十五・何だかんだで紅葉は強かった
十五・何だかんだで紅葉は強かった
バキャアッ! ゴシャアンッ!
ガラガラガッシャアンッ! ガランガラァン
「なっ・・・・・・なんだぁ、この女・・・・・・」
「ふ、ふざけんじゃねぇぞー・・・・・・」
「はいはい。うるせーから、もう黙ってな・・・・・・っての!」
グンッ グシャアッ! バキャアッ!
「「 ぐ、ぐおあー・・・・・・っ 」」
紅葉は男十人に囲まれていたが、わずか五分であっけなく片付けてしまった。
「弱いのが何人集まろうと、弱い奴は弱いんだよ。ばぁーか! そんじゃ、アタシを暴れさせた詫び賃、もらってくかんなー?」
「やったぜぇ、紅葉! さっすがぁー。いえーぃっ!」
「いえーい、じゃねーよ! 玄桐がヘマするから、一歩間違えばアタシがこいつらを理由もなくぶっ飛ばしちまうとこだったじゃんかよ。もーちっと、うまくやれっての!」
ぺしんと玄桐の頭を叩く紅葉。玄桐は「わりぃー」と苦笑い。
「おー。見て見て! 玄桐! はい、全部で二十万ゲーット!」
倒れた男たち数人の財布から、一万円札を抜き取り、ぽんっと空の財布を投げ捨てる紅葉。
・・・・・・ひらり
「ん? なんだぁ、それ? 紅葉。何か落ちたぜ?」
「え?」
男の財布から、一枚の名刺がひらりと落ちた。紅葉はそれを拾い、街灯の下に移動して読んでみる。
「・・・・・・芸能・人財プロデュース? ガブーンバイパー社、十六夜岳? なんだこれ?」
「この男じゃね? でも、芸能プロデューサーって感じじゃねぇよなぁー」
「芸能界か。アタシもデビューできっかな? アクション女優、常盤紅葉だー、なんてな」
「ムリだろー。紅葉よりも、おいら! スーパー高校生の水崎玄桐サマがデビューだぜぃ」
「なーにが、みずさきげんとさま、だよ! お前じゃチャラくて、画にならないよっ!」
「ひ、ひでぇー。お、おいらだってなー、きっとその会社のスカウトマンが見れば・・・・・・」
「ま、アタシには関係ねーわ。どーせ、店に来たやつか何かの名刺だろ。玄桐、行くよ!」
紅葉はその名刺を投げ捨て、玄桐と闇の奥へ歩いてゆく。ひらりひらりと夜風に舞い、それは倒れた男の顔にパサリと落ちた。
「・・・・・・あ、あの女にガキ・・・・・・。と、常盤紅葉に、水崎玄桐・・・・・・だと?」
男の一人がよろよろと立ちあがり、名刺を拾ってスマートフォンを取り出し、どこかへ電話をかけ始めた。
「あ・・・・・・。も、もしもし・・・・・・? が、ガクさんっすか? ・・・・・・実は・・・・・・」
夜空の月は、次第に雲に隠れてゆく。
月明かりが薄くなり、街には一気に暗さが増した。




