【第十話】異世界大誘拐
「みんな…僕がついていながら、こんなことになってしまって本当にすまない…」
「いやいや、塩谷、オマエの気持ちはわかるが、悪いのは誘拐犯であって、オマエはちっとも悪くないと思うぞ…」
「そうだな…それじゃ気落ちしているところ悪いが、塩谷、その時の詳しい状況を説明してくれないか?」
「うん…、僕とピロッシは今日ここの児童施設で読み聞かせをすることになってたんだ。それで、ちょっと早めに来て、職員の人たちに挨拶してたら、ピロッシが聞きなれない言語で話す声が外から聞こえてくるって言って、ひとりで外に様子を見にいったんだけど…、しばらくすると、大声で助けを呼ぶピロッシの声が聞こえてきて、慌てて外に飛び出したんだけど…、僕が到着した時は、誘拐で使われたと思うゲートが消滅しかけているところで、咄嗟にそのゲートに飛び込もうとしたけど、間に合わなかったんだ…」
「そうか…、それで、ピロッシ以外でいなくなった子供はいるのか?」
「うん、7人ほどいなくなってて、今、職員と警察の人たちがあたりを探しているんだけど、まだ見つかってないんだ…」
「おそらくピロッシは、その子供たちを助けようとして、誘拐に巻き込まれたんだろうな…」
「そうだな…。それに聞きなれない言語…そして結界があるにも関わらず発現したゲート…。異世界の幼児誘拐…。大谷、どうやらオマエの勘はあたっていたようだな」
「大谷の勘……? それは……」
「塩谷、説明は後だ、先にそのゲートのあった場所まで案内してくれるか?」
「ああ、わかった! こっちだよ…、でも今、現地の警察と日本から応援に来ている警察官がいるから、現場を見れるかどうかわからないけど…」
「ああ、そうだよなぁ…まぁいざとなったら忍び混んででも調べてみるさ」
「あらっ! ヒロシくんに大谷くん? あれっ? 塩谷くんと美奈、それに壱剛、仁業まで! どうしてみんな、こんなところにいるの?」
「おっ! 美羽じゃねぇか! オマエも日本から応援に来てたのか?」
「ええ…たった今来たところだけど…みんなはどうしてここにいるの?…」
「……美羽、その様子からして、どうやらオマエ、ピロッシが誘拐に巻き込まれたことはまだ知らないようだな…」
「えっ! ピロちゃんが! どうして? まさかこの現場で誘拐されたの?」
「すまん美羽、それは後でじっくり説明するとして、オマエに急ぎの頼みがあるんだ」
「頼み? なに?」
「ああ、ここにいる大谷と塩谷、それから出来れば美奈もいれて、3人だけでいいから、現場をちょっと見せて欲しんだ」
「なるほど……大谷くんね、わかった! 一緒に高坂課長も来てるから、呼んでくるね、多分ヒロシくんの頼みならきいてくれると思うから」
「えっ? 高坂のあんちゃんも来てるのか?」
「うんっ! 高坂課長もこんな時じゃなければ、ヒロシくんたちに会えてきっと喜でたと思うんだけど…ちょっと待っててね!」
「ああ頼む!」
「……ところで大谷くん、さっきの美羽ちゃん、キミの名前を出したら、なぜか納得した顔になってたけど、なにかあったの?」
「ああ、美羽ちゃんがまだ交番勤務の時に、魔物の少年がらみで万引き事件があってな、その時偶然、現場にいた俺が、魔素の流れを読み取ったり、人の感情を読み取る能力を使って、事件を解決したことがあったんだよ」
「へぇ〜、そうだったんだ、それで一体何があったの?」
「それはだなぁ、俺はその事件当日、現場となるコンビニに偶然立ち寄ったんだが、店に入るとレジの方で、コンビニの店主と魔物の少年が、なにやら言い争ってるじゃねぇか。俺はちょっと興味が湧いて、その押し問答を聞いていたんだけど…、店主の言い分は、陳列したばかりの新商品のチョコ菓子が、ちょっと目を離した隙にごっそり消えてしまってて、しかもレジを通った形跡もない、それでその商品のそばをウロウロしていた魔物の少年をつかまえて、魔術を使ってどこかに隠したんだろ? って問い詰めてたんだよ」
