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八重子のグリーティング〜納涼のハプニングサマー〜


八重子「……暑中御見舞い……申し上げます……(それぞれ箱を渡しつつ)」

湊  「え? お、お中元……? あ、ありがとうございます」

八重子「暑さの続く折……よきナイトライフをお過ごしください……」

ましろ「ナイト? 木凪、今日は随分とその……薄着なようですが、その格好でここまで……?」

万里 「そ、そうですね、色んな意味でギリギリな……、すごく、夏を刺激しそうな格好ですね」※各自ご自由にご想像ください。

八重子「似合ってて……TPOに合ってれば……何を着てもいいって……どこかの月華が言ってた……」

万里 「(TPOに合ってる……のか……?)」

ましろ「室内は空調が効きすぎているところもありますし、風邪をひかないように気をつけてくださいね。それと、お中元ありがとうございます。後で私もお礼を送ります」

万里 「八重崎さんからのお中元……猛烈に嫌な予感が……、(ガサゴソ……)


    ……ってなんじゃこりゃあ……!」


湊  「これは……。なるほど、ナイトライフ……」

八重子「暑い時には熱いものを食べると……何かにいい……。今やこれは常識……って……どこかの誰かが教えてくれた……」

万里 「こ、こここれとその肝心な部分が曖昧な教えとどのような関係が!?」


八重子「道具を駆使し、ありとあらゆる前戯で……熱く熟しきった身体を(攻が)美味しくいただく……。そんな健康志向の真夏の恒例行事にぴったりの……伝説のサオ師監修の大人のおもちゃ詰め合わせ……テッテレ〜……(ダブルピース)」


万里 「常識……とは……!?」

ましろ「えっ……これ、は……(赤面)」

湊  「(あからさますぎるパッケージのやつもあるし、こういうものに疎そうな羽柴さんもさすがにわかっちゃうよね……)」

万里 「……や、……ちょっと、せっかくいただいたのに申し訳ないんですけど! こんなん持って帰ったら何か大変なことが起こりそうなので、受け取りはご辞退させていただきたく……!」

八重子「期待……してるくせに……」

万里 「一ミリグラムも! してないですから!」

ましろ「あの、これはどうやって使うのでしょうか……」

万里 「えっ聞くんですか!?」

ましろ「夏の慣習とのことですが、知らなかったので教えて欲しいです」

八重子「じゃあ、この実践動画をみんなで……」

万里 「アウト! 今この場では大人向けの会話ストップ! 夏の恒例行事でもなんでもないので学ぶ必要ナッシング!」

八重子「……仕方ない……。いつまでもおぼこいバンビちゃんには……、こちらの金ののべ棒の詰め合わせなら……ご満足いただけるはず……(キラッ……)」

万里 「このさりげなくないギンギラギンはある意味大人向けでは……!?」

湊  「う、う〜ん……、これは、意図と出どころを考えると、かなり冷えるお中元ですね……」

八重子「納涼……暑い時期の贈答品に……ぴったり……」

ましろ「でも、宅配便で金塊を送るのはどうなのでしょうか……」

万里 「気になったのそこですか!?」

八重子「(ため息)アダルトグッズも金インゴットも拒否……とんだワガママバンビちゃんよ……」

万里 「え……ここ俺が非難される流れなの……?」


八重子「そんなバンビちゃんには特別に……百物語で……涼しさをお届けします……」


万里 「怪談!? い、いや、夏に涼しさお届けするならアイスとかいろいろありますよね」

八重子「それは……ハイになるお薬が欲しい……ってこと……?」

万里 「な、なぜそんなことに!?」

八重子「アイス……それはヤクザの必需品、ハイになるお薬の隠語……由来は副作用で寒気が止まらなくなるから……」

万里 「そ、そういうアングラ豆知識はいいですから……(ブルブル)」

湊  「怪談……ですか」

八重子「皆様ネタの準備もいると思うので……まずは……言い出しっぺの私めがトップバッターを務めさせていただきます……」

万里 「ええっ……本当の本当にやるんですか? 俺怖いのはちょっと……」

八重子「そこのワガママバンビ……エキストラに抜擢します……」

万里 「エキストラ?」

八重子「オレオレ詐欺のかけ子に……なりきりなさい……」

万里 「そんないきなり言われても……」

八重子「恋人を豪華旅行に誘ってギャフンと言わせたいとか百回読んだような雑な経緯で……しかも楽に稼ぎたいとか舐めた理由で無駄にうっかり闇バイトのホワイト案件に応募しそうだから……採用……」

