表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
振り子  作者: 糸東 甚九郎
第十幕  常盤紅葉と野上アンの明暗
86/211

八十六・キツネとタヌキの化かし合い

八十六・キツネとタヌキの化かし合い



   ・・・・・・こつ  こつ  こつ  こつ

   こんこん!


「・・・・・・はい」

「十六夜です」

「入りたまえ」


 一之瀬の部屋に、十六夜が呼ばれた。


「ふんふふーん。一之瀬専務、こんな朝早くに、何でしょうか?」

「あー。すまなかった。・・・・・・トチベリー25の件だがね、今日のステージのラストに、野上から『海外活動』のことを、伝えさせなさい。国内活動はしばらく休む、とね?」

「ほぉー。そこでもう公表させて良いのですか。電撃発表ですね」

「その方が、逆にインパクトがあると思わないかね? 社長も、そのサプライズに賛成との意見だ」

「ふんふふーん。そうですか。・・・・・・副社長へはどうします?」


 一之瀬の片眉がぴくりと上がる。十六夜は、首を傾けて、にこりと笑う。


「副社長は、今日は兵庫の方へ出張だろう? 後日、私から報告しておくよ」

「そうですか。わかりました。では、トチベリー25には、オレからそのように伝えます」

「・・・・・・十六夜がスカウトしてきた彼女たち七人だが、どうしてあのメンバーを?」

「ふんふふーん。まぁ、いろいろと『ラク』だからですよ」

「楽?」

「親のいない施設育ちの七人。それが一気にアイドルになったということから、話題性も抜群でしたからね。・・・・・・それに、施設を出て独立したとなれば、手駒として使いやすくなるじゃありませんか?」

「・・・・・・まったく。優しい顔を見せてそんな考えとは、悪どい男だな、十六夜岳は」

「褒め言葉として受け取っておきますよ。ふふんふーん」


 一之瀬は、ふっと笑って十六夜の目をじっと見る。


「ところで、だ」

「はい? まだ何か?」

「昨日、イベント中に社内へ戻ったみたいだが?」

「んー? ああ、ちょっと、資料の確認に。大したことじゃありませんよ」

「資料の確認ね・・・・・・。自分の執務室の他、どこかへ行かなかったか?」

「んー。ああ! 行きましたねー。・・・・・・もよおしたので、トイレにね」

「そうか。・・・・・・まぁ、それならいいんだがね。なるべく、イベントが終わるまでは持ち場を離れない方がいい。・・・・・・・今日も、いいイベントになるといいがね?」

「ふふーん。そうですね、専務。・・・・・・では、オレはそろそろ会場に向かいます」


 十六夜は、一之瀬にぺこりと頭を下げ、部屋から出て行った。


「(ふふん。・・・・・・一之瀬専務、探ってるね? でもそう簡単に、オレは口を割らないよ)」

「(十六夜岳か。・・・・・・侮れんな。私が思ってた以上に、注意して見張らねばならんな)」


 一之瀬は椅子から立ち上がり、車のキーを持って、しばらくしてから部屋を出た。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