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二章1話 戦線


戦いの場は前回と同じ、俺には分からないけど封魔の陣もそのままだろう、魔法の使えない戦場で特異部隊と俺とフィリアが開戦に備えている、特異部隊に対しては特に指示を出さないで居るフィリアは、後方に控える騎士達への伝令に何か伝えている。


今回は防衛ではなくこの地を奪還する為の攻撃戦、この戦場さえ抜けてしまえばシルバーリーフの魔法部隊が存分に力を奮える。まぁ、俺は特に気にしなくていいよな、とりあえずこいつらを出来るだけ死なせないように暴れてくるだけだ。


「ここって魔法が無効化されてるって話だったよな?」


隣でなにやらやっていたらソルダが俺に訊ねてきた。その筈だ、前は魔法部隊がまったく役に立たなかったからな、そのおかげで俺は魔法使いの相手をせずにすんだんだけどな。


「ああ、その筈だけどどうかしたか?」


「いや、さっきから試してみてたんだけど、何故か付加魔法(エンチャント)が一部使えるんだ、自分に対する付加は出来なかったけど、武器に対しては使用できた、なんでだ?」


そう言ってソルダが自分の持つ剣を見せてくる、長さの違う2本の剣はそれぞれ赤と青の薄い光を帯びていた。魔法自体よく分からないからなんともいえないけどこれが付加魔法か、ソルダが言うには通常起動しているらしい。


「使える理由とか俺に聞かれても分かるわけ無いからな、使えるなら使えるでいいだろ?得したじゃねぇか」


「・・・はは、字も読めなかったお前に聞いたのが間違いだったな、魔法の知識なんてあるわけないか」


ちょいムカついたけどまぁ戦闘前だから今は赦してやる、戦闘が終わったら覚悟しとけ・・・


「とりあえずフィリアに伝えて来る」


「おう、頼む、フィリアさんとかはオレみたいな一般兵じゃ気軽に話しかけたり出来ないからな」


ソルダは元貴族ってって聞いたような気がするけど


「元だ、元貴族、好き勝手生きてきたから政の知識や商才とかも無い、貴族じゃなくなった事は戦うしか能の無いオレには丁度良かったんだよ」


貴族から一般人になってよく性格がゆがまなかったなぁ・・・


フィリアに話しかけるくらい気にしなくていいと思うが、俺の感覚は基本この世界じゃ通用しないか。


とりあえず付加魔法が武器に対して使えることを知らせると、急遽付加魔法の使える魔法使い達が集められ特異部隊の武器に付加魔法をかけていった。この作業で特異部隊の進行開始が少し遅れることになった。




_______________________________________________________________________________


「もういいだろう、お前はここまでだ、これ以上付いて来るな」


戦争を止められないのか、兄さんが自らの部隊を率いて城を出てからも説得を続けて来たけど、兄さんはまったく話を聞いてくれない。もうじき封魔の陣を張った戦場まで着くという所で僕は残るように言われた。


「でも!ゴルドの部隊、規格外の化物が居るって!深紅の魔王の話はルージュの兵士達の志気を確実に下げてますよ!」


撤退する部隊の殿を1人でこなし、戦場では魔槍の威力もあり恐れられていたもう1人の兄を素手で討って見せた男、その噂は実際にその強さを体験した兵士達から広がり、兄さんだって耳にしている筈だ。


「それがどうした、そんなもの関係無い、噂の深紅の魔王であっても俺の部隊には敵わないさ」


駄目だ、先の戦いで死んだ兄さんもそうだったけど、自信過剰すぎる。

兄さんの部隊は生き残ってもそれ以外の者に被害が出てしまう、それじゃ何も守れないじゃないか!

