十七・優璃の進路は
十七・優璃の進路は
「ゆりちゃーん、今日はこの後、図書館どうするー?」
「うん、今日も行くよ。ほのかちゃんは?」
「わたしも行くよっ! 今日は、数学と理科を徹底的にやりたいしー」
「じゃあ今日も、またたくさん勉強しようね! ゆり、職員室寄るから、先に行ってて?」
「オッケー。学力キープして、ぜったい志望校に受かってやるんだからー」
「ほのかちゃんは、頭いいから、いいなぁ。ゆり、やっぱり自信なくてー」
「ゆりちゃんも、第一志望で考えてるのは、柏沼でしょ? だーいじだってぇ!」
「う、うーん。・・・・・・できれば、ママやパパの出た高校、入りたいからさ?」
「だーいじよっ! いっぱい勉強して、受かろう? じゃっ、おっさきぃー」
優璃と同じクラスの渡良瀬穂花は、青いバッグを背負って、手を振りながら駆けていった。
職員室で優璃は、学級日誌を担任の机に置き、進路希望調査のプリントをバッグから出す。
「おや。やっと調査票、持ってきてくれたんだね? 常盤さんっ」
「あ、先生。すみません、遅くなっちゃって。やっぱり志望校は、柏沼高校に・・・・・・」
担任の前原悠樹先生は、首にタオルをかけ、優璃の提出した紙を手にとって、椅子にぎしっと腰かける。
「そうかぁー。柏沼ね。常盤さんが希望する意思は応援するよ、先生も。だけど、もう少し学力を上げないと、一般入試では厳しいかなぁ。特色選抜入試で先に狙ってもいいけどね? 僕の考えでは、ひとつ下げて柏沼東か明日市にした方がいいかなぁ、と」
「はい・・・・・・。でも、やっぱり、どうしても柏沼高校に入りたいんです」
「そうですか。それはご両親も、それで納得してる? 大丈夫ですか?」
「ママにもパパにも、柏沼受けるとは伝えてあります。ママは少しだけ心配してますけど」
「常盤さんのお母さんとも、また、面談の時に話してみましょう?」
「すみません。お願いします。・・・・・・前原先生も、柏沼高校出身なんですよね?」
「うん、そうだよ。常盤さんのお母さんのことは、小さいころから実家も近所だったから、僕はよく知ってるよ。すごく、面倒見のいいお姉さんって感じだったねー」
「そ、そうだったんですか! それはゆり、知らなかったですー」
「まっ、願書提出まではまだまだ先だから、じっくり決めましょうか?」
《 ~♪♪ 前原悠樹先生、前原悠樹先生。おりましたら、生徒指導室まで・・・・・・ 》
「あ。呼ばれてる。・・・・・・それじゃ常盤さん。また今度、進路面談の時によく話そうね」
「はい。よろしくお願いします。それじゃ先生、さようならー」
優璃は先生にぺこりと頭を下げ、図書館へ向かった。自転車のペダルを、ゆっくりこいで。




