百・運び出す金額数は35億です
百・運び出す金額数は35億です
ぶろろろろぉー・・・・・・ ぶろろろろろー・・・・・・
「・・・・・・。・・・・・・。」
「どうしたのよ、紅葉? ・・・・・・まぁ、今日は大変だったろうけどさー」
優太が運転する車の後部座席で、紅葉はずっと外を見つめて黙っている。助手席に座る小紅が、心配して紅葉に声をかけるも、返事はない。
黙ったまま、紅葉は重苦しそうな溜め息をついた。
「(・・・・・・本気かよ、三十五億の運び出しなんて。しかし、ヤバすぎる会社だな。野上アンたち、よくあんなとこにいられるよな。芸能人っていっても、華蓮さんと大違いだな)」
「・・・・・・ん? どうしたの?」
「いや、何でもない。それよりママ・・・・・・あれから足、だいじなの?」
「んー。平気よ。苺にずっとマッサージ受けてたからね」
「・・・・・・そう。なら、よかったけど・・・・・・」
「ねぇ、紅葉?」
「・・・・・・なに?」
「・・・・・今日、あんた一生懸命やってたね? あんな不審者にも、勇敢に立ち向かえてさ」
小紅は、後ろを振り向きながら、紅葉の顔を見て微笑む。
「あの眼鏡ファイヤー野郎をぶっ倒したの、ママだったけどな。アタシは特に何も・・・・・・」
「しっかし、ひどい会社ね! 紅葉みたいな女の子に警備任せるなんて。信じらんない!」
「・・・・・・ねぇ。・・・・・・ママ。・・・・・・あと、パパも、ちょっと聞いてくんない?」
「ん? なにかな?」
優太も、ルームミラー越しに、ちらりと一瞬だけ紅葉と目を合わせる。
「ガブーンバイパー社のヤバさは、想像以上だった。まだあいつら、何かとんでもねーことやろうとしてるかもしれないんだよ! アタシ、この契約書に、守秘義務がどうだの何だの不利なことばかり書いてあるけど・・・・・・もう、ぶっちゃけようと思うんだよ!」
「ど、どういうことだい、紅葉?」
ぶろろろろろー・・・・・・ ぶうういいいーんっ・・・・・・
アクセルを踏みながら、耳を傾ける優太。小紅も、紅葉の目を見つめながら、黙って話を聞いている。
「もういいや! 黙ってても意味ないし! あの会社の裏を、聞いてよ!」
「・・・・・・な、なに? 紅葉。あたしもパパも、聞いてあげるから、話してごらん!?」
「いったい、何があったんだい、紅葉?」
「これは・・・・・・あの、ガブーンバイパー社の十六夜ってやつが話してたんだけど・・・・・・」
紅葉は、小紅と優太に、真剣な顔をして話し始めた。
車は、西日を正面に受けて黄昏色に染まり、家へと走っていった。




