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振り子  作者: 糸東 甚九郎
第八幕  動き出した者達
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六十六・懐かしの四人

六十六・懐かしの四人



   ~~~♪♪  ~~~♪♪♪  ~♪♪


 優雅なBGMが流れる、落ち着いた雰囲気のレストラン内。

 丸いテーブルの上には、純白でレースのテーブルクロスが掛けられており、高級そうな椅子には男性が一人、女性が三人、それぞれ座っている。


「ほんっと、久しぶりねー。あたしたちが『四人』で、こうして会うのはさーっ!」

「いきなり連絡来るんだもーん! でも、私も息抜きしたかったし、良かった!」

「本当だね。でも、小紅サンも優太サンも、誘っていただき、ありがとうございます!」

「水穂ちゃんも澪ちゃんも、久しぶり! あ。三人はたまに飲んだりしてたんだよね?」


 優太と小紅は、宇河宮市内にあるレストランの、ランチバイキングに来ていた。

 同席しているのは、渡良瀬水穂と、小紅の幼馴染みで水穂と同級生の薬剤師、杉山(すぎやま)(みお)


「そうだよぉ。小紅センパイと私とミオで、『はたらく主婦飲み会』をねっ!」


 水穂が、にこにこしながら優太に応える。


「聞いてよ。水穂ってさ、あたしより数倍飲むんだよ? この前、天ぷら屋でさー・・・・・・」

「ひぃえぇーっ。ちょっとちょっと! ここじゃ、その話題ナシだってば! だめーっ!」

「なんでよ? 水穂のベロベロになった話、伝説的じゃんー」

「え? そうなの? 水穂ちゃん、飲まないって以前聞いたような気がするけど?」

「優太サン、聞いて下さいよ。水穂、旦那さんが下戸だから家では飲まないけど、その分、外ではガッツリ飲むんです。軽く、大ジョッキ四杯はいきますね。男性顔負けですよ」

「うひいぃーっ! ちょっとぉ、ミオーっ! 恥ずかしいから、やめてぇー」


 小紅と澪に暴露され、水穂はグラスに注がれていた冷水を、一気飲みした。


「その分、澪は日本酒派で、ほっこり飲むんだよね? あたしもこの前、澪に美味しい日本酒、いくつか教えてもらったのよ。・・・・・・職場に、すっごく飲む人がいるんだっけ?」

「そう。ものすごく飲みますよ。『うわばみ』って異名を持ってたほどに」

「す、すごいねその人。・・・・・・日本酒かぁ。うちには、あまりないね」

「だって、飲まないじゃん。あたしは飲むけどさ?」


 小紅、優太、澪が話しているうちに、水穂はバイキングコーナーで料理を品定めしている。


「このお店、昼から美味しいワインも飲めるんだよ。澪ちゃん、もし日本酒がよければ、地酒バイキングコーナーもあるみたいだから、試してみると良いよ?」

「ありがとうございます。優太サンが良いお店教えてくれて、良かったですよ」

「気にしないでー。今日はみんな電車で来たんだし、ゆっくり楽しもうよ」

「わたしも、子供たちは今日、親が見てくれてるので。・・・・・・飲みます!」

「娘二人がいなくて、昼間から四人で飲むのは、新鮮な感じだね?」

「まぁ、そうよね。じゃあ、あたしたちもそろそろ料理を・・・・・って、水穂は?」


 小紅は、きょろきょろと店内を見回した。


「小紅サン。水穂なら、既に、あれ・・・・・・」


 澪がそっと指差す先では、水穂が銀の皿にたくさん料理を盛り、赤と白のワイングラスを選んでいた。


「るんるん。美味しそうなワインだぁ! 優太センパイ、いーぃお店知ってるんだねー」


 ひとりで鼻歌を歌いながら、ごきげんな水穂。小紅と澪は顔を見合わせて大笑い。


「まったく、水穂らしいよ。・・・・・・あれで本当に二児の母かぁ? 昔と変わんないよねー」

「水穂にほとんど食べられちゃいますよ? 小紅サン、優太サン、行きましょ?」

「・・・・・・そうねー。さぁーて、今日は家のこと忘れて、ゆっくりしようね!」

「そうだね。たまには、こんな日もぼくたちには大切なんだよ。さて、何食べようかなー」


 ロブスターのクリームソース掛けを見ている優太。

 その向こうで小紅と澪は、鴨のオレンジソースやパエリア、ブイヤベースなどを品定め中。

 水穂は、ミートローフやリエット、ニョッキなどをまた大量に盛っている。それを小紅が「多すぎだってば!」と大笑い。

 優太は、その楽しそうな小紅の表情を見て、ひとり微笑みながら料理を皿に盛っていた。


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