表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
振り子  作者: 糸東 甚九郎
第三幕  姉と妹の、進む道
27/211

二十七・紅葉の決意

二十七・紅葉の決意



   バルルルルンーッ  バルルルルウウゥーーーゥ・・・・・・


「なー、紅葉ぁ?」

「ん?」

「・・・・・・なんか、悪ぃなぁ。本当に、いーのかよー?」


 玄桐は、スクーターを走らせながら、後ろにいる紅葉に、大きい声で問う。


「別に。アタシは平気。気にしないでいいから」

「そう言ってもようー・・・・・・」


 ―――。


「・・・・・・で? アタシは何をすれば? ・・・・・・はい。わかりました。金曜日の夜ね?」

「く、紅葉ぁ? だ、誰に電話したんだぁ?」

「名刺のコイツ。・・・・・・ガブーンバイパー社の、十六夜ってやつ。来週の金曜にさ、アタシに今後の詳しいことを教えてくれるってさ。・・・・・・いい金になるといいけどな!」

「な、なんで急に・・・・・・」

「・・・・・・おじさん! 工場がまた再開するまでの資金、アタシが何とかしてやる。だから、諦めないで。・・・・・・銀行の田村さん、それまで、返済が滞らなきゃいいんだろ?」

「ま、まぁ、そうだねぇー。・・・・・・水崎さんの経営状態さえ、戻れば・・・・・・」

「決まり。アタシにまかせといて、おじさん! 玄桐、アタシの金も使ってよ?」

「わ、わっけわかんねーよ、紅葉! おいらんちとすれば、そりゃありがたいけど、紅葉にそんなことを・・・・・・」

「そうだべ。いくらなんでも、そりゃー・・・・・・」

「固いことは、抜きだ! アタシだって、バカ狩り卒業のいいチャンスだしな。それに、新しい『仕事』にありつけるなら、進路だって、うまく決まるかもしんないだろ?」

「い、いや、でもよぉー・・・・・・。あの会社、怪しそうだし・・・・・・」

「つべこべ言ってる時間はねーんだぞ、玄桐? 実家やおじさんを助けたいなら、お前もアタシと頑張れよ! ・・・・・・おじさん。もうしばらく、耐えてちょうだいよ?」


 ―――。


 紅葉は、耳元を抜けてゆく風の音を聞きながら、夜空を見上げていた。


「なんかさー・・・・・・」

「え? 何?」

「・・・・・・玄桐んちを見て、思ったよ。両親のいるアタシは、恵まれすぎてるんだな・・・・・・」

「何? 何だよ、紅葉? よく聞こえねーよぉ? どーしたんだぁ?」

「・・・・・・ちっ! 玄桐! アタシは、アタシのために、ああいう選択したんだかんな!」

「な、何が何だか、おいら、わけがわかんねーよー。・・・・・・まっ、紅葉、ありがとうな!」

「・・・・・・礼はまだ早いよ。玄桐こそ、傷、応急処置してくれて、サンキューな・・・・・・」


   バルルル  バルルルルンーッ

   バルルルルウウゥーーーゥ・・・・・・


 排気音を響かせ、玄桐は紅葉の家にまっすぐスクーターを走らせた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