「確かに、魔術を使えばそんなことが出来るかもしれないけど、でも結界があって簡単には魔術なんか使えないでしょ?なんでそんなこと言ったのかしら?」
「ああ、その店主もそれを理解していたようだけど、その時コンビニにいたのは、客でいうとその少年だけしかいなくて、他にはその店主とアルバイトの学生さんの3人だけだったんだ、それでその店主はなにか結界を潜り抜ける方法で魔術を使ったに違いいないと決めつけたんだな…」
「う〜ん、気持ちはわかるけど、ちょっと横暴ね…」
「ああ、全くだな…。それで、そのうち通報を受けて交番からやってきた美羽ちゃんが事情を聞くんだけど、まったく埒が明かない。」
「ふん、ふん、それで?」
「でも、その時の俺は事件の真相が、おおよそだけど分かっててな、そこで、美羽ちゃんに助け舟を出したんだ…、そこのアルバイトの学生さんにも話を聞いてみろってな…」
「えっ? そのアルバイトの学生さんが犯人だったの?」
「まあまあ、姫姫ちゃん慌てるな、話を最後まで聞いてくれ」
「あっごめんなさいっ、でっでっ話のつづきは?」
「それでね、美羽ちゃんは俺のアドバイス通りに、アルバイトくんに話を聞きに近づくと、アルバイトくんは顔を真っ青にして、ことの真相を話し始めたんだ…。どうやらそのアルバイトくんはその新商品のチョコ菓子シリーズの大ファンだったらしくてな、バイト終わりにそのチョコを買って帰るつもりだったんだが、バイトが終わる頃には全部売り切れてしまうかもしれないと思ったらしくて、そのチョコ菓子をごっそり、お客さんからは見えないレジのすぐ横に置いていたらしいんだ…」
「ふんっ、ふんっ、なるほど、盗んだわけではなくて、後で買おうと思ってわけね」
「そうなんだ、店主にもちゃんと話しておこうと思ってたけど、丁度その時、店の奥のバックヤードに行っていたから、戻ってきたらちゃんと話そうと思っていたらしいんだが、バックヤードから戻ってきた店主は、さっき陳列したばかりのチョコがなくなっていることに気がつき、丁度近くにいた魔物の少年が持っていた買い物カゴに目が入り、そこにもチョコが入っていないことに気がついて、まさかっ! と思ってレジでチョコの購買履歴を調べてみると、そこにも履歴がない! ってことになって魔物の少年を問い詰めた…てぇのが事件の真相だったわけだ」
「へぇ〜そうだったんだっ! それにしても、アルバイトくんもそうだけど、店主の人も迂闊だよねぇ」
「ねぇ、ねぇ、大谷ちゃんは、魔素の流れや人の感情を読み取ったんだろうけど、なんでそれだけで真相がわかったの?」
「それはだなぁ、まずは魔物の少年からだけど、焦りや罪悪感なんかの感情が全くなくて、憤りの感情だけがあったから、すぐにこの少年は犯人じゃないってわかった。念の為に魔素の流れも読み取ったけど、そのコンビニ内で魔術を使った痕跡も全くなかったんだ。次に店主の感情を読み取ったら疑念の感情しかなく、この魔物の少年に対する偏見なんかも見当たらなかったから、差別による嫌がらせではないとわかった。それで、近くにいたアルバイトくんの感情を読み取ったら、申し訳ないという気持ちと、焦りの感情が爆発しそうなぐらい膨らんでいたから、おそらくなにかの行き違いがあったんだろうと思ったんだ…」
「ふ〜ん、人の感情と魔素の流れを読むだけで、そんなことまでわかっちゃうなんて、なんだか凄いわ!」
「まぁ、俺も一応、新聞記者の端くれだからな、それぐらいはできないとな」
「じゃぁさあ、ここにくる前に大谷くん、カッチと話をしてたみただけど、それも大谷くんの持っている能力なの?」
「いや、俺は別にカッチと話してたわけじゃないんだ、なんというか、カッチの感情を読み取って、カッチがこっちの話を理解しているかどうかを判断してただけなんだ」
「ということは、カッチは僕らの話してることを理解しているの?」
