二章3話 対魔剣部隊
「何だあれは?」
特異部隊の撤退の為1人戦場で暴れていたんだが、敵の援軍が視界に入り思わず声をあげた。
たった一部隊だが雰囲気が他の兵たちと違う、防具の方は他の部隊と同様に揃えられているが、武器がまったく違う、種類、形状、1つとして同じものがない。
「なにより、雰囲気が禍々しい、これは・・・前の時のあいつが持ってた魔槍とかの類か?」
まさか一部隊全員が魔剣を所持しているのか?
この戦場に張られた封魔の陣も魔剣類には機能しないみたいだし、厄介だな。
まぁ、やるしかないか・・・
「貴様が深紅の魔王のようだな、確かに、その力我等の脅威となりうるな」
なんだ?敵の援軍の中からこの前殺った男に似た奴が出てきた。この部隊の指揮官か?
「まぁ、俺の部隊の力を試すには丁度良い、全軍かかれ!!」
ちっ!攻めて来やがった!これは加減してらんねぇな。
「鉄血」
身体強化を掛け、それぞれの魔剣を手に襲いかかってくる敵に仕掛ける。
先制攻撃、何を仕掛けてくるか分からない、やられる前にやる!
「疾風を刃とする!」
「闇よ!」
2人の意識を刈り取った所で横から風の刃が迫る、身体能力に任せて避けるが避けたその先に展開された黒い靄に突っ込んでしまう、視界が奪われた、慌てて離れ靄から抜け出すと目の前に槍を構えた男が・・・
「ちっ!」
そのまま男に突っ込む、男の顔面に拳を・・・
「旋風槍!」
くそ、拳が届く前に風で吹っ飛ばされた。
「大地よ!」
「炎舞」
着地地点の地面を溶かされた、足を取られた所に炎の渦が迫ってくる。身を焼かれながら何とか泥地を抜け出す。
大量の敵に魔法のような詠唱無しで魔法と同じような力を行使され手が追いつかない、回避と防御でまったく攻撃が出来ない上に回避しきれない攻撃のダメージが蓄積されていく、身体強化に全力を注いでいる為自己治癒の強化をしている余裕が無い。
あんまりやりたくないんだけど、血流爆発やるしかないか、怪我した体でどこまでもつか?だけどな・・・
既に俺は周りを敵に囲まれている、特異部隊の撤退の時間稼ぎは十分出来ただろうけど、俺が逃げられなくなった。
「やっぱり魔法の力は厄介だな・・・」
血流爆発を発動させる、血が燃え、身体能力が更に向上する。
強化した足で大地を踏みしめ、砕く、何人かは足を取られて体勢を崩した、そこを目掛けて突破を試みる。血流爆発は長くは持たないさっさと逃げるに限る。
「クイック」
「疾風を纏う」
「縛」
一応包囲からは抜け出したので、後は撤退するだけ・・・と走り出そうとした俺の目の前に2人立ちはだかる、止まらざる終えなくなった俺の足が光る枷でその場に縛られる。
不味い、後はまだ魔剣を持った奴等が何人もいる、前には動きの早い2人、俺の動きは封じられている分さっきの包囲された状態より状況は悪い。
力任せに拘束を解こうとするがびくともしない・・・
「なかなか化物じみた動きをするな、だが、俺の部隊の敵ではなかったな、はっはっははは」
くそ、さっきの男か、こいつムカつくな・・・
「さぁ、とどめと行こうか!」
このままやられるつもりは無い、地面を殴るり砕く、よし拘束が取れた。
「簡単にやられるか!」
砕いた地面の手ごろな塊を敵に向かい投擲する、以前魔物に対して使用した攻撃法だけど、今は血流爆発中、威力はあの時の比ではない、高速で飛んでくる石をまともに喰らえば只じゃすまない(弾け跳ぶよな)だろうけど・・・気にしてられない!
「反射」
敵の1人が俺の投げた石を剣で迎え撃った。石がそのままの速度で俺に返って来る!
「くそ!これも魔剣の力か!?」
石は何とか避けたけど、これじゃ何やっても誰かの持つ魔剣で対抗される、やっぱ隙を突いて逃げるしかないか・・・
「もういいぞ、退け!」
指揮官の男が急に隊を引かせる、まぁ退いた隊と俺を挟んだ反対側には、さっき回りこんだ二人がいるから挟まれてる事に変わりはないんだけど。
指揮官の男の持つ剣が、さっきからバチバチと雷光を弾けさせている、あれはヤバイだろ?
「集雷完了、さぁ覚悟しろ」
「冗談、んなもん喰らうか、兵を退かせたのは間違いだったな、逃げさせてもらうぞ」
撤退するには回り込んでいる2人を片付ける必要がある、魔剣持ちだけど2人くらい何とかなるだろう、
「俺の雷から逃げられると思っているのか?ははははは!」
やっぱあの男はムカつく、でも今は逃げることだけ考えよう、魔剣持ちの部隊全員を相手にするのは俺じゃ無理っぽい。男に背を向け逃げる為、回り込んで立ちはだかっている2人に攻撃を仕掛ける。
地面を蹴り上げ目暗ましにして1人を殴り飛ばすことに成功、もう1人は無視だ、横をすり抜け全力で駆ける。
「疾風を纏う」
横をすり抜けた男が直ぐに追いついて来る、近付いて来たとこに回し蹴りを放つと剣に防がれた。普通なら足が切られるだろうけど俺は鉄血で足を守っている、剣を明後日の方向に弾き飛ばした。剣を手放してしまった男は急に減速する、やはり魔剣はちゃんと持ってないと力を使えないか・・・
「逃げるか?無駄だがな!走れ雷蛇」
くそ、もう後を見てる余裕なんて無いぞ、とにかく走る!
あ~くそ、背中がちりちりする、ヤバイヤバイ!後からなんかやばいのが来てる!
「あが!」
追いつかれた・・・俺の身体に巻きつく黄色の蛇、雷蛇って言ってたな・・・雷か、いくら身体強化してるって言っても雷喰らって無事でいれる訳無いよな・・・
「くっ!ああぁぁぁぁぁぁ!!」
くそ、血流爆発も限界だ、これ以上は続けられない・・・
失敗したなぁ・・・もう少し何とかなると思ったんだけど、ここが俺の限界か・・・
「ぁぁ・・・・・・く・・・そ・・・・・・・・・」
この世界の神さん、すまねぇな・・・約束、果たせそうに無い・・・・・・