八十七・心配なんだよ、やっぱり
八十七・心配なんだよ、やっぱり
・・・・・・ブイイイーンッ ブウウゥーンッ
「ねぇ、紅葉?」
「ん? なに?」
「・・・・・・ガブーンバイパー社ってさ、あたし、調べたんだけどね・・・・・・」
「うん」
「やっぱり、最近あまり評判よくないみたいね・・・・・・。今日で、終わりでしょ?」
「まぁな。・・・・・・ママ、実はさ・・・・・・」
「ん?」
「・・・・・・昨日、あの三島華蓮さんに、アタシ、ママにそっくりだって言われた」
「えっ、華蓮に!? ・・・・・・あー、しばらく華蓮にも会ってないなー」
「でさ? 華蓮さんも何か、ガブーンバイパー社はヤバいから縁を切った方がいいって言っててさ。警察にも知り合いがいるらしくて、何か変なことがあったらすぐに教えてって言われたんだよ」
「警察? ・・・・・・ああ。きっと、久保さんかな・・・・・・」
「久保さんって、いま、県警本部の刑事課にいるっていう?」
「たぶんそうだよ。華蓮、あのデスアダーの件が終わった後、久保さんによく芸能界の闇みたいなことを、話してたからね。まだ、繋がりがちゃんとあったんだー・・・・・・」
「アタシはよくわかんないけど、ママも昔、その久保さんって刑事に世話になったんか?」
紅葉は、運転する小紅の顔を見て、問う。
「久保さんは、昔は交番勤務のお巡りさんでね。あたしの実家近くの交番で、よーく話聞いてもらったりもしたなー・・・・・・」
「交番で話、って・・・・・・。ママ、何か悪いことして捕まったとか?」
「バカね! 逆よ! 悪い奴をあたしが捕まえて、よく交番に突き出してたの!」
「な、なんだ。そうかよ・・・・・・」
「久保さんも、今は県警本部で、麻薬捜査関連の担当をしてるみたいね。・・・・・・紅葉も、華蓮と会えたんじゃよかったね?」
「華蓮さん、アタシのこと知ってたぞ?」
「あんたが生まれた時、お祝いに来てくれたのよ。あんたを抱っこもしてくれたよ」
「あ。それで・・・・・・」
「華蓮ともまた会いたいな。連絡先、あたしのスマホに入ってないのよ」
「じゃあ、アタシから華蓮さんに伝えとく?」
「お願い、紅葉。・・・・・・そろそろ着くよ」
「あ、そうか。・・・・・・ママ、送ってくれて・・・・・・ありがと」
「はいはい。・・・・・・ここがそのイベント会場? パパも連れて、今日、来てみようかな」
小紅は、駐車場へ車を停めた。
「いいよ、見に来ねーで。・・・・・・チケット無いと入れないよ?」
「そっか。じゃあ、だめだね。あんたが仕事してるところ、見てみたかったんだけどねー。残念。じゃ・・・・・・紅葉、気をつけてね? ちゃんと、無事に帰ってきてよ?」
「何? 大げさなんだよ、ママは。ちゃんと帰るって。昨日だって、ちゃんと帰ってたろ」
「・・・・・・あたし、昨日の記憶があんまりないんだよ」
「飲み過ぎなんだよ。帰ってくるなり、アタシと優璃でママとパパを介抱したんだぞ」
「え、そうなの! ・・・・・・あたし、水穂のこと言えないじゃん・・・・・・」
「まぁ、いいや。ありがと。おかげで間に合った!」
「何かあったら連絡しなよ? ファイト、紅葉」
小紅は窓を開け、降りた紅葉に手を振って、帰っていった。
その様子を、遠くから七人の影が見つめていた。




