二章2話 力の制御
リョウたちが戦いに行き離宮は戦えない者と少しの護衛のみ、凄く静か・・・
私は離宮から離れると皆に迷惑をかけるので留守番なんだけど、リョウに供血者の力(リョウの吸血鬼の力とは少し違うらしい)を制御する方法を教わり一人で特訓中だったりする。
力の制御は力の方向性を想像すること、どの程度強化したいか、どこを強化したいか、後は熟れらしい。
実際、数日間の訓練を続けているけど、日に日に力を制御できてきているのが分かる。
「リアお姉様すごい!まるでリョウお兄さんみたい!」
リリカ?いつの間にここに?って、見られちゃったわね。
「リリカ、また来たの?頻繁に来ちゃ駄目って何度も言ってるのに」
この子には何度言っても無駄かもしれない・・・
「皆出かけてて退屈なんだもん」
そうか、皆戦いに出ていてリリカの相手をする人が居ないのか、って家庭教師はどうしたの?
「お勉強はどうしたの?」
「嫌なの!あの先生目つきがいやらしいもん!ハァハァ言ってて怖い!」
え?女の先生だったと思うんだけど?
「そんなことよりあそこ行きたいの」
そう言って離宮の上を指示す、えっと・・・私に跳べって事かな?力の制御がどれくらい出来ているかを試すのにやってみようかな。
リリカを背負い足に強化を掛ける・・・そして跳んだ、リョウがやるように軽々と屋根の上まで跳び上がることが出来た。
「はい、着いたよ」
凄い凄いとはしゃぐリリカを背から下ろして、一応私の力のことは黙っておくように言っておく。
「じゃあアタシも凄いのリアお姉様に見せてあげるね!」
そういって何かを取り出した。蒼い宝石の付いた首飾り?マジックアイテムかな?って、マジックアイテムも私の側じゃ機能しないんだけど・・・
「いくよ~!ブルーエクレール!」
宝石が光りだした!そんな、魔法の類は全て消える筈なのに!
宝石からでた光が大きくなり、リリカを包み込んだ、数十秒後弾けるように光りがかき消える。
「マジックプリンセスリリカ!可憐に登場!」
「・・・・・・・・・は?」
可愛らしい衣装に身を包んだリリカが現れた、ごめんなさい、状況が理解できないわ。
「ね、すごいでしょ!」
「はは、そうね、可愛いわよ」
確かに凄いのよね、今のってマジックアイテムだよね、私の消魔の体質を凌駕する程のマジックアイテムで衣装を変える効果って、悪ふざけに全力なの?
リリカの首に下げられた蒼い宝石から強力な魔力が感じられるけど・・・
え?魔力を感じる?そんな馬鹿な、消魔の体質を持つ私が魔力を感じるなんて有り得ない。
「まさか、リョウの血のせいで何か変わった?」
今まで感じなかった魔力を感じる、私の内にリョウから貰った供血者の力とは他に違う力を感じる。
これが魔力?だったら消魔の力はどこに行ったのだろう?
「あれ?」
再度消魔の力を意識した瞬間に内に感じていた魔力を感じなくなった。同時にリリカが元の服に戻る。
マジックアイテムの力が消えた?これってまさか・・・さっきマジックアイテムが機能したのは消魔の力が収まっていたから?
「消魔の力を制御できる?」
いや、まだ分からない、試してみよう。
私はリリカに協力してもらい消魔の力が制御できているのかを確めた。
結果・・・力は制御できた。私の意志で消魔の力を入り切りできるよだった。
供血者の力は思わぬ所に作用したみたい・・・
「リアお姉様、泣いてるの?」
リリカに言われて気付く、私の頬を暖かいものが伝っているのを・・・
長い間この力のせいでずっと離宮に閉じこもっていた。
私は今、生まれて始めて自由を得た・・・
リョウ・・・本当にありがとう。
今回は短め・・・