表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/37

二章4話 ジン ソード


ルージュ軍の司令官の放った雷の蛇に締め付けられリョウイチが意識を手放した。


「ふ、やっと片付いたな・・・」


司令官は雷の蛇を消しリョウイチにとどめを刺そうと近付いてくる。


「爆砕・雷轟刃!」


リョウイチと魔剣部隊の間で爆発が起こり、司令官を後退させる。


「なんだ!?」


「ふう、どういう状態だ?」


爆発で起きた煙がはれるとリョウイチを守るように1人の剣士が立っていた。


「まぁ、とりあえずロウガ、カリン、リョウイチを頼む」


「うん、あたし達じゃまともな治療は出来ないからゴルドの軍に引き渡してくるね」


「ジン、オレ等の目的は後回しだ、今はリョウイチを助けることを優先させろ」


獣人の男と黒髪の女が剣士の声に答え、リョウイチを運ぶ為に近付いてくる。


「分かってる、リョウイチ(こいつ)には借りが有るからな、時間稼ぎだけにするさ

まぁ、魔剣二・三本は折って来るつもりだけどな・・・」


リョウイチを抱えゴルド軍のほうへと退避する2人を見送り、ジンはルージュの指揮官剣を向ける。


「妙な結界を張ったみたいだな、魔法を封じる類の物か?魔剣は普通に使えたりと穴が多いみたいだけどな」


「ち、貴様邪魔するか、せっかく噂の深紅の魔王を討つ好機だったと言うのに・・・」


「あいつには借りがあるからな、さて退く気は無いか?」


「は、馬鹿が、たかが剣士1人で何をほざく、俺の魔剣部隊に敵うとでも思っているのか?」


馬鹿にしたように言い放つ指揮官をジンは更に馬鹿にしたような目で見て言う。


「さっきの爆発、見てなかったのか?」


「お前の持つ剣も魔剣だというだけだろう?数で勝る俺が負ける筈無いだろう!」


「確かに、こいつは魔剣・・・いや、それ以上の物だが、さっきのは剣の力じゃない、魔法剣士である俺の力だ。魔法剣が使えるとは、やっぱりこの結界穴だらけだな」


魔法剣、武器を媒介として魔法を行使する力だが、その使用は産まれつき魔法剣の力を持つ物しか使用できない、幼い子供には暴走の危険もある力だが細かいことは今はいいだろう。


「ふん、だからなんだ!数ではこちらが上だ!その上俺の部隊は全員が魔剣を所持している!退く必要がどこにある!?」


「まぁ、どうでもいいけどな、やるなら覚悟しろ、俺は刃の破壊者だ、

俺に破壊できない武器は無い、たとえそれが魔剣であろうとも変わらない」







戦場を駆ける魔法剣士は敵の魔剣による攻撃を魔法剣によって受け流し、打ち払う。

特定の効果しか生まない魔剣に対して魔法使い同様の手数を見せる魔法剣で対抗する。

数で劣るジンが魔剣部隊と拮抗した戦いを繰り広げていた。


「ラピア、輝力(キリョク)の蓄積率は?」


1人で戦っているはずのジンが質問を投げかける、直ぐにその問いの答える声がする、ジンの持つ剣から発せられた声はしっかりとジンに届いた。


『だいたい85%位です!マスター』


「85%、それじゃあ半分くらい潰すのがやっとか、まぁ今回は時間稼ぎだ、二・三本斬って逃げるとするか・・・輝跡解放、刃断(ハダン)


ジンの持つ剣が輝きを放つ、その剣で近くにいた兵士の魔剣をバターのように斬り裂いて見せた。


「な!」


魔剣を斬られた兵士達から驚きの声が上がる。


「粉砕・狂風刃!」


大地を砕き砂の煙幕を張り、ジンは敵が上手いこと混乱している間にまんまと戦場を離脱する。


「今回は4本か・・・まぁ、全部破壊するのは次だな・・・」



_______________________________________________________________________________


封魔の陣の外側、ゴルド軍の本隊を待機させた陣営まで戻り特異部隊の被害を調べていた。


「凄い、あれだけの戦闘を繰り広げていながら死者、重傷者共に皆無、軽傷者も数名・・・」


特異部隊の個々の戦力がこれほどとは、性格に問題の有る者も確かに居るみたいですけど、この部隊が捨て駒だなんておかし過ぎる。


マナ様が彼らを捨て駒にしたくないと言った訳が分かった様な気がします。



「フィリア様!大変です!」


特異部隊の男性が1人が慌てた様子で報告に来ましたが、大変なのは貴方の格好の方では?

