
「分かった。任せる。さて、雪連、私たちも戻りましょうか?」
「そうね。全軍!凱旋よ!」
兵士たちは大きな声を出し、街へと戻る。街へ戻ったあと左馬助とメリルは車両の点検を行う
~城内部~
「ふ~む、自動装填装置、暗視装置に紫外線装置、自衛隊のものか?」
左馬助は中の装備を見ながら言った。左馬助自身も自衛隊に所属していたが、少なくともこんな高価な装置はついていなかったと記憶していた。
「と言っても、やめたのはずいぶん前だしな。もしかしたら新装なのか?分からんね。」
そんなことを思っているとメリルが話しかける
「左馬助~?」
「なんだ?」
「車両自体の点検したけどすごいわよこの車。」
「どこが?」
「エンジンは最新型の軍用エンジンだし、サスペンションも明らかに強化仕様だわ。それに武装はM2キャリバーだけど弾が徹甲弾なのよ」
「おいおい・・・・エグいな徹甲弾とか。他は?」
「あと、何のためかわからないけど、車両の色が変えられるのよ。外に出て見て」
言われた通りに出て車両を見ると数秒後に車体の色が変わった。風景の色と同化したのだ
「おいおい、迷彩効果じゃねぇか。しかもこんな高度なものを・・・・・日本製かどうかも怪しくなってきたな。」
「まぁ、有能なら使うまでよ。戦闘でかなり有利に進められるわ。」
「まぁ、そうだな」
そんなことを話していると雪連に呼ばれる
「あっ左馬助、こんなところにいた。探したわよ~」
「ん?何かあったのか?」
「ちょっと、付き合ってくれる?袁術が貴方達に会いたいって言ってるのよ」
「あなた達って私も?」
「ええ、とにかく来てくれる?」
「了解、行こう。メリル」
そう言って雪連の案内で王宮の間に通される。そこには冥琳の他に二人の姿があった
「袁術、連れてきたわよ~」
雪連がめんどくさそうに言う
「おお!お主たちじゃな!左馬助とメリルというのは!」
玉座に座る少女が言う
「ああ、そうだが」(おいおい、ガキンチョじゃねぇかよ・・・・・)
「そうよ」(お子ちゃまね~子供は苦手だわ)
「で?俺らになんか用か?」
左馬助もめんどくさそうに言う
「うむ!よくぞ聞いてくれた!お主ら、我らの所で働かないか?」
と笑顔で言う袁術
「はぁ?」
左馬助は首をかしげて言った
「ちょっと、袁術、どういうつもり?左馬助は私たちの仲間よ?」
「うむ、有能と聞いてな!二人はそちらにいるよりもこちらのほうがしょうに合ってると思うてな!二人が居れば天下は我らのものじゃ!もちろん、褒美はたくさん出せるぞ!のぅ?張勲」
と満面の笑みで言う
「はい~こちらでの褒美は他の兵士より上乗せに致します~その他諸々の保障もいたします~」
とバスガイド風な少女が言った。彼女は張勲という
「どうじゃろうか?お主らはもちろん、来るであろう?」
「左馬助・・・・・」
雪連が心配そうな顔で言う
「断る」
「「は?」」
二人は声を揃えていった
「断るといったんだ。俺は傭兵だ。金さえ貰えばいいと思ってる。だがな、ふざけた物言いで人を釣るなんて奴には俺は絶対につかない」
「右に同じく、いくら戦争の火種だろうとね。こっちはふざけて戦争をしてるわけではないのよ。思想を持つ人間に対して武器商人として武器を販売する。簡単にお金で釣るような人には付いていかないわ」
「それにな。この街の民を見たか?皆幸せそうにしてたか?少なくともしてないだろうな。お前らの無駄使いで民衆を苦しめるような奴にはついていく気にもなりゃあしない。交渉は決裂だ」
そう言って出ていこうとすると袁術の護衛が左馬助とメリルを取り囲む
