六十八・優璃たちもイベントへ
六十八・優璃たちもイベントへ
がやがやがやがや わああああああ
ざわざわざわざわざわざわ
ざわざわざわざわざわざわ ざわざわざわざわざわざわ
「ねぇねぇ! すっごい人出じゃんー。うひゃー。混んでるねー」
「そうだね。ゆり、こんなに混むとは思わなかったなぁー」
「二人とも、はぐれないでね。ゆりちゃん・・・・・・手、つないでて」
「うん・・・・・・」
「はいはいーっと! わたし、見なかったことにしますからねーっ」
トチノキプラザ前には、イベントに訪れた観客が五千人以上集まっている。
その中で、優璃は穂花や海原と一緒に会場へ来ていた。
「ほのかちゃんー。どうしようか? うまく見える場所に移動する?」
「そうだね。ゆりちゃんと海原くんは、はぐれた方がいいんじゃなぁーい? いひっ!」
穂花が、にやっと笑う。優璃と海原は、頬を赤くしている。
「そ、そんなことないってば! ほのかちゃんも一緒にいこうよ!」
「冗談よー。あ! あっちがうまく空いたみたい! レッツゴーっ!」
穂花は人混みをかき分けながら、ステージ正面より向かって右側の位置に場所を取った。
「・・・・・・わぁ! ここなら見やすいね!」
「渡良瀬さん、良い場所をありがとう!」
「ちょっとー。二人のために取ったんじゃないからねぇー? ま、良い位置だ! うん!」
開演十五分前。
ステージと観客の間にはトラブル防止用の柵が設けられ、それは十メートルほどの間隔。脇にはガードマンが一人ずつ立ってはいるが、形だけで、厳重な警備とは言えない感じだ。
その時、ステージ袖から、Tシャツとジーンズ姿の紅葉が、インカムをつけて出てきた。
「(怪しいヤツは・・・・・・いないか? 怪しいヤツ。怪しい・・・・・・ん! んん?)」
「え!」
観客勢の最前列にいる、優璃たち。全体を見渡していた紅葉は、優璃と一瞬、目が合った。
「お、お姉ちゃん!? バイトって、ここだったのぉ!」
「(な、なんで優璃が! 穂花ちゃんらと出かけるって、これかよ!)」
そそくさと優璃に駆け寄る紅葉。
「くれはサン! どうしてここに? イベントのスタッフなんですかぁ?」
「まさか、みんな来てるとは思わなかったよ。・・・・・・二日間だけのバイトなんだよ」
小声で話す紅葉に、穂花もびっくり。海原は、きょとんとした表情で紅葉を見ている。
「ん? ・・・・・・優璃、だれだこいつ? 海原って彼氏か?」
「あ、うん。・・・・・・海原くんだよ」
「優璃の姉、紅葉です。・・・・・・。・・・・・・。おい、ちょっと? なに黙ってんのさ? あいさつは!」
「え! あ、ああ! あのー、海原です。・・・・・・ゆりちゃんのお姉さん、初めまして」
「よろしい。ちゃんとしなよ、そういうところは! 初対面なら、大事なことだろ!」
「す、すみません・・・・・・。き、厳しいお姉さんなんだね、ゆりちゃん・・・・・・」
海原は、しゅんと縮こまってしまった。
「お姉ちゃんー? そんな厳しく言わなくても。・・・・・・ママみたいな言い方だったよ」
「え! そ、そんなわけないだろ。アタシ、優しく言ったよ。・・・・・・ほら、始まるぞ?」
そうこうしているうちに、会場内にアナウンスが流れた。いよいよ、イベント開幕だ。




