要人救出
二人は山賊がいると思われる砦に着いた。しかし、その頃には夜になっていた。トラックは近くに置いて暗視装置で門を見る
「見張りは・・・・・四人。正面は無理かね」
左馬助が言う
「そうね。中の様子が分からない以上無闇に手出しはできないわね。それにしても・・・・・・」
「メリルも気づいたか。奴らの武装」
「ええ」
二人が不審に思ったのは山賊の武装だった。布切れの衣服に刀または弓矢といった感じで現代兵器である銃が一つも目に付かないことだったのだ。ましてや砦ともなれば門前に重機関銃などが置いてあってもおかしくないのだ。少なくとも現代においては
「こりゃあ、何がどうなってるのかほんとに分かんねぇな。」
「そうね。現代世界のどこを探したってこんな古風な武装している所はまずないはずよ。ましてや山賊とかね」
現代世界においても山賊や盗賊はいる。しかし、そのどれもが銃器類を持っている。左馬助達はそれが気になってしょうがなかった
「とりあえず、この問題は後だ。今は要人救出に集中しよう」
「そうね。砦の北西に全体を見晴らせる場所があるみたいだから、そこに行きましょう」
そう言って二人は場所を変える
~高台~
二人は高台で中の様子を探った。中には数十人の山賊が宴会をしていた。その奥に牢屋があった
「奴らは宴会の真っ最中だな。奥に目標がいる。少なくとも十数人がいる」
「女の子をあんな所に閉じ込めておくなんて許せないわね。どうする?作戦は」
「最初は隠密で行こう。正面の見張りをやって気付かれなければC4で門を破壊。そのあとはトラックの銃座でやっちまおう。銃座は使えるんだろ?メリル」
「えぇ、オートにも出来るわ。あのトラックも改造したばっかりだから多少荒くしても問題ないわ。」
「OK。それじゃあ開始だ」
そう言って二人は歩き出す
~門前~
「ふわぁ~ねみぃ~ったく宴会に混ざりたいもんだよ全く」
見張り台の上で欠伸をしながら愚痴る山賊が言う
「仕方ないさ。官軍がいつくるか分からんしな」
「そうは言ってもよぉ~俺たちだって混ざりたいのは本音だぜ?」
「ハハッ違いない・・・・・・」(ドサッ)
「ん?おい、どうし・・・・ぐっ」(ドサッ)
見張り台の山賊は二人とも倒れた頭には銃弾の穴があった
「ヒュゥ~。やるわね。二人共死亡よ。」
「訓練の成果だな。さて・・・」
そう言って残りの見張りも殺して様子を伺う。中からは笑い声が聞こえてきていた
「大丈夫みたいね。とりあえずC4を付けちゃいましょう。」
「ああ、向こう側にも見張りはいたからなさっさと付けよう」
そう言って二人でC4爆薬を扉に付ける。メアリーは戻って運転席に付き、エンジンを動かす。左馬助は荷台に乗りオートになる銃座とは別の銃座に着いた
「OK。いつでも行けるわよ。左馬助。派手にやっちゃって!」
「オーライ。でかい花火でも上げるとしまひょうか」
そう言って手元のリモコンを押す。すると・・・・・
[ドゴォォォォォォォン!!!!!]
爆発と共に門が破壊され、中では大騒ぎになっていた
「いっくわよ~!」
そう言ってアクセルを踏み、中に侵入する。突然の乱入者に慌てる山賊、ましてや自分たちが見たことのないものが侵入してきたとなって騒ぎが大きくなった。一斉に弓矢などで攻撃するが効くはずもなかった。
「な、なんなんだよぉ!」「わかんねぇ!とにかく攻撃だ!」「親方呼んでくる!」「くらえぇ!!」「ひぇぇぇ!!!」
必死に戦おうとする者、怯えてしまって役に立たない者など様々な反応が出ていた。しかし、メアリーのトラックは留まることを知らない。そして、銃座の二つがそれぞれに向き、射撃を開始していく。因みに搭載してあるのはM134と呼ばれる重機関銃で通称ミニガンと呼ばれるものだ。それが、人に当たったらどうなるかは察しがつくだろう。木端微塵、その言葉に尽きる。戦闘開始から数十秒で周りの山賊は全滅していた。あたり一面血の海だった。
「よっと」
安全を確認して左馬助がM870で周りを確認しながら運転席に近づき、合図を送る。運転席からメリルが出てきた。手元にはM240軽機関銃を持っている。
「て、てめぇらか!襲ってきたのは!」
「ん?」
振り向くとそこには大柄な男と数人の部下であろう山賊が剣をこちらに向けていた
「あんたがこの山賊の親分なの?」