「ああ、ほんとっ賢い犬だよなぁ……おっと、高坂のあんちゃんが来たみたいだぞ」
「おうっみんな、待たせたなっ、ところでヒロシ、ピロッシくんが子供たちの誘拐に巻き込まれたってぇのは本当のことか?」
「ああっ残念ながら本当のことだよ」
「それで、そこの大谷に現場の魔素の流れを読ませて、事件解決の糸口を探ろうとしているんだな? でも、塩谷と美奈ちゃんも同行させるのはなぜだ?」
「塩谷は、ピロッシが誘拐された時に現場にいたんだ…、それで美奈のことなんだけど、こいつにもなにか能力が秘めてそうな気がしたから…」
「そうか、オマエの勘か…、だがオマエの勘はよく当たるからなぁ…、よし、わかった! 現地の警察に掛け合ってみよう、なぁに、美羽くんも含めて5人もの日本・異世界の特使が事件に協力したいと申し出てるって言えば、現地の警察も理解してくれるだろうよ…。ところでそこの壱剛と仁業の横にいる女の子と、デカい犬に繋がれたヒョロヒョロ君は何者だ?」
「えっとぉ、話せばかなり長くなるから、後回しにしてくれないか?」
「………ヒロシ、オマエまたまた、厄介ごとに首を突っ込んだんだな? まったく…中学生の時から全然変わらねえなぁ…」
「ハハハッ…そうだな、今回は中学の時とはちょっと違うと思うけど、どうやらそれが俺の性分らしい…」
「わかった、それじゃ、オマエたちはここに待機しててくれ、すぐに現地の警察に話を取り付けてくるからな」
「うん、任せたぜ!」
「ねぇ、ねぇ、ヒロシちゃん、さっきのおじさんが言っていた、また厄介ごとってなんなの?」
「姫姫ちゃん、それはヒロシくんからは言いにくいと思うから、僕から説明するよ、前にも言ったけど、ヒロシくんは小学生時代から有名な悪童だったんだけどね、その時の悪童ぶりでさっきのおじさん高坂さんがまだ交番勤務のおまわりさんの時からの付き合いで、それで高坂さんはヒロシくんのことはよく知っているんだけど、ヒロシくんが中学生になる頃には、大吾くんとコンビを組んでね、周りにいる不良たちの厄介ごとに首を突っ込んでいたらしいんだ…」
「大吾くんって〈始原の理[不動]〉の人のことね、それでどんな厄介ごとに首を突っ込んでいたの?」
「それは、俺から話そう」
「大谷ちゃんもヒロシちゃんの厄介ごとのこと知ってるの?」
「知ってるどころか、俺はその厄介ごとの当事者のひとりでね、俺は中学入学から、恐喝や万引きなどなど、いろいろな悪事を働いていて…、そこにいる塩谷も俺の被害者だったんだ…あん時はごめんな…」
「ハハハッ、そんな昔のこと気にしちゃいないよ、それに大谷はとっくの昔に謝ってくれたじゃないかっ。でも、大谷からその話を聞くのは久々だね、さっさっ話を進めて、進めて」
「それで、ヒロシと大吾とは中学で同じになったんだけど、ヒロシはそんな俺を悪の道から抜け出させようとしてくれたんだ…。でもその当時、俺のバックには高校生の不良グループがついててね、その先輩たちにぬけさせてくれって頼みに行ったんだけど、その先輩たち、抜けるって言った俺に腹を立ててボコボコにされそうになったんだ、でもそのとき一緒についてきてくれていた大吾が体を張って、俺を守ってくれたんだ…。それでその先輩たち、大吾の気迫に負けて、それ以来俺の前に姿を現れなくなった……あの時のことは一生忘れられないよ…。まあそんな感じで、ヒロシと大吾は俺みたいな悪ガキたちの救済に自ら進んで首を突っ込んで、時には高坂のあんちゃんたち警察まで頼って、それを成し遂げ続けていたんだよ…」
「へぇ〜、ヒロシちゃんって、いつもオチャらけてるって感じだけど、実は良い子だったのねぇ、それに大吾ちゃんっ! 私、早く大吾ちゃんにも会ってみたいわ!」
「そうねぇ〜、でも大吾先輩、いつもはボォ〜としてるから、姫姫ちゃん会ったらガッカリするかもよぉ〜?」
「あらっ美奈? うちのお兄ちゃんがなんですってぇ?」
「げっ!美羽? いつの間に?」
