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振り子  作者: 糸東 甚九郎
第三幕  姉と妹の、進む道
23/211

二十三・穂花の母は、保育士なのだ

二十三・穂花の母は、保育士なのだ



「〔えぇ? ほんとなの、それ! ・・・・・・紅葉がねぇ・・・・・・〕」

「だって、うちの子が、さっき電話でそう言ってたよ? 格好良かったー、ってさ!」

「〔マネしないように言ってね? まったくもう、毎日、何やってんだかほんっとに最近、わかんないのよー。・・・・・・進路もどうするんだか、まだわからなくてー・・・・・・〕」

「大変だねーっ。・・・・・・まだ、うちはそこまでの時期になってないのかなー」

「〔あんたんとこも、初の受験だから大変でしょ? あー、もぉ! 紅葉ー・・・・・・〕」

「紅葉ちゃんと、よーく話してみたら? 短気起こして、叱り飛ばしちゃだめだよー?」

「〔わかってる。・・・・・・はぁーっ・・・・・・〕」

「それにしても、話聞いてみたら、やーっぱり親子の血は争えないねー? なんだかさぁ、誰かさんの昔と、すごーく被る部分があるんだけどなぁー」

「〔は? ・・・・・・ちょっとぉ? あたしは、紅葉みたいにいきなりぶっ飛ばしたりはしなかったでしょ? 正当防衛なときだけやったの、あんたも覚えてるでしょ?〕」

「まぁ、そーね。・・・・・・あ! そろそろ、最後のお迎え来る頃だ。じゃ、そんなわけでー」

「〔教えてくれて、ありがとうね! あたしも今日は残業だー。月末の集計だよー〕」

「うひぃー。そりゃ大変だね! 頑張ってー? また今度、三人で飲もう?」

「〔そうだね! あたしも、息抜きしたいな。じゃ、またね!〕」

「はいはーい! まったねぇー」


   ・・・・・・タンッ  ・・・・・・ピッ!


 水色のスマートフォンをタップして、細い指の保育士が小紅との電話を切る。それは、穂花の母であり、小紅とは幼馴染みの後輩、(わた)()()(みず)()


「水穂先生ー? 麦倉寛人(むぎくらかんと)くんのママ、お迎え見えましたよー」

「あ! はぁーい! すみません、園長先生! 今行きまーす!」


 廊下をパタパタと早足で歩き、迎え待ちの小さな男の子の手を引いて玄関へ向かう水穂。


「かんとーッ! お迎えに来たよぉーッ! くすっ。さぁ、先生にさようならして、ママと帰ろうねぇーッ? 水穂先生、すみませんでした。こんな遅くまで・・・・・・」

「いえいえ、だーいじょうぶですよー。麦倉さん、お仕事、忙しそうですねー?」

「なかなか高校生も、悩み多い子がたくさんいましてねー。心が揺れ動いてるんで、毎日じっくり話を聞いてあげないとならないのでー。・・・・・・今日なんか、放課後、十人ですよ?」

「ひぇー。それは大変ですね! ・・・・・・あ! かんとくん、今日はお昼寝の時にー・・・・・・」


 お迎えに来たのは、学校カウンセラーの麦倉先生だった。子供を抱っこして水穂と二十分ほど話し、にこやかに手を振って、保育園から帰っていった。


「高校生相手かー。私も大変だけど、みーんな大変だよねー・・・・・・。さーて、残りの仕事、終わしちゃおうっと! はやく帰って、ゴハン作らなきゃーっ!」


 麦倉先生の車を見送った後、水穂は小さくガッツポーズをして、職員室に戻った。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 小紅のみならず、水穂までッッ!!!! 糸東ワールドキャラ全員集合か!?wwww
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