五十五・父、お仕事中
五十五・父、お仕事中
ブロロロロロロォー・・・・・・ ブイイイーンッ
「・・・・・・すまんな、常盤君。何とか、ここは挽回しないとまずい。頑張ろう!」
「すみません、長岡部長。まさか、こんなことになるとは・・・・・・」
「いや、これは君の責任じゃない。確認が甘かった俺の責任だ。気持ちを切り替えよう」
「請け負った会社側も、困ってましたね。ここにきて、部品が無いなんて・・・・・・」
紅葉の父、優太は、社用車の助手席に上司の長岡篤志を乗せ、高速道路を降りて宇河宮市街を走っていた。
「我が社が、一大イベントとして推進してきた産業博覧会だが、まさか、部品が無いので会場が作れませんなどとは言えんしな。・・・・・・しかい、特殊サイズのモリブデン鋼製のネジがここまで手に入らないとは。完全に、俺の確認不足だ。常盤君、申し訳ない・・・・・・」
長岡は、優太に対し、声のトーンを落として謝る。
「いやいや! 部長だけの責任ではありません。プロジェクトの遂行責任者はぼくですし、請負業者との密な確認を怠ってしまったぼくが悪いんです。・・・・・・すみません・・・・・・」
「ふぅぅ・・・・・・。まぁ、起きてしまったことは仕方ない。社長には俺が報告をしておくよ。何とか、新たな職人や業者をすぐに探して、間に合わせよう! 富山やその近辺では見つからなかったが、栃木で探せれば・・・・・・」
「・・・・・・そうですね。ぼくも、全力で当たって探しますので!」
「俺も、知り合いのツテを頼りに、探してみる。そちらも頼んだぞ、常盤君。頑張ろうな」
「・・・・・・はい。何としてでも、間に合わせましょう、部長!」
優太と長岡は、拳をぐっと合わせ、目に強い力を込め、静かに頷き合った。




