序章 異端の少年
え~まず自己紹介からはじめよう。俺の名前は赤夜 涼一、高校3年、成績普通、運動神経はちょっと自信有り、ただ髪の毛が銀髪なのと後1点を除けばごく普通の学生だと思う。
まぁ、この後1点てのが厄介なんだけどな。
実は俺の親父は吸血鬼だ、といっても頭がおかしくなったとしか思われないだろう、だがそう言う設定だ文句は受け付けん。母親は人間で俺は吸血鬼と人間の混血ってことになる、しかも俺は血を吸う必要が無く吸血鬼の苦手とする物をまったく意に介さない、なのに力は吸血鬼のもの、つまり吸血鬼の力を持った人間だ。
吸血鬼の力って言っても書物や伝承に有るのとは違ってるから細かいことは追々語るとしよう。
と、普通の人間として生活している俺はこの目立つ髪の色でよくガラの悪い連中に絡まれるのだけど吸血鬼の力としてハンパ無い身体能力で返り討ちにしてる、問題は最近俺の噂が広まっているらしいことだ。
人間程度が束になってかかって来たところでまったく問題ないんだけど、高校にまで押しかけてくるのは止めて欲しい、いや、まじで。
三階の教室の窓側の席から校門の方にガラの悪い連中が集まっているのが見える。
「おるらぁぁぁ!!赤夜ぁぁ!!出て来いやぁぁぁぁぁ!!!」
くそ、名前まで知られてるのか。て~か呼ぶな暇人、普通に生活させてくれ。
「あぁぁかぁぁぁやぁぁぁぁああああ!!」
うるせぇ、て、うわ、教室中の視線を独り占め?みんなこっち見てるよ・・・
教師、お前もこっち見てないで校門のごみ共片付けて来てくれよ・・・って、無駄か。
「はぁ~、(普通の生活)諦めるか」
いろいろ諦めた俺は一番近い窓の鍵を開け窓も開け放ち窓枠に足をかける。
「ちょ、赤夜君?」
「あ~先生、いろいろ諦めました。行ってきます。あと、学校も辞めるんで、んじゃ」
慌てて声をかけてきた先生にそう言って俺は窓から飛び降りた。
「「「きゃあぁぁーーー」」」
教室から女子共の悲鳴が聞こえてくるが無視だ、クラスメイトが飛び降りたことでトラウマを植えつけられようとも知ったことじゃない。それにこれくらいの高さどうってことは無い。
「くだらねぇ、俺にこの世界は合ってねぇ」
(駄目です!その命僕が預かった!!)
「はぁ!?」
俺の中に少年の声響いた、着地に備えていた俺は意表をつかれ思わず驚いた声を上げる。
あれ?地面に付かない?おいおい。
「どこだよここ?」
黒だ回りは真っ黒い空間だった。俺は昼の教室から飛び出したはずだぞ。
(ここは、世界の狭間ですよ、お兄さん)
黒い空間に光が生まれ俺の1mほど前の空間に12歳くらいの少年が姿を現す。
黒髪黒目の以下にも日本人的な顔立ちの少年だ。
「で?」
(え?)
「ここがどこかは聞いた、世界の狭間とか言われても分かるか!
今の状況を納得できるようにさっさと説明を続けろ」
(えぇっと、お兄さんいま飛び降りましたよね?)
「あぁ、飛んだな」
(駄目ですよ命を無駄にしちゃ)
・・・ほう、このガキ、俺が飛び降り自殺したとでも思ってるのか?
あれ位の高さでどうにかなるわけねぇんだが。まぁいいとりあえず合わせとこう。
「そうだな、命は大事にしなきゃな」
(それでですね、お兄さんの捨てた命僕にください!)
「ほう、お前は死神か?」
吸血鬼が居るんだ死神が居てもおかしくは無いな
(違います!僕はある世界の神様の分身です。
今、このある世界の神様が不在で分身の僕だけじゃ世界を平和に導けなくなってきてるんです。
様々な種族の混在するその世界エルリ・・・)
吸血鬼が(ry
異世界に不在の神様ね~多岐にわたる種族に魔物、魔法とかも有るのか・・・
まぁ、魔法っぽいことなら俺も出来るが。
(・・・そこで、お兄さんに世界を救ってもらいたいのですよ、心配要りません
必要な力は神の分身の僕にでも・・・)
熱く語ってくれてる所申し訳ないが(別に申し訳ないとか思っていない)そろそろ止めよう。
「・・・まず、言っておく。俺は別に飛び降り自殺した訳じゃない、
あれ位の高さなら俺は怪我一つ無く着地できる」
(・・・・・・は?)