「フンっまあいいわ、それより臨場の許可が出たわ、大谷くん、塩谷くん、それから美奈は私についてきて、本当はヒロシくんにも来てもらいたかったけど、そこのカッチに繋がれたヒョロヒョロくんと小学生たちだけにするのはマズそうだから、ヒロシくんは残っててね」
「ああっわかった、それじゃオマエたち頼んだぞ!」
「おうっ! 行ってくる」
「……どうだ、大谷?」
「ビンゴだ塩谷、やっぱりここにあったゲートも地球や異世界ではない場所、つまり姫姫ちゃんのいた宇宙に繋がっていた可能性が高いな…」
「そうか…やっぱり今回の誘拐事件、思ったより複雑なことになっているのかもしれないな……。美奈ちゃん、そっちはどうだ?」
「うんっ、私もなんだか気になるものを見つけたよ!」
「えっ! ちょっと待って、今監視の人連れてくるから、美奈は触っちゃダメよ」
「美奈、どこだ? 気になるものって」
「ほら、あそこの草むら、ちょっとだけ周りの草と形が違うのがあるでしょ?」
「えっと、あそこの踏み荒らされた草むらのことだよなぁ? 形の違う草なんてあるかぁ? なぁ塩谷、オマエはわかるか?」
「全然っ、全部同じ草にしか見ないないよぉ」
「美奈、鑑識の人連れてきたわ、どこなの?」
「ほら、鑑識の人がいる右側に、踏み荒らされた草むらがあるでしょ、その中程に、他とは形が違う草があるよ、大きさは一センチぐらい!」
「え〜と、ちょっと美奈、わからないわ…。私のそばまでなら近づいていいから、こっちに来て指差してくれる?」
「わかった!」
「もうちょっと私に近づいていいわよ、それで、どこにあるの?」
「ほら、それよ!…そうそれっ!」
「えっこれ? 近くで見ても違いがわからないんだけど…竹田鑑識官、なにかわかりますか?」
「……う〜む、………確かにそのお姉ちゃんが言う通り、ここいらの植物とは若干特徴が異なっているみたいだが、これがなんの植物かまではわからないなぁ…」
「そうですかぁ…じゃあ念の為持ち帰ってサチコ先輩に見てもらいましょう」
「ああ、そうだな、あの植物博士のお姉ちゃんなら、なにかわかるだろうよ」
「ちょっと美羽、今、サチコ先輩って言わなかった?」
「そうよ、サチコ先輩なら今、帝城にいるわよ、今回の誘拐騒動とは別件で来てたみたいなんだけど、急遽、私たち警察に協力してもらうことになったのよ」
「おいおい、姫姫ちゃんが言ってた通りになってきたんじゃねぇか…?」
「なんなの、その姫姫ちゃんが言ってた通りって?」
「ああ、俺たち仲間15人が、ひとつの場所に引き寄せられてってことさ…」
「ふんっ? それって、僕らのいつものメンバーってことか?」
「ああ、そうだ塩谷」
「それなら、サキ先輩も帝城にいるわよ」
「やっぱり…」
「なによ! 大谷先輩、自分だけわかったような顔をして! 私たちにも教えてよ!」
「まあ、待てよ美奈ちゃん、多分この調子なら、今日、明日中には15人のほとんどが、顔を合わせることになりそうだから、その時に洗いざらい話すよ、なっ?」
「え〜っとっても気になるんだけど…、まあいいわ、その方が説明が一度で済むものね…」
「そう言うことっ……って噂をすればなんとやら…どうやら他のメンバーもこっちに来ているみたいだぞ…」
「えっ?誰っ誰?……あっわかった! ほんとだドンドンこっちに近づいてくるね!」
「ああ、あいつらかぁ、よしっ迎えに行こうよ!」
「ちょっと、ちょっと! もう現場は見なくていいの?」
「うん、私はもう見終わったわ、もう、そこにはなにもないよ」
「ああ、俺も」
「僕も…てか、僕はただの案内役だったからね」
「もうっ!」
「立花刑事、ここはもういいみたいだから、君も行っていいよ、この植物なら、ちゃんと私が責任もって植物博士に手渡しておくから」
「あっありがとうございます!」
「ワハハハハッ! あのメスさえいなければ、ここには私に敵うものはもういまい! さっ早く私の拘束を解くのだ!」
