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振り子  作者: 糸東 甚九郎
第二幕  紅葉と優璃。紅色の髪留め姉妹
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八・姉と妹

八・姉と妹



「ばいばーい、ゆりちゃん! またねー」

「うん、またね。明日また、一緒にやろうね!」


 カラスが舞う夕方。優璃は自転車に跨り、図書館の駐輪場で友達と別れる。


   しゃーーーーーーーっ  ききいっ  


 優璃は大きな環状道路にある交差点の横断歩道で、信号待ち中。そこへ、一台の大型スクーターがエンジン音を響かせ、横へ並んだ。


「優璃? 何やってんだ、こんなところで・・・・・・」

「お姉ちゃん!」


 優璃が横を向くと、そこには紅葉が玄桐の後ろに、ノーヘルで乗っていた。


「優璃ちゃん、こんちゃっす! ・・・・・・って言っても、おいらのことよく知らねぇか!」


 玄桐がちゃきっと手を挙げ、優璃に笑いかけるが、特に優璃は気にもしていない様子。


「図書館の帰り?」

「う、うん。・・・・・・お姉ちゃんはどこいくの? また今日も帰り、遅いの?」

「まぁなー・・・・・・。適当にどっか行くわ。アタシが家にいると、優璃の邪魔だろ?」

「いや、ゆりはそんなことないけどー。お姉ちゃんとママがケンカばっかりするから、むしろそっちのが心配だよぉー」


   パッポー  パッポー  パッポー


 横断歩道の信号が、青に変わった。一斉に、環状道路の車も前進する。


「・・・・・・昨夜も、ママとやっちまったよ。今夜も帰りたくないなー・・・・・・」

「うん、知ってる。部屋で、聞こえてたから・・・・・・。お姉ちゃん、ママと仲直りしなよ?」

「ママがもう少し、アタシのこと理解してくれなきゃ無理。やってらんねーし!」


   パッパッパーッ


「「「「「 おぉい! 何やってんだバカヤロウ! バイク、行けよ早く! 」」」」」


 紅葉たちの大型スクーターの後ろで、ダンプカーや黒ワゴン車などが一斉にクラクションを鳴らしている。


「紅葉、やべー。もう行こうぜ。後ろが・・・・・・」

「うっせぇんだよ、この野郎が! アタシらが話してんだ! ・・・・・・じゃ、優璃。気をつけて」

「うん。・・・・・・お姉ちゃんも、あんまり危ないことしないでよね?」

「心配すんな。アタシのことはほっといて。・・・・・・玄桐! 今日も、狩るよ!」

「あいあいさーっ! 行きましょうぜぇー。バカ狩りだぁー。へへへっ!」


 そして、二人は前方の車を縫うようにして、あっという間に遠くへ走り去っていった。


「(お姉ちゃんー・・・・・・)」


 優璃は心配そうに、小さくなってゆく紅葉の背中を見つめながら、自転車を押して横断歩道を渡っていった。


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