いや、兄さんに守るなんて意識は無いのか、この戦争もルージュが仕掛けたものだ。兄さんは只力を振るいたいだけじゃないのか・・・

そうは言っても僕1人で今のルージュを止められない、兄さんが止めると言ってくれればそれで戦争は止められるんだろうけど・・・今、僕に出来ることはもう無い。

慌てて付いて来た為僕は碌な装備をしていない、このまま戦線に同行するのは自殺行為だ、仕方ないので兄さんたちを戦場に送り出す。


僕はこれからどうすればいいんだろう?兄さんは僕の説得には応じてくれない、ならどうやってこの戦いを終わらせる?僕1人で出来ることなのか?いや、無理だ。出来るならとっくにやっている、僕はどうすればいいんだろう・・・



_______________________________________________________________________________


魔法の封じられた戦場でゴルドの特異部隊が暴れています。

単体の戦力は近衛隊にも劣らないと聞いていましたが、これ程とは・・・



「ヒャハハ!潰れろ!」

金槌を振り回し敵兵を鎧ごと粉砕する者、目が多少逝ってるところが、流石特異隊ですね。



「いい武器発見!狩るぜ!」

相手の武器を奪い背負った籠に詰め込んでいる者、武器収集者ですか・・・



「逝っちゃえ♪」

華麗な斬撃で男性の急所を斬りつけていく者、エグイですね。あの兵士、何故斬りつける時に全身が一瞬ぶれて見えるのでしょう?



「一瞬全裸になって斬りつけた後また着なおしてるな、スゲー早業、別の事に生かせよ・・・」

リョウイチさん、さっきまで最前線で暴れていたと思うのですが?いつの間に戻って・・・?一言言って直ぐに最前線に戻っていった!?私の考えを読んでそれだけ言う為に戻ってきたんですか!?


この戦場で彼の存在は大きいですね、良くも悪くも深紅の魔王の噂は敵味方両陣営に広がっています。見方の志気は上がり敵の志気は下がる、その上、殆んどの特異隊は目が逝ってる者ばかり、相手をするのは凄く嫌でしょうね。


と、こちらが有利なように見えますが、そういう訳でもないんですよね、特異隊の個々の戦力は高いかもしれませんが連携がまるで成っていないうえ、数も敵のほうが多い、リョウイチさんの存在と特異隊の異常さで何とか戦況を少し有利に見せているだけです。


これ以上相手の援軍が来る様なら撤退も考えた方がいいでしょうね、それを何度も繰り返す、そうして少しずつ相手の戦力を削っていくしか特異隊のみでこの戦いを勝利することは不可能でしょう。まぁこんな作戦もリョウイチさんが1人で殿を勤められるからこその作戦ですけど・・・


「フィリア様ルージュ方面から増援を確認しました!」


来ましたか、では作戦通り・・・


「撤退の合図を!殿にリョウイチを残し撤退してください!」



_______________________________________________________________________________


ん?合図が出たな、撤退か・・・


「おいソルダ、撤退だって周りの奴等に伝えて来い、あいつら合図に気付いてねぇ」


つったく、夢中になりすぎだ・・・



「うふふ、可愛いよ、くぁ~いいよぉ~」

気絶させた敵を女装させる女、どこにその服持ってたんだ?、顔は良いのに性癖がヤバイな。



「ははは、全て曝け出せ!」

敵を傷つけず鎧や身に着けている物のみを切り裂く鼻血を出す男、相手も男ってのがヤバイな・・・



「あいつらに近付けと?勘弁してくれ!」


「却下だ、いいから逝って来い」


強制的にソルダに面倒ごとは押し付ける、まぁ俺は殿を果たさなきゃいけないからな、さっさと逃げてくれ。


あ、さっきの男に服を切り裂かれたけどなんとか説得したみたいだ、あいつ全裸でどうするんだろう?


お、今度はさっきの女、ソルダの背後から近付きゴスロリのドレスを着せた、やっぱりどこから出したか分かんねぇけど、全裸よりはマシじゃねぇ?


女も説得したのか?一緒に撤退して行ったな、まぁソルダの貞操が無事なことを祈っておこう。




さて、見たところこっちの被害は無いみたいだ、多少の怪我はしていても死体になって戦場(ここ)に残っている奴は居ないな、よし、時間を稼ぐか・・・




「さぁ、前にも言ったが、ここからは俺が相手だ、魔法が使えないことを後悔しろ」



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