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掌編

ゴミ箱の上で

作者: 綴 詠士
掲載日:2025/12/20

 ゴミ箱の上で俺は座っていた。

 

 コーラの瓶を片手に座っていた。

 

 夕焼けの街角で座る。

 

 街はいつも通りに過ぎる。

 

 人通りは少なく、偶に歩く人たちはこちらには目も向けないで去っていく。

 

 そんな路地の中、俺はゴミ箱の上に座っていた。

 

 思い出すのは卒業式が終わった校庭での光景。

 

 青いブレザー姿の女子たちが何人か集まって涙を流している。その傍では男子たちは笑いながら話し合っている。


 スーツ姿の教員たちが生徒たちと思い出話をしている。


 何度も見てきた校庭で、沢山の人がずっとここにいる。

 

 俺は友人たちと話した後、そのまま帰った。

 

 そしてここにいる。

 

 特に何もなく、今日の光景を思い出している。

 

 進路は決まっていて、大学に進むくらいだ。

 

 友人たちとは離れることになる。


 今までの思い出を話す友人たちの声をしっかりと聴いていた。その姿も目に焼き付けていた。

 

 今はこうしてゴミ箱の上に座っている。

 

 そうして夕焼けを眺めていた。

 

 黒い犬の散歩をする女性。仕事帰りのサラリーマン。舗装の跡がモザイクになっている道路、薄汚れた灰色の電柱、赤い夕陽。

 

 俺はこうして座っていた。

 

 だんだん空が暗くなってくる。

 

「いい加減行くか」

 

 ゴミ箱から降り、コーラの瓶を持ちながら歩く。

 

 そのまま家への道を進む。

 

 こうして俺は進んでいく。





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