「「「……………………」」」
「声も出ぬほど、私が恐ろしいのか? 大丈夫だ! この拘束さえ解いてくれれば、オマエたちには指一本触れないと誓おう! さっ早く!」
「………え〜と、俺、思ったんだけどさぁ、実はこのターバン、とっても残念なやつなんじゃねぇのか…?」
「ああ、僕もそう思ったよ…。なんだかとっても気の毒に思えてきたよ………んっ?なにか聞こえてくる…?」
「んっ? そうだな…、カッチすまねぇがそのターバン黙らせてくれるか?」
「オマエたちなにを怯えている? 私はとっても寛大なグエッ!キュ〜……………」
「サンキュー、カッチ。………う〜ん、あれはバイクの音だな、それもよく聞き慣れた排気音だ…」
「と言うことは…ますます『生き物たちの破滅』が現実味を帯びて来たってことだよね……」
ドルドルドルドルドルドルドルドル…………
「えっ? なんでなんで? なんでオマエたちがここにいるんだぁ?」
「それは、こっちのセリフだよ、三人衆と裕太くん、それに雄二まで、なんで一緒にいるんだ?」
「ああ、俺たち三人はな、そこの児童施設の増改築工事にやってきてだなぁ…」
「それから、俺と雄二は、そこの児童施設に用があってな…ほらっ近々、異世界の児童法と学校法が改定されるだろ? それで雄二がその法律について、ここの職員にレクチャーすることになってて、それで俺は雄二の助手兼見学ってことでついてきたってわけだ」
「そうそう、三人衆も丁度ここに用事があるって聞いたから、それじゃツーリングがてらみんなでバイクで行こうぜってなって、三人衆のバイクに便乗させてもらってここまで来たってわけたなんだよ……」
「………? おいおいヒロシ…それから大谷…そこの双子も、なんでそんなに浮かない顔をしてんだ…? なんだよっ、折角偶然にも、みんなと会えたっていうのに…」
「ああ…そうだな…すまないっ…。だけどチョットしたワケがあってなぁ…そうだなぁなにから話そう?…」
「いやっヒロシ、出来れば15人全員揃ってから話した方がいいんじゃないのか?」
「う〜ん、そうだな…、よしっ! それじゃ三人衆、裕太くん、雄二、気の毒だがオマエたちがここに来た用事な、それ当分実行出来なくなるから、そのつもりでいてくれ!」
「「「「「はぁああああ〜?」」」」」
「あっ! それから美羽、大吾はどうしてる?」
「お兄ちゃんなら、今、二世ちゃんからの大事な用事で、ここからも帝城からも離れた場所にいるわよ。多分、あと三日は戻らないと思うけど…」
「皇帝のおっちゃんからの大事な用事? それはなんだ?」
「うん…まあ、みんななら話しても大丈夫ね…実を言うとね…青鬼のおじちゃんが復活したらしいの!」
「おおぉ! そっそうなのか! それは目出てぇけど、なんで大吾が動いている?」
「それがね、青鬼のおじちゃんは今、赤ちゃんなの…」
「あっ赤ちゃんんっ?」
「それでね、青鬼のおじちゃん? 青鬼の赤ちゃん? はね、異世界大陸の北の端にある、標高の高い山脈のすぐ近くで発見されててね、それで、お兄ちゃんは今迎えに行っているってとこなの…」
「なるほどぉ〜、でも大吾がいないのは痛いなぁ〜」
「う〜ん、そんな大事な用事なら呼び戻すのは難しいだろうなぁ…」
「そうだなぁ、まぁ仕方がない俺たちは全員今から帝城に行こう、そこでサチコとサキに合流して、今まで会ったこと全て話す。訳のわからないヤツらには悪いが、これは、この宇宙に住む全ての生き物たちの危機に関わることなんだ! どうかここは俺の言う通りにしてくれ! 頼むっ!」
「「「全ての生き物たちの危機………」」」
「いきなりブッ込んで来たけど…どうやら、冗談でもなんでもなさそうだな…」
「うん、そうだね…裕太くんはどう思う?」
「ああ、そうだな雄二、ここはヒロシの言う通りした方が良さそうだな」
「「「「「よしっ! 行こう! 帝城へ!」」」」」




