七十七・おまねきされていました
七十七・おまねきされていました
「・・・・・・はい。それは、すみません。・・・・・・はい。はい。・・・・・・では・・・・・・」
・・・・・・ピッ!
「パパー、だれからだったー?」
「・・・・・・優璃ちゃんのお母さんからだった・・・・・・」
水穂の自宅である渡瀬家では、イベント後に穂花が優璃と海原を夕食に招き、四人で食卓を囲んでいた。大きなダイニングテーブルの上には、ライ麦パンにフライドチキン、野菜サラダ、そしてポタージュスープに糠漬けが並んでいる。小鉢に入った糠漬けは、きゅうりだ。
「ゆりちゃんのママ? なんで?」
「・・・・・・やれやれ。・・・・・・また飲み屋で寝潰れたんだとさ。ちょっと行ってくるから、みんなはゆっくり食べてなさい。・・・・・・。・・・・・・最近心配だな、みっちゃん・・・・・・」
「ひょえー。ママ、またやったのぉー? ごめんねぇー、ゆりちゃん。なんか、うちのママが、ゆりちゃんちに迷惑かけちゃったみたいー」
穂花は優璃に対し、平謝り。優璃は「別に気にしてないよ」と笑っている。
良太は、黒い革靴を履いて玄関を出て、白い外車のエンジンをかけ、水穂を迎えに行った。
「ゆりちゃんのお母さんと、渡良瀬さんのお母さんって、仲良いの?」
海原が、スープをすすりながら、優璃と穂花に問いかけた。
「ほのかちゃんのママとゆりのママはね、半年も違わないくらいに誕生日も近いんだよー。学年は一つ違うんだけどさ。でも、幼馴染みで、高校までずーっと一緒だったんだって。生まれた病院から柏沼高校まで、ずーっと」
「わたしとゆりちゃんも幼馴染みだけど、それ以上にずっと一緒の感じかもね!」
「そ、そうなんだー? ・・・・・・渡良瀬さんのお父さんてさ、若々しくてかっこいいね?」
「いひっ! そぉ? ふふふ! でしょー? わたしの自慢のパパだもの!」
穂花は、白い歯を輝かせ、にやっと笑う。海原は、話を繋ぐのに必死な様子。
「お医者さんなんて、すごいな。お母さんも、保育園の先生なんだっけ?」
「大きな病院から独立して、お父さんは小児科のクリニックを開業したんだけどね。けっこう、大変みたいでさ。ママは、病院に併設した保育園で、保育士してるー」
「ほのかちゃんちってさ、クリニックと保育園が一緒になってて、賑やかだろうなー」
優璃は、サラダのセロリを食べながら、窓の外を見つめている。
「小児科と保育園だから、もーぉ、賑やかだよ!」
「いいなぁ。・・・・・・あー、ちょっと休憩。ゆり、お腹いっぱいになってきちゃった」
「ゆりちゃん。食べ終わったら、僕たちはどうしよう? あまり遅くなっても悪いしさ」
「えー? いいじゃんいいじゃん! ゆっくりしていってよー。明日も休みだしさぁ!」
海原と優璃を引き留める穂花。
優璃が「まだ話したいな」と穂花に言うと、デザートを冷蔵庫から持ってきた穂花。優璃と穂花の話が弾む中、海原はひとり、外を眺めていた。




