二十七・紅葉の決意
二十七・紅葉の決意
バルルルルンーッ バルルルルウウゥーーーゥ・・・・・・
「なー、紅葉ぁ?」
「ん?」
「・・・・・・なんか、悪ぃなぁ。本当に、いーのかよー?」
玄桐は、スクーターを走らせながら、後ろにいる紅葉に、大きい声で問う。
「別に。アタシは平気。気にしないでいいから」
「そう言ってもようー・・・・・・」
―――。
「・・・・・・で? アタシは何をすれば? ・・・・・・はい。わかりました。金曜日の夜ね?」
「く、紅葉ぁ? だ、誰に電話したんだぁ?」
「名刺のコイツ。・・・・・・ガブーンバイパー社の、十六夜ってやつ。来週の金曜にさ、アタシに今後の詳しいことを教えてくれるってさ。・・・・・・いい金になるといいけどな!」
「な、なんで急に・・・・・・」
「・・・・・・おじさん! 工場がまた再開するまでの資金、アタシが何とかしてやる。だから、諦めないで。・・・・・・銀行の田村さん、それまで、返済が滞らなきゃいいんだろ?」
「ま、まぁ、そうだねぇー。・・・・・・水崎さんの経営状態さえ、戻れば・・・・・・」
「決まり。アタシにまかせといて、おじさん! 玄桐、アタシの金も使ってよ?」
「わ、わっけわかんねーよ、紅葉! おいらんちとすれば、そりゃありがたいけど、紅葉にそんなことを・・・・・・」
「そうだべ。いくらなんでも、そりゃー・・・・・・」
「固いことは、抜きだ! アタシだって、バカ狩り卒業のいいチャンスだしな。それに、新しい『仕事』にありつけるなら、進路だって、うまく決まるかもしんないだろ?」
「い、いや、でもよぉー・・・・・・。あの会社、怪しそうだし・・・・・・」
「つべこべ言ってる時間はねーんだぞ、玄桐? 実家やおじさんを助けたいなら、お前もアタシと頑張れよ! ・・・・・・おじさん。もうしばらく、耐えてちょうだいよ?」
―――。
紅葉は、耳元を抜けてゆく風の音を聞きながら、夜空を見上げていた。
「なんかさー・・・・・・」
「え? 何?」
「・・・・・・玄桐んちを見て、思ったよ。両親のいるアタシは、恵まれすぎてるんだな・・・・・・」
「何? 何だよ、紅葉? よく聞こえねーよぉ? どーしたんだぁ?」
「・・・・・・ちっ! 玄桐! アタシは、アタシのために、ああいう選択したんだかんな!」
「な、何が何だか、おいら、わけがわかんねーよー。・・・・・・まっ、紅葉、ありがとうな!」
「・・・・・・礼はまだ早いよ。玄桐こそ、傷、応急処置してくれて、サンキューな・・・・・・」
バルルル バルルルルンーッ
バルルルルウウゥーーーゥ・・・・・・
排気音を響かせ、玄桐は紅葉の家にまっすぐスクーターを走らせた。




