九十四・母と娘の共闘
九十四・母と娘の共闘
「パーカーのあんた! あたしの娘を傷つけたら許さないかんねーっ!」
怒った小紅が、鳥嶋に向かって猛ダッシュ。その後ろから、苺も駆けてくる。
「え! ママ! ・・・・・・と、確か美布の整骨院の先生っ?」
「うにゃ? ・・・・・・じゃまじゃまままー。にゃんにゃかにゃん!」
鳥嶋が、スプレー缶に指を掛け、一気にライターの火にガスを吹き付ける。
「ママ、危ねーよ! こいつはアタシがぶっとばすから、来んなよ!」
「うるとらふぁいやーっ! ふぁいふぁいふぁっふぁーっ!」
シュボアッ ズボオオオワアアアアアアアア!
・・・・・・ごろごろ どしゃ
鳥嶋の火炎放射を、横に転がって避ける小紅と苺。それを、鳥嶋は追いかけるようにして炎を横に走らせる。
「はっ! まずいよ、小紅! あいつの炎が思ったより厄介だよ!」
「うきゃきゃ。ふひへへ! ミーは、鳥嶋やっちゃん。ミーは、鳥嶋やっちゃん。ミーは、鳥嶋やっちゃん。ミーは、鳥嶋やっちゃん! はいぱぁうるとらふぁいやーっ!」
「・・・・・・てんめぇーっ、このやろぉーっ! ママたちに何てことするんだぁ!」
タタタタタッ ドガアッ!
紅葉は、鳥嶋に向かって走り、体当たり。その衝撃で鳥嶋の手元が狂い、炎は天井の方へ噴き上がり、小紅と苺は助かった。
「はいぱぁみらくるうるとらふぁいやーっ! 鳥嶋やっちゃん!」
シュゴオオオオォ! ズゴオオオオォ! シュボオオオォ!
「あぶねーっ! ・・・・・・このやろうーっ! 暑いとこを、余計に暑くしやがって!」
「けひひ。ふひ、ふひひ、ひふふいひ!」
紅葉は、鳥嶋の両手をがしっとそれぞれ掴み、力比べのようにその場でスプレー缶とライターを封じ込む。鳥嶋は、左右の目をクルクルと回転させ、ぴたりと紅葉に焦点を合わせた。
「また、アタシに下から蹴っ飛ばされたいようだな!」
「・・・・・・トチベリー25! かくごぉ! ミーを、きもちわるいと、いった。ひひふふひー」
「気持ち悪ぃのは事実だろうが! ろくでなしの眼鏡ファイヤー野郎! さぁ、覚悟しやがれ!」
にやりと笑う紅葉。小紅と苺は起き上がり、その様子をじっと見ている。
「あの目。あの顔。あの台詞。かつての小紅みたい。・・・・・・まるで、あの頃の・・・・・・」
苺が、ぼそっと呟く。その瞬間、横にいた小紅は紅葉と鳥嶋のもとへ飛び込んでいた。
「紅葉ぁーっ! その場で頭を下げなさいーっ!」
「え! な、なんだよっ!」
背中側から聞こえた小紅の声に反応した紅葉は、手を離し、さっとその場でしゃがみ込んだ。
次の瞬間、鳥嶋の顔面に、小紅は渾身の蹴りを叩き込んだ。鳥嶋は後方へ大きく吹っ飛ぶ。
その様子を目に焼き付けた十六夜は、戦慄の表情で、小紅と紅葉の姿を見つめていた。




