夢のあとに、君がいた
掲載日:2026/03/05
仕事に追われる毎日。
帰宅すると、そのままソファや床で眠ってしまう夜も珍しくない。
夢の中で会うのは、もう何年も会っていない彼。
なぜか夢の中では、別れた理由も、流れた時間も関係なくて——
ただ昔みたいに、当たり前に話している。
「相変わらず、頑張りすぎだな」
そう言って笑う彼に、昔と同じように少しだけむっとする。
でも、どこか切なくて懐かしくて、目が覚めるのが少しだけ惜しくなる。
朝、目を覚ますと部屋には静かな光が差していた。
夢の中の言葉だけが、不思議と胸の奥に残っている。
その日も、残業を終えた帰り道。
夜の駅は、人の波が少し落ち着いた時間だった。
ホームに吹き抜ける風が、疲れた体にやけに冷たく感じる。
ふと足を止めた、その時。
夢と同じ声が、背中から聞こえた。
「……久しぶり」
振り向くと、そこに彼が立っていた。
あの頃より少しだけ大人になった笑顔で。
夢で逢えたら、なんて思っていたのに。
どうやら今日は、夢じゃないらしい。