女物のひらひらのドレスを着て、頭にピンクの大きなリボン、あ、少し似合っていますね。


「リョウが重傷で運ばれて来ました!早く治療を!」


「っ!」


リョウイチさんが!敵の援軍はそれほど多くなかった筈、精鋭で固められていたのでしょうか?いえ、今はそれよりもリョウイチさんの治療を優先しないと、今彼に死なれるのは非常に不味い。


「今直ぐリョウイチさんの所へ案内してください!

治癒魔法隊で手の空いている者は全員私に付いてきて下さい!」






リョウイチさんの身体は火傷や切り傷だらけ、意識は無く確かに酷い状態だった。


「やっと来た!早く治癒魔法を!」


リョウイチさんの介抱をしていた黒髪の女性と獣人の男性が急かして来ますが言われるまでもありません。


「治癒隊!魔力を使い切っても構いません!全力で癒してください!」


この後の戦略を気にしている余裕はありません、今ある作戦は全てリョウイチさんを中心として立てられています。ここでリョウイチさんを失うことは勝てる作戦が無くなるという事、それだけは阻止しなくてはいけません!


なにより、ゴルドの兵でもないのに協力してくれているリョウイチさんを死なせる訳にはいきません。



意識は戻りませんが治療は問題無く終わりました。しばらくすれば意識も戻るでしょう。


ところで、リョウイチさんを介抱していた二人は誰でしょう?獣人の兵士なんてゴルド軍には居なかった筈ですけど・・・


「ロウガ、リョウイチは助かったか?」


いつの間にか黒髪の剣士が二人の側に来ていました。彼も見覚えが有りませんね・・・


「あぁ、流石ゴルドの魔法使い達だ、傷の方は完全に癒えたみたいだ、直に意識も戻るだろう、まぁ、ここに運んで来る最中に既に信じられないくらいの自己治癒が始まってたけどな、何者だ?こいつ」


「まぁ、これで借りは返せたかな・・・」


「貴方たちはいったい?」


おそらくリョウイチさんを助けてくれたのであろう3人に説明を求める。


「わ、この人もしかしてエルフ?」


「ん?多分そうだな、耳尖ってるし顔立ちも整ってる」


「確かに綺麗な人、羨ましい・・・」


目の前で綺麗とか言われると照れてしまいます。


「カリンだって充分綺麗だろ?」


「ロウガ・・・」


「「・・・・・・・・・」」


黒髪の女性と獣人の男性がそのまま良い雰囲気に突っ走って行きます・・・

自分が褒められるよりこういった場面を見せられる方が照れてしまうのですが・・・


「あ~こいつらは放っといてくれ、俺たちは只の旅人だ、偶然ルージュの魔剣部隊ってのを潰しに来た所でリョウイチを見かけてな、こいつには以前に借りも有ったから助けさせてもらった」


援軍は魔剣部隊、確か少しだけ噂になっていましたね、直ぐに噂も消えたのでデマだと思っていましたけど、どうやら本当に部隊全員が魔剣を所持している隊がルージュには存在しているようですね。


「そうですか、ありがとうございます。でも、偶然魔剣部隊を潰しに来たって言うのは・・・」


怪しいですけど、彼らが敵だとするならリョウイチさんを助ける理由が有りません、ここは信用しても大丈夫でしょうか?


「無理が有るか?だけど事実だからな、俺の名前はジン ソード、魔剣鍛冶師グラフト ソードの孫だ、爺さんの造った魔剣を破壊する為の旅をしている、魔剣部隊の中には確実に爺さんの造った魔剣が有るからな、実際にさっき確認してきたら半分くらいは爺さんの造った魔剣類だった。まぁ、あっちの2人は俺に付き合ってくれてるだけだけどな」


伝説の魔剣鍛冶師の・・・確かに彼の魔剣は放置しておくには危険な力です。彼が孫と言うのが本当なら破壊の為に動いていてもおかしくは有りませんね。


「今その魔剣部隊は?」


リョウイチさんですら重傷を負った部隊、どう対処すればいいのでしょう?


「一旦退いたみたいだな、まぁ心配するな、魔剣部隊は俺たちが潰すから・・・」


ジンさんはそう言いますが今ルージュと争っているのは私たちです。まかせっきりにするわけにもいかないので協力を申し出ました。


「あぁ、まぁ助かるよ、俺たちも多対個だと限界が有るからな、無理しない程度に敵をひきつけてくれると助かる」


いえ、リョウイチさんの敵わなかった部隊から、リョウイチさんを助け帰還した。そんな彼らが魔剣部隊と戦ってくれるなら、助かるのは私たちの方です。


「では、リョウイチさんが目を覚ましたら魔剣部隊との戦いに挑みます。いいですか?」


「あぁ、俺たちの方は問題ない」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