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振り子  作者: 糸東 甚九郎
第五幕  親と子 小紅と紅葉
43/211

四十三・常盤紅葉 対 早乙女小紅

四十三・常盤紅葉 対 早乙女小紅



 ―――~~~


「あれ? アタシ、優璃と寿司食べて帰ったんじゃなかったっけ? どこだここ?」

「・・・・・・ねぇ? なんであんた、あたしと同じ髪留めしてんのよ? そこ、どいて?」

「え? ・・・・・・うっそだろ! なんでママが制服で!」

「はぁ? 失礼だな。誰と間違えてんの? あたしを幾つだと思ってんのよ!」

「(なんだこれ? てか、実際目の当たりにすると、アタシとママ、よく似てるなー)」

「ねぇ! あたし、急いでんの! 帰るんだから、いい加減そこ、どいてくんない?」

「・・・・・・何か、よくわかんねーや。・・・・・・あえて、イヤだと言ってみる。通さねーよ!」

「はぁ? その制服、宇河商業? あんた・・・・・・どっかで見たような気もするけどさぁ」

「そうか。きっと、夢だ! ママ! ・・・・・・通りたかったらアタシを倒してみろよ!」

「何なのよ、急いでんのに! あたしは帰るんだ。そこをどけっての、ろくでなし!」

「(この短気っぷり、話し方、どー見てもママだ。面白い! どーれ。腕試しに・・・・・・)」


    ババババチイッ!  ドガガガァッ!  バチバチバチィッ!


「な、なんっだこれ! 夢だろ? い、いってぇー・・・・・・。ママ、恐ろしく強ぇじゃん」

「なんか、あんた他人な気がしなくてさ? だから手加減したよ。なんか不思議な感じ」

「アタシより、数倍強いんだな、昔のママ・・・・・・。なぁ、名前、小紅ってんだろ?」

「え! なんであたしの名前を!? ・・・・・・ほんと、いったい誰なのよ、あんた?」

「・・・・・・紅葉だよ。・・・・・・あー。やっぱり、ママには敵わねーな・・・・・・」

「くれは? ふーん。・・・・・・紅葉ね。・・・・・・紅葉。・・・・・・紅葉!」


 ~~~―――


「・・・・・・葉。・・・・・・紅葉! おい、紅葉ってば!」

「・・・・・・。・・・・・・え! は? え?」


 紅葉は、リビングのソファーでお腹を出して、仰向けに寝ている。

 数回大きな声を出し、小紅が揺り起こしてやっと目を覚ました。


「・・・・・・なんだ。やっぱ、夢かよー・・・・・・」

「夢見ながら、なんかジタバタしてたよ? まぁた、喧嘩でもしてる夢見たんでしょ!」


 小紅は、紅葉のおでこにデコピンをして、キッチンへ向かった。


「まぁ・・・・・・。間違ってはいないかな・・・・・・(相手はママだったけど)」

「ねぇ、紅葉?」

「・・・・・・なに?」

「バイト、今度の土日なんだって? 優璃が言ってたよ。・・・・・・危ないバイトじゃないんでしょ?」

「だいじだって言ってんだろ。アタシ自身のことには、自分で責任持つっての」

「まぁ、あんたも自分なりにいろいろ考えてるんだろうから、あたしはもう、そんなに言わないことにするよ。・・・・・・ただし、危ないことだけは、ほんとにやめてよね」

「は? な、なんだ急に? ママらしくねーじゃん。・・・・・・そう言えば、優璃は?」

「友達と図書館で勉強してくるってさ。たぶん、穂花ちゃんとでしょ」

「・・・・・・あー。それは、ママ・・・・・・」

「ん?」

「・・・・・・やっぱいいや。・・・・・・ねぇ。なんかママのアルバムから、これが出てきたんだけどさ・・・・・・」


 紅葉は、ポケットから写真を取り出し、小紅に見せた。

 小紅はその写真を見て、「あら」と言い、にっこりと微笑んでいる。


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― 新着の感想 ―
[一言] 夢だけど、やっぱり小紅の方が強かったんですね(笑) 『母は強し』と言いますもんね。 志麻も紅葉のように現代に生きてたら、女の子らしい悩みを抱えていたのかも知れません。 若い頃の悩みは、後から…
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