「ああ、そうだとも!ここら辺で暴れてるのは俺様だよ!よくも部下をやってくれたな!てめぇらはただ殺すだけじゃあ物足りねぇ、生きたまま生皮を剥いでやる!」
「おぉ、怖い怖い。だがな、やれるものならやってみろってんだ。」
「このやろう!!!」
そう言って部下の一人が左馬助に突っ込んでいく。が、左馬助はギリギリまで引きつけてM870の餌食にした。撃たれた反動で山賊は吹っ飛ばされ親分の近くに転がった。体に大きな穴が出来ていた
「前から突っ込むだけじゃあ意味ねぇんだぜ?」
「ひ、ひぃぃぃぃ!!!!」
その他の部下が逃げようとしていた
「あら、簡単に逃げられると思ってるの?この鬱憤は晴らさせてもらいますわ」
そう言ってM240を逃げた部下たちに向けて射撃する。ばらまかれる弾幕が一人、また一人と倒れていき絶命する
「さっ、残るはあんただけだ。どうする?」
「た、助けてくれぇ!!この通りだァ!!!」
そう言って土下座をしながら謝ってきた。左馬助はそれを確認すると牢屋の方に向かった。親分はニヤリと笑い、近くにあった剣を取り左馬助に突撃した
「隙を見せたな阿呆が!!!」
「阿呆?それはてめぇの事だな。あばよ。クズ」
そう言って左馬助はサブで装備していたDEを使って射撃する。心臓のど真ん中に命中し、親分はそのまま倒れた
「━━━━!!」
親分は声にならない叫びを発していた
「おや、こいつを食らっても生きてるたぁ驚きだ。」
そう言って親分の体を転がし左馬助の姿が見えるようにした。
「なら、全弾受け取ってもらおうか。」
そう言ってDEのマガジンにある全ての弾を使い切った。
「あらぁ、酷いわね」
「何言ってるんだよ。逃げる奴に射撃する奴が言う事じゃねぇよ」
「ごもっともで。さっ開放してあげなくちゃ彼女たちを。」
「ああ」
そう言って二人牢屋に向かい、牢屋の鍵を壊す
中にいる少女たちはすっかり怯えきってしまっていた。
「お、おねぇちゃん達だれ?」
「大丈夫よ。貴女たちを迎えに来たのよ。さっ村に帰りましょう」
「他の所も開けてくるわ」
そう言って手分けして牢屋を開ける。数は数十人だった。その中の一人の女性から代表して礼を言っていた。全員青年のいた村人だそうだ。そして、翌日には村に到着した
「よぅ青年」
「あ、あんた達は!それに女たちまで!」
「ああ、取り返してきたよ。ついでにあんたたちの金品類も持ってきた。」
「ほんとに・・・・・ほんとにありがとうごぜいます!!!!」
青年は涙を浮かべて言った
「よせやい、人として当然のことをしたまでだ。それにしても他の生存者もいたようだな」
「えぇ、生きてる奴を探してなんとかこれだけ見つかりましただぁ。そういえば名前を聞いてなかったでさぁ」
「名前か?俺は赤城 左馬助」
「私はアリシア・メアリー」
「おふた方本当にありがとうございますだ!」
「そうそう。ここかどこか分からないか?青年」
「ここですかぃ?ここは荊州でさぁ今は、袁術様が太守でさぁ」
「荊州!?」
左馬助が驚く
「どうかしたの?左馬助」
「あいや、とりあえず、分かった。俺たちはまだ、出発はしないから何かあったら声をかけてくれ。メリル来てくれ」
「?分かったわ」
そう言って二人は村の近くにトラックを止めておちつくことにした
人物紹介
赤城 左馬助
歳 二十(詳細不明)
傭兵稼業で各地の戦場を飛び回っていたがとある任務で罠にハメられてしまい。異世界に飛ばされる。メアリーとは仕事仲間で飲み友達、基本的に人に頼られると断れない性格だが、どうしようもない救いようがない人間に対しては容赦しない。また、戦闘を楽しむ癖があり刺激がなければ楽しみがないと思っている人間である
アリシア・ウラル・メリル
歳 二十(詳細不明)
敏腕の武器商人で金さえ貰えればほかは特に興味がない仕事柄で各地の戦場で商品を売っている。愛車の装甲トラックにて幾度の危機を乗り越えた。そのおかげで自宅は豪邸ばりの広さを持っている。酒と金、銃があればほかはいらないと思っている。普段はめんどくさそうなことには首を突っ込まない主義だが、自分や左馬助の効きが迫っているときは誰よりも動くのが早い(ただ単に飲み友達が居なくなるのが嫌なだけである)銃さばきもいっちょ前である。彼女も戦闘になれば少々性格が変わる