八十八・寝過ごしただけかい
八十八・寝過ごしただけかい
・・・・・・ぽかっ!
「いてっ!」
「起きろや、ねぼすけ! ・・・・・・いつまで寝てんだや!」
「え? え? えええええ! やっべぇ! やっちまった!」
タンクトップとパンツ一丁姿で飛び起きる玄桐。信治は作業着姿で、そのまま工場に入っていった。
大慌てでお茶漬けを食べ、適当なジャージを羽織り、ハーフパンツとサンダル姿でスクーターを出す玄桐。
「やべぇ、やべぇ、やべぇ! 紅葉を迎えに・・・・・・って、メッセージ?」
スマートフォンを見た玄桐は、数秒後、再び大慌てで工場からスクーターを外へ押し出す。
「おやじぃ、そういえば、機械のメンテナンスは・・・・・・」
「ばかたれ! 何とか頭を下げまくって、来てもらえるように頼んだわい。・・・・・・今から来てくれんだ。それが終わったら、試しに一本、作ってみっかんな」
「そ、そうか! やったぜ! ・・・・・・うまくいくといいけどなー」
「とりあえず、十本でいいんだべ? 玄桐、お前も手伝え!」
「え? えええ? いや、おいら、紅葉んとこへ・・・・・・」
「昨日、手伝うって言ったべや? 今日は家にいて、手伝え。あの子なら、玄桐なんかよりしっかりしてっから、お前が行かねーでも、だいじだ!」
「だ、だけどよぉー・・・・・・」
「だーめーだ! 今日はお前にも手伝ってもらわにゃ、間に合わなかんべよ! それに、お前だって、いろいろ覚えた方がよかんべ!」
「ああぁー・・・・・・。そんなー・・・・・・。紅葉に今日、会えねーのかよぉー・・・・・・」
「さ! そのスクーターしまって! おらの手伝いしろ。作業着に着替えとけー」
「(紅葉ぁー・・・・・・。今日も頑張ってくれよー。わりぃ、おいら、昼間は行けねー)」
玄桐はしゅんとなり、渋々スクーターを戻し、とぼとぼと家の中へ入っていった。




