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二章10話 とりあえず終戦


でっかい魔物を倒し休んでいるとライネスたちが帰って来てフィリアと共に終戦の話し合いに入った。

共に戦ったためか、両軍の兵士たちも話し合いをあっさりと受け入れててくれた。

何事も無くこの戦争は終わりを迎えるかと思っていたがそうもいかなかった。


周囲がざわつき出す、魔物の死体を(消し炭になっていたと思うが)確認に行っていた兵士が戻ってきたようだ、彼らは行った時よりも一人増えていた。怪我をしているようで、兵士たちに肩を借りゆっくりとこちらに向かってくる・・・あれ?あいつって、魔剣部隊の指揮官か?


「兄さん!?」


騒ぎを聞きつけ様子を見に来たのか?ライネスが指揮官に気付いて駆け寄ってくる、今こいつ兄さんって言ったな、前に()った奴といい、ライネスの兄弟ってろくな奴がいねぇな。

傷の具合は結構酷いな、全身の火傷のような痕、他にも小さな刺し傷のような物がいくつも有る、それと右手の先がボロボロだ、幸い魔法が使えるようになっているので既に治療が始まっているが、まだまともに話せないようだ。


戦争だから仕方ないとはいえ、俺こいつに殺されかけてるんだよなぁ、今の状態を見て多少は同情するが、あの戦いでこんなに傷を負ってたか?俺は一発殴っただけだろう?まぁだいぶ吹っ飛ばしたけど・・・気絶していたとこをさっきの魔物との戦いに巻き込まれたってとこか?


「兄さん、とても無事とはいえないけど、生きてたんだね・・・よかった」


「ライ・・・ネス?」


お、少し話せるくらいには回復したかな?


「なぜ、魔法が使えるようになっている」


「兄さんには悪いけど、この戦争を終わらせる為に僕達が古代遺物(アーティファクト)を破壊したんだ・・・兄さんもそんな状態なんだし今は休んで」


「糞が!!」


「え!?」


なんだ?いきなり切れ出したぞ、ライネスが気づかってくれてるのになに言ってやがるんだこいつ、やっぱ性格に問題あるな、ライネスの兄って事はこいつも王子だろ?王子のくせにこれじゃ駄目なんじゃねぇのか?


「お前のせいか!魔法さえ封じておけば俺が全て終わらせたものを!!

もう一度だもう一度この・・・」


何言ってるんだこいつ?頭をやられたか?


「黙れ役立たず・・・余計な事を喋るな・・・」


どこからか声が聞こえた、直後、ライネスの兄は炎に包まれた。これと同じようなことが前にも有ったな・・・やっぱりアイツか?


「ぐぁぁあああぁぁあああああ!!」


「兄さん!?」


ライネスが炎を消そうとしているけど多分間に合わない、俺は周囲を見回し目的の人物を見つけた。


兵士たちに紛れてフードを目深にかぶったローブ姿の男が、こちらに背を向け歩み去ろうとしていた。


「逃がすかよ!」


強化をかけローブの男に駆け寄るが、俺の手が届くか届かないかという所でローブの男は姿を消した。

これも魔法なのか?こう出たり消えたりされると如何しようも無いんだが・・・


「ちっ・・・なんなんだアイツは?」



もう俺に出来ることも無いのでライネスの所に戻る、やはり間に合わなかったんだな、消し炭が一人分出来ていた。





ライネスはルージュの代表としてフィリアと話し合い今回の戦争を終戦させた。

今のルージュは王が病に伏せっているうえ、王子も二人失い不味い状態らしい、俺には関係ないが(王子の1人を殺ったけど、知らねぇ)ゴルドはルージュと新たに協定を結ぶことになったようだ、詳しいことは知らない、話し合いの途中寝てたから・・・後でフィリアに説教されたけど・・・


とりあえずこの戦争は片付いたって事だよな、じゃぁ帰っていいか?

正直今回は疲れた、さっさと帰って休みたい、

供血した後離宮に残してきたリアのことも気になるしさっさと帰らせてくれ・・・


「それでは、後日そちらに向かいますので、正式な協定はその時に」


ライネスがルージュ軍を率いて帰っていくのを見送り、俺たちもやっと帰路につくことができた。



色々事後処理があるみたいだけど知らん、俺はあてがわれた自室に直行して直ぐに眠りに付いた。





_______________________________________________________________________________


「リョウお兄さん帰ってきたの!?」


リョウイチの自室のドアが勢い良く開けられ、リリカが部屋に飛び込んできた。


「こらリリカ、リョウは休んでるから静かにしなさい」


先に部屋に来ていたマテリアに窘められる。


リリカとマテリアは揃ってリョウイチの寝顔を眺めだした。


「・・・アタシも寝る~」


「ちょっと!リリカ!」


リリカがリョウイチのベッドに潜り込んでしまいマテリアが慌てて声をあげる。


「リアお姉様、静かにしなきゃ駄目だよ」


「う・・・」


「リアお姉様も一緒に寝ればいいの」


「えぇ!?」


「し~」


また声をあげてしまいリリカに注意される、マテリアは随分と混乱してしまったようで勢いのままリョウイチのベッド、リリカの潜り込んだ反対側に潜り込んだ。

リョウイチを2人で挟む形だ、リョウイチはよほど深い眠りの中にいるのか?そんな状況でもまったく起きる気配が無い、やがて3人分の寝息が聞こえ出した。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・


・・・・・・




「どういう状況だ?」


目を覚ましたリョウイチは当然困惑する、シルバーリーフの姫君(美少女)2人が自分に抱きついて寝ているのだ。


「どうしてこうなった?」


誰にとも無く疑問を口にするがそれに答える者は当然居なかった。



_______________________________________________________________________________


「そう、終戦と協定ですか・・・」


思いの他早く帰還したフィリアの報告は予想外の物でした。まさか今回の戦いで戦争を終わらせて来るとは思っていませんでした。


「はい、ルージュの王は病に伏せっていて、その間に2人の王子が暴走してゴルドに戦争を仕掛けたようです。王子の1人は先日リョウイチさんによって討たれ、もう1人も先の戦いで謎の襲撃に遭い焼け死にました」


「襲撃に焼死?」


「リョウイチさんの話によると、先日大臣の1人を殺した犯人らしきローブの男を見かけたそうです」


「なんだか、裏で誰かが糸を引いているような状況ですね」


間違いなくそうでしょうね、今回も前のことも失敗した者の口封じと考えられます。

狙いはマテリアでしょうか?それともこの国(ゴルド)でしょうか?

マテリア1人の為に戦争を仕掛けると言うのも無茶過ぎますが、マテリアは魔法を完全消去する、規格外の体質、不安要素を狩るのは当然のことではあります。

でも、どうやってマテリアの存在を知ったのでしょうか?

やはり、城の中に敵と通じている者が先日死んだ男以外にもまだ要るのでしょうね、愚王(ちち)の制御だけでも大変なのに・・・本格的にどうにかする必要が有りますね・・・



「フィリア、そろそろこの国を取りましょうか」



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