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一章5話 なんとなく魔物討伐?

「以前見つけた大型の魔物の死体はメガロスアルクで間違いないようです」


「そう、やはりこの辺りには生息しない魔物ですね、誰かが連れてきたのでしょうか?」


「分かりませんが、編成した調査隊の報告で、大型の鳥の魔物の巣と思わしき物を発見したと報告にありました。その場は巣を破壊するだけで留まり魔物自体との遭遇は無かったようですが、早急に手を打つ必要が有ると思われます」


「大型の鳥の魔物も月詠(つくよみ)の森には生息しない魔物ですね、同じ時期に生息しない筈の魔物が二種も発見される・・・良くない傾向ですね、早急に対策を練りましょう」


シルバーリーフ城の城壁を東へ抜けて直ぐ広がる森を、月詠の森と言います。そこに、以前報告にあったメガロスアルクに加え大型の鳥の魔物・・・最近の隣国の動向も気になりますし、注意しないといけませんね・・・



____________________________________________________________________


暇を持て余し街に出た俺は、街の東の森の方から黒い魔物が出て来て子供が襲われたと聞いて、森の中に単身で乗り込んだ。

子供のことはどうでも良かったが黒い魔物を腕試しの相手にすることに決めた。


「キャウン!!」


飛び掛ってくる犬を避け際に横腹に拳を叩き込む、面白いように吹き飛び木の幹に叩き付けられ動かなくなる。


額に角の生えた青い犬(ホーンドックと言う魔物らしい)、始めに遭遇したのは1匹だったが、様子を見てるうちに仲間を呼ばれたため増えて全部で8匹で襲い掛かって来たが、今ので残り3匹・・・


ぬるいな、まぁどこにでも居るような魔物らしいし仕方ないか・・・


う~ん、こいつ等じゃ全然腕試しにならないなぁ、早く問題の黒い奴を見つけないとなぁ・・・


残りの3匹も殴り飛ばして更に森の奥に進むことにした。



この森に居る魔物は然程強くないみたいだな、


トカゲが巨大化したような奴、猪と狼が合わさったような奴、それらは出会って直ぐ殴り飛ばした(また仲間を呼ぶような奴なら厄介だからな)。

芋虫みたいな奴(でかさが一抱えくらい有る)に遭遇した時はさすがに殴りたくなかったから、落ちてた石を全力投球してみた、そしたら四散しやがった(案の定紫色の変な液体を飛び散らせながら、殴らなくて良かった~)。


「・・・ここどこだ?」


やべぇ、俺迷ったか?調子に乗ってどんどん進みすぎたな、今居る場所がどの辺か分かんねぇ。


で、そんな時に限って問題の黒い奴に会うしな・・・


そいつは、まぁ一言で言えばゴーレムだった。全体的に黒い岩で出来た人形、大きさは俺と同じくらいだが手足がやけにでかい、こんなのも居るんだなぁ。


「ご?」


あ、気付かれた。


「よぉ」


挨拶している場合じゃないな、さて硬そうだし強化して鉄血(アイアンブラッド)で拳を硬化(キョウカ)っと・・・


「ご~~」


ん?手を振って挨拶を返して来た?それに敵意をまったく感じないぞ・・・

強化は解かずにちょっと様子を見るか?


「えっと、俺の言ってること分かるか?」


「ご!」


力強く肯く黒ゴーレム・・・まじか?


「えっと、シルバーリーフの街で子供に怪我させたのってお前か?」


「ご~」


しょんぼりと肯く黒ゴーレム、認めたな・・・でも凄く申し訳なさそうだ。


「ふむ、態とじゃなかったとか?」


「ご!」


当たりっぽい反応を返して来た。


え~、面倒くせぇ、ぶっ飛ばして終わりだと思ってたんだけどなぁ・・・


こんな森の奥に居るのもそれでか?まぁ、反省してるみたいだし良いか、ほっとこう。


「うん、じゃぁ、まぁいいや、俺もう帰るから今後は気い付けろよ」


「ご~」


手を振って別れを告げる普通に見送られた。


さて、どうやって帰ろうかな、道は分かんねえけど少し跳べば城の方向は分かるし、適当に行くか。


―ドシドシドシ―


ん?足音?


「ごっ!」


ある~ひ~ もりのなか~ ゴ~レムさんに~ であ~た~


じゃなくて!黒ゴーレム付いて来たな。


「どうした?」 


「ご!ご~ごごご!」


身振り手振りで何か伝えようとしている、ん~?


「森の出口まで送ってくれるのか?」


「ご!」


・・・こいつ良い奴だ、こういう奴は嫌いじゃない。


「ご~~」


森の出口まで送ってもらい、大きく手を振り見送ってくれる黒ゴーレムに手を振り返し別れを告げる。


「さて、ちょっと調べてみるか・・・」


俺はそのまま黒ゴーレムの噂を聞いた辺りに戻ることにした。




とりあえず噂話をしている人が居ないか確認・・・居た、近付いて話を聞く。


「ああ、森の近くで遊んでた子供が怪我したらしいな・・・」

「その子供の親が偶然通りかかって、森に逃げて行く黒い魔物を見たって話だぜ・・・」


「その子供、今はどうしてるんだ?」


噂話をしていた二人の男性に声をかける。


「ん?ああ、怪我は大した事無いって話だから、今頃普通に遊んでるんじゃないか?」


「ふ~ん、その子の親ってどんな人だ?」


「父親は城勤めの騎士だよ真面目で正義感の強い人だ、今は遠征で他の地に行ってるけどな。

母親は一言で言えば優しい人だよ、ちょっと心配性なトコが有るみたいだけどな」


ふむ、あの黒ゴーレムなら故意に人を傷付けることも無いだろう、なら子供が怪我したのは事故ってこと・・・怪我も大した事無いみたいだし、母親が心配しすぎて話が大きくなったってトコか?