お、焦ってるのか?だんだん顔が青くなってきたな。
(もしかして、僕、間違えました?)
「まぁ、そうなるな」
お、今度はだんだん顔が紫になってきた、大丈夫か?あ、泣きそう。
(ど、どうしましょう僕あの場所からあなたのこと消しちゃいましたよ!神隠しですよ!)
「まぁまぁ、そう焦るな、面白そうだな、その異世界って
行ってもいいぞ、元の世界よりは退屈しなさそうだしな」
(ふぇ?い、いいんですか!?)
「世界を救うってのにはイマイチぴんとこないけどな・・・」
(いいですよ、地球の人は居るだけでもエルリオールの未来に影響を与えますから。
後はお兄さんが少しだけ世界を救うことを考えてくれれば、世界は少しでもいい方へ向かいます)
「まぁ、俺の退屈な日常を終わらせてくれたお礼だ、それぐらいは任せとけ。
んじゃ早速連れてってくれよ、その異世界エルリオールってやつによ」
(はい。あ、その前にお兄さんに何か力をあげないといけませんね、魔物とかは結構危険ですから、
何でも言って下さい、お兄さんの希望に出来るだけ応えますよ)
「あ~、いいや、いらね、俺普通の人間とは違うからな、危険ななんてほとんど感じないと思うぞ」
(う~ん、そうは言っても、事故にせよ僕の意思にせよ、
地球からエルリオールに向かう人には、何か力を与えているので何も与えないわけにも・・・)
「んじゃ、もし何か困ったことがあったら1回だけ助けてくれよ」
(え~と、はい!それじゃあもしお兄さんに力が必要になったら
その時僕がお兄さんに力を与えますね!)
「おう、頼んだぜ」
(それじゃあお兄さん、準備はいいですか?)
「いつでも」
(それじゃ、いってらっしゃ~い)
神の少年に見送られ俺はその場から落下し始めた
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一人で離宮を抜け出して夜の散歩をするのは私の唯一の楽しみでした、離宮の中とは違った森の澄んだ空気、夜の静寂、清々しい気分になれる、だけど、今宵、私は一人森に踏み入ったことを後悔していました。
必死になって奴の腕の動きに剣を合わせ爪の攻撃を受け流し避ける、出来ればすぐさま背を向けて逃げ出したいのですがその3mの巨体にもかかわらず奴のほうが私より動きが早い、今までこの森にこんな大型の魔物の出た話は聞いたことが在りませんでした。
「あっ!」
今まで何とかギリギリで凌いできましたが、奴の力に耐え切れずに剣を手放してしまいました。
「(もう、駄目なんでしょうか?でも、もういいかもしれません)
生きててもなにも、良い事なんて無いんだし」
「 」
覚悟を決めて目を閉じじっと最後の時を待ちます。
「グゴオオォォォォォォォォォ!!」
「だあぁぁ!くそ!痛ってえぇ!!・・・あ、やべぇ身体強化忘れてた、意識が飛ぶ・・・」
ずしん、どさり、と、二つの叫びと倒れる音、いつまで経っても私に最後の時は来ません。
ゆっくりと目を開けると頭を9割ほど身体にめり込ませ絶命している奴と気を失って倒れている銀髪の男の子が居ました。
「私、助かったの?」
誰にとも無く呟きます。安心感からその場に座り込んでしまいましたが、まだ他の魔物が居ないとも限りません、男の子の手当てをしたいところですがここではほんとに診るくらいしか出来ません。少し大変ですけど男の子を背負い離宮に戻るため歩き出します。
あら?私、こんなに人の近くに居るのはほんと久しぶりなのではないでしょうか?
ふと見上げると空に紅い月が浮かんでいました。
「今宵は魅魔の紅月、月の魔力が奇跡をくれたの?」
・・・フフ、なんて、私に魔力の力なんて何の意味も無いのにね・・・
は、やちまったぜ!
いいんだ、自己満足?ご都合主義?上等だ!
やりたいように詰め込んでいくぜ!