表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/37

二章11話 国取り、巻き込まれた男


「ん?って事は離宮(ここ)から出ても問題無いって事か?」


終戦から数日経ち、いつもの修練の合間、先日の供血によってリアの消魔体質が、リアの意思で入り切り出来るようになっていることを聞かされた。


「そう言えばそうね、でも誰かが監視してるだろうから出られないと思うわ」


「俺らが逃げたら追いつける奴なんてそう居ないと思うぞ」


吸血鬼(オレ)の身体強化はこの世界でも結構規格外だからな、劣化版とは言ってもリアの身体強化も規格外なのに間違いは無い。


「でも、姉さんにも迷惑かかっちゃうしね・・・」


・・・・・・・・・色々面倒だな、とりあえず潰すか。


「ちょっと出てくる」


「え?う、うん分かった」






マナの自室のドアを勢いよく開ける、ノックを忘れたけどまぁ良いか、

破砕しそうな音を立ててドアが開いたことに驚いたマナとフィリアがこっちを見る。


「よぉ、色々潰したいんだけど、ちょっと良いか?」


「ちょっと良いか?じゃありません!扉を壊す気ですか!?」


悪いな、ちょとイラついてるんだよ。とりあえず前に俺がリアに供血した(やった)ことでリアが消魔の力を制御できるようになったことを言う。


「だからリアを自由にさせろ、まぁ拒否してもいいぞ、

最初にお前らを物理的に潰すことになるだけだからな」


「何を言って・・・」


「そうですか、マテリアが・・・リョウイチさん有難うございます。

しかし、彼女を自由にするには色々と面倒な人たちを何とかしないといけません」


マナは俺の話を聞き現状の問題点を言ってくる、でも俺は最初に言ったぞ。


「だから色々潰したいって言っただろ?誰を殺ればいい?それだけ教えろ」


「殺す必要は有りませんけど、丁度いいですね、

リョウイチさん私たちに協力してくれませんか?」


マナから話を聞くと、この国の王は当然マナたちの父親なのだが、こいつがとんでもない愚王らしい。

それをいいことに、大臣や閣僚がやりたい放題なんだという、マナたちは王が馬鹿なことを言い出さないように押さえるのが精一杯で、大臣達にまで手が回らなかったそうなんだが、最近何かと問題が起こるのでそろそろ限界を感じていたんだと・・・


「ですからこの国を取ろうと思います。協力してくれませんか?」


「マナが王になるってことか?その後リアは自由にしていいんだな?」


「そうですね、マテリアも離宮付きの者ももう理不尽な命令を聞く必要は有りませんよ。

私から何かお願いすることはあるかもしれませんけど・・・捨て駒のように扱うことは有りません」


悪くないな、後の面倒な政はマナやフィリアに任せておけばいい、俺は国取りに協力するだけ・・・


「分かった、お前らに協力する、俺は何をすればいい?」




_______________________________________________________________________________


えっと、ルージュとゴルドの協定を改めて正式な形で成す為、シルバーリーフ城を訪れたのですが・・・何をやっているのでしょうか?城内が妙に慌しいですね。


「兄様、城門の門番も居ません、どうもおかしな事になっているみたいですわね」


共にやって来たルージュの第一王女エルナス フレイムロウ、僕の妹なんだけど、政的なものは僕よりも妹の方が向いている為一緒に来た。でも、ゴルドの方は何か立て込んでるみたいですね・・・


「かってに入っていいのかな?」


「よくないでしょうね、誰か通りかかれば・・・」


丁度エルより少し年下と思われる銀髪ツインテールの少女が通りかかった。銀髪?