「貴様ぁ!!袁術様に対する愚弄、許さんぞ!」
兵士が言う
「おっやるってのか?いいぜぇ?戦いは楽しむもんだ。メリル、準備運動と行くか?」
そう言って指の骨を鳴らす左馬助
「めんどくさいわね~あんまり動きたくないんだけど。仕方ないわね。楽しい楽しい戦闘ならば」
めんどくさそうに言うメリルだったが口元は笑っていた
「貴様らぁ~!!!もういい!この場で斬首だ!ゆけ!」
隊長らしき人物が言う。
すると他の兵士が槍で突いてくる。左馬助はかわし、槍を掴んで持っていた兵士を倒し、2~3人を吹っ飛ばす。メリルは素早く懐について近接戦闘をやる。もちろん殺すつもりなどない。全て峰打ち、または気絶させる程度だった
ものの数十秒で兵士たちは全滅、左馬助達は無傷で立っていた
「ふぅ、こんなものか。だらしねぇし」
「ほんと、兵士かどうかでさえ疑いたくなるわ」
二人が言う
玉座にいる二人は口を開けていた
「これで分かったろう?俺らを引き込むなんぞ無駄だ。今の俺らの主は孫・伯符、ただ一人だ。」
そう言って袁術を睨む
「ぴぃーーー!!!!」
袁術は悲鳴を上げる
「さっさと出よう。ここの空気は悪すぎる。あっそうそう。張勲だったか?」
「な、なんでしょうか?」
震えながら左馬助を見る
「あんたは頭が良さそうだから言っとくが、この後にも何か送ってくるようなら・・・・・・・そん時は覚悟しておけ。」
「分かりました!」
「後、孫策ちゃん達にも支援はするようにね!」
メリルがついでに言った
「は、はいぃぃ・・・・・」
そう言って左馬助達は王座の間から出ていく。雪連達もそれに続いた
~中庭~
「あっはっはっは!!!袁術のあの怯えた顔たまんないわ~~!!」
笑いながら喋る雪連
「全く、一時はどうなるかと思ったぞ。」
冥琳が言う
「すまんすまん。ちょっと、お子様的な考えに反発しちまってな。」
葉巻を吸いながら言う左馬助
「同じく、ほんと子供は苦手だわ」
メリルも葉巻を吸っていた
「よく言ってくれたわね。左馬助、ほんとにありがとう」
雪連は笑顔で言う
「なぁに、雪連達は俺らの命の恩人だしな。会っていなかったら彷徨ってどうなっていたか分からんし」
「そうよね~いくら武器があるとは言え、さすがに無理があるわ」
「だが、残ってくれたのは事実だ。本当にありがとう」
冥琳も言ってお辞儀する
「よしてくれ。俺はただ単に面白い方にいるのが良いだけさ。あっちじゃあ窮屈になりそうだからな」
「そうね~いくら、金をもらおうと自由に動けないのは私も嫌だ。だからこそ、こっちを選んだまでよ。」
「だが、この後がどうなるかだな・・・・・いくら、俺の睨みがあるとは言え何もしない袁術じゃないだろうよ」
「そこは大丈夫じゃない?とりあえず、内乱は起こしたくないはずだし」
「それよりも洛陽の方でちょっとした噂があるみたいだぞ?雪連」
冥琳が言う
「え?何何?」
雪連も興味津々に聞き入る
「山賊で黄色の鉢巻をつけた賊がいるのは知っているか?」
「・・・・・もしかして、黄巾党か?」
左馬助が言う
「黄巾党?」
メリルが言う
「ああ、確か張角を筆頭とする宗教団体だったはずだがな。こっちじゃあどうなってるんだ?」
「うむ、その黄巾党とやらは勢力が急に広がってきていてな。我々にも討伐命令が出ている。雪連どうする?」
「もちろん、参加しないとね。我々の名前を広げるいい機会だわ。」
「決まりだな。蓮華様やほかの武将にも早急に手紙を送るとしよう。」
「なら俺は整備をちゃっちゃと済ませないとな」
「私は武器の搬入を早くさせるわ」
そう言ってそれぞれの仕事に取り掛かるのであった