万里 「……俺のイメージが底辺すぎる件について……」

八重子「己の風評を自覚できたら……忙しい旦那の放置プレイで一人の時間と体を持て余している専業主婦八重子に電話をかけてきて……」

万里 「(設定……)じゃ、じゃあ、ゴホン、……もしもし母さん? オレだよオレ」

八重子「もしもし……私八重子……」

万里 「……。そ、そうそう、八重子母さん。あのさ、オレちょっと事故っちゃって、治療費が……」

八重子「……今……あなたの背後のクローゼットの中にいるの……」

万里 「ヒッ……!? い、いや、だから、事故で、すぐに金が」

八重子「ギィイィィィィー……」

万里 「ギャーッ!」


八重子「もしもし……私八重子……今……あなたの瞳の中にいるの……」


万里 「ま、窓に、窓に……っ(ガクガクブルブル)」

八重子「……鈴鹿万里は……リアクション過多だから……やえこちゃんねるのホラゲ実況コーナーの相方に採用……」

万里 「いっ嫌ですよ、ホラーゲームなんて……!」

ましろ「すごいです! 八重子、すごく迫力がありますね。ところで、八重子はどうやって電話の相手のクローゼットの中に入ったのでしょうか」

八重子「……………………」

ましろ「……………………?」

八重子「今度から……ましろとは共演NGで……」

ましろ「な、なぜ!?」


八重子「次は……湊……」

湊  「俺ですか? あんまり怪談は知らないですけど……学生時代にクラスメイトから聞いた話でもしようかな」

八重子「男子かね……?」

湊  「なんで竜次郎みたいなこと聞くんですか(笑)。女の子ですよ」

万里 「(桜峰さんは普通に女子にもモテそうだな……(羨望))」

湊  「クラスメイトの弟さんが四歳くらいの頃、夜な夜な玄関にある靴を全て裏返すという謎の悪戯をしていた時期があったらしいんです」

ましろ「靴を……?」

湊  「家族が寝静まってから起き出してやってるみたいで、どうしてそんなことをするのか聞いても「遊んでるから」の一点張りで、せめて昼間にしろと言い聞かせても、なかなかやめない」

万里 「でも、悪戯はともかく、そんな小さい子が夜に起きてるのはよくないですよね?」

湊  「そう、だからご両親も起きているようにして止めたりしてたんだけど、隙をついて起き出しては同じことをする。それが随分続いて、困ったご家族がとうとうお祓いに行こうという話になった頃、ぴたりとその悪戯はやんだそうです」

ましろ「子供のすることですし、飽きてしまったのでしょうか」


湊  「ご両親もそう思って、蒸し返さないために何も言わなかったけど、まだ幼かったクラスメイトは気になったから、こっそり「どうして急にやめたの?」って本人に聞いたんです。そうしたら弟さんは「帰っちゃったから」って……」


万里 「だ、だだ誰が!? 誰がいたんですかそんな深夜に……!」

湊  「うーん……、誰だったんでしょうねえ」

八重子「科学の子としては、……イマジナリーフレンド説を……推しますね……」

湊  「イマジナリーフレンド?」

八重子「キッズの頃は……脳内に架空のお友達を作り出して……それを現実と思いがち……」

ましろ「確かに、私もぬいぐるみのお友達とよく遊んでいました」

湊  「八重崎さんにもそういう頃があったんですか?」


八重子「八重子は……生まれ落ちた瞬間から……四書五経を誦じ……宇宙の真理を語る……天上天下唯我独尊の博学才穎だったから……そのような屁のつっぱり的フレンドは不要……」


万里 「(科学の子とは……)」

湊  「羽柴さんは何か不思議な体験談とか、知っている話はありますか?」

ましろ「そうですね……、怖い話はあまり知らないので、最近の不思議な体験でもいいでしょうか」

万里 「怖くない話、歓迎です!」

ましろ「先日千駿さんと近所に散策に行った際、古びた祠を見かけたのですが、随分と汚れていたのでお掃除したんです」

万里 「す、すごいですね。(たまたま見かけた祠を掃除とか……俺ならそもそも気付かず通り過ぎそう……)」

ましろ「そうしたら、次の日から素敵なことがたくさん起こって。町内の福引で一等の高級なお肉が当たったり、ご近所に住む方からお野菜を段ボールいっぱいにいただいたり、猫が少し優しくしてくれたり。あと、千駿さんにはとても大口のお仕事の依頼があったそうです」

万里 「それはまさか、笠地蔵的な……?」


湊  「うん、お礼みたいですね。今も守ってくださってるみたいです」


万里・ましろ「「え……?」」


万里 「あの、もしかして、何か見えて……?」

湊  「あ、俺少しだけど見える人で……」

万里 「えええ」

ましろ「え、あの祠の神様がこちらにいらっしゃるんですか?」

湊  「『その話、自分のこと!』みたいな雰囲気出てたので、そうだと思います」

ましろ「そうなんですね! 神様、お守りくださってありがとうございます。またお掃除に行きますね」

万里 「まさかの……。ゆ、幽霊とかも見えるんですか?」

湊  「見える時と見えないときとあるかな。竜次郎やオーナーと一緒にいるときはなんでか全然見えないし」

八重子「……二人とも……霊的存在にまで敬遠されてて草……」

万里 「店長と副店長あたりも魔除け効果ありそうですね」

八重子「二人に……通報しました……」

万里 「嘘ですすみませんやめてくださいお願いします(ガクブル)」


八重子「上司が一番のホラーということで……長くなったのでそろそろお開きにします……。八重子は……オレオレ詐欺防止自動応答プログラム(CV:八重子)を……商品化して……カモられそうな情弱に……高値で売りつける計画で……忙しいので……」

万里 「(詐欺防止とは……)」

八重子「よい子のみんなは……熱中症に気を付けつつ……熱いナイトライフをお過ごしください……」


おしまい。

次の季節のグリーティングに続くかもしれない……


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