「エル、頼むよ」


「はい、少し待っていてください」


女の子同士のほうがいいかな?と、エルに少女と話しに行ってもらうことにする。


しばらく少女と話したエルは少女を残し1人で戻って来た。


「すみません、護衛の者は少しここで待機していてください。兄様、行きましょう」


どうやら案内してくれるのは僕とエルだけみたいだね。


「ええ、どうもあの子は人見知りするようですね、(わたくし)も最初警戒されてしまいました」


エルと二人少女に案内されて城内を歩くのだけど、やはり城内が騒がしいな、何をやっているのだろう?騒ぎは上の階に行くほど大きくなっているみたいだ。


着いたようですね、少女はある部屋の前まで案内を終えると直ぐに何処かへ行ってしまった。


少女を見送り改めて扉を開け・・・


「ったく、いつの間にここまで攻めて来やがった!」


ようとした所で横から誰かが殴りかかってきた。


「『アイスシールド』」


誰かの攻撃はエルの張った氷の盾に防がれ僕に届く事は無かった、ここで始めて相手の顔が分かる。


「あれ?お前、ライネスか?何でここに居る?」


「君は確か・・・」


「リョウイチ、只の旅人だ、今はちょっとここに厄介になってるだけでな」


リョウイチさんはもう一度氷の盾を殴り破壊して見せた。


「な!?」


それをあっさり行ったものだからエルが驚きの声をあげる、魔法で作られた盾を素手で破壊する者などそうは居ない、けど・・・


「エル、大丈夫だよ、彼は敵じゃない、敵になられると困るしね」


深紅の魔王、戦場を1人で引っ掻き回す、もうそんな者に敵対されたくは無い。


ところで彼はここで何をしているのでしょうか?


「ん~、詳しいことは中でマナに聞いてくれ」


「それではエル、交渉の方をお願いします」


「はい」


「ライネスは暇か?」


「交渉はエル任せですから確かに暇です」


「兄様、暇とか言わないで下さい」


部屋に入りマナ様と挨拶を終えるとエルが協定の話し合いを始めた、交渉事はエルに任せてしまった方がうまくいくので、僕は本当に暇になってしまった。


「ライネス、暇なんだったら一緒に来い」


「え?ちょっと、リョウイチさん!?どこに連れて行く気ですか!?」


マナ様が慌ててるけど、なぜだろう?城の中で危険なこととかはまず無いと思うんだけど?


「決まってるだろ?最前線だ」


「な!?ライネス様はお客様ですよ!」


「いいじゃねぇか、暇だってんだから、それに次期国王に協力しといて損は無いだろ?」


「ちょっと待ってく・・・」


まだ何か言おうとしたマナ様を無視して僕を連れ部屋を出て行った。向かった先は城の更に上の階、先ほどからの騒ぎの中心になっている場所、そこでゴルドの兵士同士が戦っていた。


「何ですか!?これは!?」


「愚王の政に限界を感じたマナの国取りだ、ちょっと手伝っていけ、あ、殺すなよ、相手は殺す気で来るけど・・・」


間の悪い時に来てしまったみたいですね、まぁ、ゴルドもルージュと似たような状況ということでしょうか?


ルージュは王が病に倒れ、王子2人(兄達)が好き勝手やっていましたが、その2人も今は居なくて、僕とエルでなんとか体裁を取り戻しているところ。


ゴルドは王が愚かなのをいいことに好き勝手やっている者が居るってことでしょうか?


「まぁ、いいですよ、僕も協力します」


「んじゃ、狸共とその犬を潰しに行くか!

あ、そうだライネス、俺のことはリョウでいいぞ『さん』とか要らねぇから」


「わかりました」


この日の内に争いは終わり、マナ シルバーリーフがゴルドの国王となった。

元王は離宮内に幽閉され好き勝手やっていた連中にも重い罰が与えられたみたいです。


そして、新国王マナ様により二つの発表がされた。


1つは、ルージュとの正式な協定関係について・・・


もう1つは、今までゴルドの姫は2人だと言う話でしたが、第一王女のマナ様と第二王女のリリカ様(ここに来た時マナ様の下に案内してくれた少女)の間にもう1人本来の第二王女が存在すること・・・


どうして存在が隠されていたのか?なぜ今になってそれを発表したのか僕は聞かされませんでしたが、リョウや3人の王女様が皆笑顔でいたのでどうでもいいですね。


少し城の者にリョウのことを聞いて気になることもありますが、今は只、訪れた平和を維持していけるように努力していきましょうか・・・


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