ゴミ箱の上で
ゴミ箱の上で俺は座っていた。
コーラの瓶を片手に座っていた。
夕焼けの街角で座る。
街はいつも通りに過ぎる。
人通りは少なく、偶に歩く人たちはこちらには目も向けないで去っていく。
そんな路地の中、俺はゴミ箱の上に座っていた。
思い出すのは卒業式が終わった校庭での光景。
青いブレザー姿の女子たちが何人か集まって涙を流している。その傍では男子たちは笑いながら話し合っている。
スーツ姿の教員たちが生徒たちと思い出話をしている。
何度も見てきた校庭で、沢山の人がずっとここにいる。
俺は友人たちと話した後、そのまま帰った。
そしてここにいる。
特に何もなく、今日の光景を思い出している。
進路は決まっていて、大学に進むくらいだ。
友人たちとは離れることになる。
今までの思い出を話す友人たちの声をしっかりと聴いていた。その姿も目に焼き付けていた。
今はこうしてゴミ箱の上に座っている。
そうして夕焼けを眺めていた。
黒い犬の散歩をする女性。仕事帰りのサラリーマン。舗装の跡がモザイクになっている道路、薄汚れた灰色の電柱、赤い夕陽。
俺はこうして座っていた。
だんだん空が暗くなってくる。
「いい加減行くか」
ゴミ箱から降り、コーラの瓶を持ちながら歩く。
そのまま家への道を進む。
こうして俺は進んでいく。
他の掌編は作者ページへ。気に入ったらブクマ/評価をお願いします。




