表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/131

34

狭いベッドのかなりギリギリの端に身体を寄せて、リディアはディオンに背を向けていた。もうこれ以上は行けない……多分、いや絶対落ちる。


「そんなに離れなくてもいいのに。なんか傷付くなぁ」


嘘だ。声が如何にも愉しいと言わんばかりにしか聞こえない。


「煩い……黙って、寝てよ」


背を向けたままリディアは返事を返して、目をキツく閉じた。それ以降ディオンから何を言われても完全に黙りを決め込む。反応がなくなったリディアに、諦めたのか暫くすると背中越しに微かな寝息が聞こえてきた。


リディアはため息を吐く。全く眠れない……。


静かに身体を傾け、ディオンを覗き見た。よく寝ている……いい気なものだ、人の気も知らないで。そのまま暫くリディアは、ディオンの寝顔を眺めていた。


「……」


「ん……」


口を少し開き、起きている時より幼く見える。


「ふふ、可愛い……」


やはり、寝ている時の兄は可愛く見える。普段との違いが激しい故に、余計なのかも知れない。あどけなさを感じる寝顔と幼い頃の兄が、不意に重なって見えた。リディアの口元が緩む。


頬を人差し指で、ツンツンと少し強めに押してやると、眉根を寄せ不機嫌そうな表情になる。普段の嫌味の仕返しだ。


「⁉︎」


優越感を噛み締めていると急に腕を掴まれた。リディアの心臓と身体が跳ねる。起こしてしまった……と思ったが杞憂だった。どうやらまだ兄は夢の中の様だ。


ちょ、ちょっとっ……動かないでよ。


掴まれた腕を引き寄せられて、気付けばリディアはディオンの腕の中に収まってしまった……。


何、この状況……最悪なんだけど。


いつかのディオンが、酒に酔った時の事を思い出す。これはまた、朝起きたら逆ギレされるやつだ。リディアは、もがいて腕の中から抜け出そうとするが、逆に抱き締められていた腕の力が強まってしまう。


何なのよっ一体……む、無理だ……諦めよう……。


仕方がないので、リディアは大人しくそのままで寝る事にする。


身体がおかしい……。


次第に全身が熱くなってきた。触れている部分は、更に溶けそうな程に、熱い……。


ふとディオンに口付けをされた時の事が、蘇り身悶える。どうしてこんな風になるのか、リディアには分からない。だが、酷く喉が渇いている感覚を感じた。


リディアはディオンの胸に顔を押し当て目をキツく瞑り、ひたすらに耐えた。朝が来るのをただ待つしかない。






私、また風邪引いたかも……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