二十六・ガブーンバイパー社にて
二十六・ガブーンバイパー社にて
・・・・・・ぎしっ ・・・・・・ぎしり
ガラス張りのオフィスルームで、黒い革製のビジネスチェアが、軋む音を立てて揺れる。
「で? 十六夜。・・・・・・その、常盤紅葉ってのは、我々のところへ来てくれそうなのか?」
ロマンスグレーのふさっとした髪の男が、椅子をくるりと回し、十六夜に問いかける。
「ええ。きっと。そろそろ、決めてくれると思いますよ。・・・・・・一之瀬暁専務!」
「今度の計画は、我が社としても、うまい具合にやらねばならん。五所ヶ原社長も、注目しているんだ。・・・・・・相手方との契約通りにやってくれる者だといいがな・・・・・・」
一之瀬は、腕組みをして深く座り直し、十六夜とじっと目を合わせたまま。
・・・・・・むー むー むー むー
「失礼、専務・・・・・・。知らない番号・・・・・・? ふんふふーん。これは、かかったかなぁ?」
十六夜のスマートフォンが震えた。一之瀬も、ぴくりと片眉を上げる。
「ふんふふーん。もしもし? ガブーンバイパー社、十六夜です。・・・・・・ええ・・・・・・」
話しながら、段々と顔に笑みを浮かべる十六夜。髪をさっと指でかき上げ、電話を続ける。
「・・・・・・そうですか! ありがたいね! では、詳細は金曜の夜に。追って連絡するよ」
・・・・・・タンッ ・・・・・・ピッ
「・・・・・・どうやら、受けてくれたようだな? 手応えは、どうだった?」
「ふんふふーん。・・・・・・ええ。バッチリ! あとは、本人に頑張ってもらいましょう!」
「よし、十六夜。五所ヶ原社長のもとへ報告に行こう! いい者が見つかった、とな!」
一之瀬は立ち上がり、十六夜を連れて、社長室のある階へと向かっていった。




