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二章12話 預言書2


深紅の魔王の二つ名で知られるリョウについて気になることがあったので、ルージュに帰った僕は、フレイムロウ城に保管される紅の預言書の写本を探していた。

僕たちの使う物とは別の文字で記されたそれを解読できる者はルージュには居ませんが、昔誰かが内容を断片的に解読した物があり、それに似たような言葉が出てきていたように思う。


紅の魔王、その他にも黄金の魔法国、九国の破壊と気になる言葉が続いていました。


魔王とか破壊とか明らかに良くない言葉が続くので、預言書にあまり良い印象は受けていません、一度しっかりと調べてみましょうか、どうもリョウの存在は気になります。


あれだけの力に、この大陸ではシルバーリーフの血筋にしか現れない銀髪、それだけあればもっと早くに噂などでその存在が知れていても良いと思うのですが、誰に聞いてもいつの間にか城に居たとしか返って来ません、深紅の魔王などと呼ばれその名前が知れたのも先の戦いからです、リョウの過去を知る者も聞き込みの結果誰も居ませんでした。


まぁ僕は預言書の魔王がリョウでは無いと思っていますけど・・・

シルバーリーフで過ごした数日友人として接しているリョウは確かに直ぐぶっ潰すとか言っていたけれど・・・

彼は自身の少し特殊な決まりごとを()って行動しているようだし悪意有る存在には見えない、敵対するとその限りではないでしょうけど・・・


「兄様?預言書なんて持ち出してどうかしたんですか?」


戦時中は忙しそうにしていたエルだけど今は戦争も協定という形で終わり、だいぶ楽になっているみたいですね。


「少し気になることがあってね、写本の方は有ったんだけど、以前に誰かが訳した方はどこにあるか知りませんか?」


「・・・確か、父様が病に伏せる以前に自室に持って入るのを見かけましたよ」


エルは少し考えた後そう答える、父さんの部屋ですか・・・父さんは病に伏せってからは一日の大半を眠って過ごしている、あまりにも変化が無いので最近は見舞いに行くことも少なくなっていましたが、いってみましょう。


「ありがとうエル、探してみるよ」





預言書を手に父さんの部屋を訪れる、数人のメイドが父さんの看病をしていたけど、僕が来ると部屋を出て、僕と父さんだけにしてくれる・・・


しばらく父さんの様子を見た後預言書の訳本を探し始めた。


探し出すとあっさりと机の上に置かれているのを見つけた。


「ライネスか?」


本に手を伸ばしたところで背後から声がかかる、今この部屋には僕と父さんしかいないので必然的に父さんに声をかけられたということになる。

振り返ると父さんがベッドの上で身を起こしこちらを見ていた。


「父さん、起きても平気なのですか?」


「あぁ、随分と心配をかけた・・・ずっと何かに取り付かれているような感覚があったんだが、数日前からそれがパッタリ無くなった・・・とにかく今は段々快方にに向かっているよ」


以前と比べだいぶやつれているけど顔色も悪くない、調子が良いのは本当のようですね。


「それは・・・預言書か・・・」


「はい、少し気になることがあったので、借りていって構いませんか?」


「好きに待って行け、それと私が伏せっている間に起こったことを教えてくれないか?今この国はどうなっている?」


兄さん達が死んだこと黙っている訳にも行きませんよね、でも、調子の良くなりだしたこの時期に言っても良いものでしょうか?また寝込んだりしないか心配です。


「すみません、今は急ぎますので、後でエルナスに来させますから彼女から聞いてください」


ここはエルに任せておきましょう、僕が下手に話すよりは上手くやってくれるでしょう。


「ライネス、預言書に書かれている事は未来に起こりうる可能性だ、絶対じゃない。私は今回の自分の病に作為的なものを感じている、何か起こるかも知れんから預言書の内容をしっかり読んでおけ、悪い未来を予め知っておけばそれを回避する為に動けるからな・・・」


「はい・・・」


預言書の訳本を手に父さんの部屋を出る、とりあえずエルの所に相談に行かないといけませんね。



「父様が目を覚ましたのですか?」


「うん、だから兄さんたちのことをどう話すか・・・」


「相談に来たのですね、分かりました。父様へは(ワタクシ)が上手く話しておきます」


「ありがとう」


「あぁ、それと、来月フリージアで開かれる武闘大会ですが、ルージュからも特別枠で2名選出しなければなりません、兄様にも来賓としてフリージアに行ってもらいたいのですが・・・」


武闘大会、もうそんな次期なんですね、

様々な種族の入り混じる自由都市フリージアで5年に一度開かれる武闘大会、ナインティリア大陸全土から腕に自信の有る者が集まり優勝を争うその大会に、ルージュやゴルド、他の国には各2名ずつの特別(シード)枠が与えられる、当然国が選手を出すかどうかは自由なんですが、今回は先の戦争の事が有りますからね、こういった事に参加しておくにこした事はないでしょう。


「分かったよ、特別枠の2人の選出は任せてもいいかな?」


「はい、まかせてくださいな」



エルと別れ、自室に戻り預言書を読み始める。


やはり訳本に書かれていることだけでは断片的にしか内容が分かりませんね、どうにかして自分で預言書を解読する必要が有りそうです。


自室で出来ることはもう無いと、書庫へ向かうことにした。


預言書の文字は僕たちが使う物とはまったく異なる文字、かといって古代言語や魔法文字とも違う、とりあえず預言書の文字が何の文字なのかを調べる所から始めないといけないようです。


来月(武闘大会)までに終わるでしょうか?先は長そうですね・・・


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