「うん、だいたい想像できた、ありがと」


「ん?おう、じゃぁな!」


さて、どうするかなぁ、正直面倒になってきたし帰るか?黒ゴーレムも森で静かに暮らしてりゃいいだろ・・・


ん?何だ?さっき俺が戻ってきた森の入り口辺りに人が集まってるな、ちょっと行ってみるか・・・



「では、お願いします」


「おう、俺らに任せときな!」


俺が着いたとこで丁度話が終わったらしく女性1人を残して、他の武装した者は皆森の中へ入っていった。



「何かあったのか?」


まぁ、しょうがないので残った女性に聞いてみる。


「あら?貴方も冒険者?ならうちの子を襲った魔物の討伐を手伝ってきてくれないかしら?」


あぁ、こいつが怪我した子供の母親か、黒ゴーレムの討伐に冒険者を雇ったのか?


女性に適当に受け答えして森に再び入る、さて、黒ゴーレムのとこに先回りできるかな?



しばらく進むと前方に子供の後姿を見つけた。なんで森に子供が居るんだ?死にたいのか?まぁ、異世界の子供だし実は凄く強いのかもしれないが・・・見たところ何の武装もしていないな。


「おい」


「うわぁぁぁぁ!!」


普通に近付いて(背後から)声をかけただけなのに凄く驚かれた。


「ぁぁ?おあ?・・・あ、あんた冒険者か!?」


「違う」


きっぱりと否定して子供の横を通り過ぎる。声をかけておきながら素通りって、俺も対外だな・・・


「え?あ、ちょっと待ってよ!」


「断る!俺は急いでるんだ!」


「くっ!」


子供は慌てて俺を追い抜き、俺の前に立ち塞がる。


「なんじ、たけるしゃくねつの赤

 わが手につどいし炎は矢となり

 敵を・・・」


これは・・・魔法か?!


「つらぬけ・・・」


気付くのが遅れた、子供と俺の間に火の矢が数本現れ浮かんでいる。


油断した、こんなガキでも魔法を使うのか・・・ちっ、そういえばリリカもやってたな・・・


この魔法にどれほどの威力が有るのか分からないが、火の矢なんて食らったら、いくら俺でも無事じゃ済まないのは一緒だ、直ぐに足に強化をかけ避ける準備をする。


「あんたをこれ以上クロの所へは進ませない!諦めてさっさと帰れ!」


クロ?何の事だ?俺をこれ以上進ませたくないみたいだが・・・


「俺以外にも先に進んだ奴が何人か居るが、そいつらはいいのか?」


「な!ほんと!?急いでクロを逃がさなきゃ!」


慌てて火の矢を消して森の奥へ駆けて行こうとする子供、後からその襟を掴み止める。


「ぐえ!ゴホゴホゴホ」


首が絞まった、当然か?咳き込む子供。


「悪りぃ大丈夫か?」


「いきなり何すんのさ!」


いやいきなり魔法で脅してきたお前に言われたくない。


「子供がうろつくのは危ないし、良く見たら怪我してるみたいだし、お前もう帰れよ」


さっき子供が手を翳した時に服の間から、腕に包帯を巻いているのが見えた。


「イヤだ!クロがやられる前に逃がさないと!」


「そうか、まぁ勝手にしろ」


面倒なので放置することにした。俺だって急ぎの用事が有るんだ、こんなガキにいつまでも構ってられない、森の奥に駆けて行くガキを見送り、俺も黒ゴーレムを探して進む。





「ご~~!!」


しばらく進むと聞き覚えの有る黒ゴーレムの声がした。


「向こうか!」


危機的な声だったので急いで声のした方へ向かう。


少し開けた場所でさっきの冒険者と黒ゴーレムが対峙していた。黒ゴーレムの身体に煤けた様な跡が有る、魔法か?既に戦闘が始まっている?


こっそり逃がすのは無しになったな、仕方ない、ちょっと暴れるか・・・


身体に強化をかける、鉄血(アイアンブラッド)で拳と脚を硬化(キョウカ)


人数が多いけど基本の身体強化と防御強化の鉄血(アイアンブラッド)でいけるだろう、っと、ぐずぐずしてると黒ゴーレムが囲まれるな・・・


対峙する冒険者と黒ゴーレムの間に割り込む。


「「「な!」」」

「ご!」


突然割り込んだ俺に驚く両者、俺は冒険者達に向かい対峙する。


「あ~なんだ、おっさん等、とりあえず帰れ」


「邪魔するのか?悪いが俺等も仕事なんでね、そこを退いてもらおうか」


「ったく、いいじゃねぇか、子供の怪我も大した事無かったんだろ?こいつも反省して森の奥で大人しくしてるんだ、依頼者には倒したって報告すればいいだろ?」


「そうはいかない、そこの魔物を倒すのが今回の依頼だし、嘘の報告をするのは信頼に関わる、それに、そいつが実際に子供を傷つけたことに変わりは無い」


っち、頭の固い事言いやがって、()るか・・・いや、そうしても別の奴が来るか、なら黒ゴーレムを別の場所に逃がすしかないな。この近くからいなくなれば追っても来ないだろう。


「はぁ、面倒だけど・・・引かないってんなら仕方ない、俺と()るか?」


今日は魔物と戦って腕試しするつもりが・・・いつの間にか冒険者と()ることになっているな。


まぁ、冒険者(こいつ等)相手にどこまで()れるか試すのも悪く無いか・・・


黒ゴーレムにさっさと逃げるように言って俺は冒険者達と対峙する。


「覚悟しろ、生半可な力じゃ俺の相手は務まら無ぇぞ」


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