表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/131

10

「だからね、二人とも未だに婚約者もいないでしょう?ね?」



ね?っとちょっと可愛らしく言われても困る。そして、初耳だ。クロディルドの息子達といえば無論、王太子と第二王子なのだが……そう言われると二人共に、年頃なのにも関わらず婚約者や浮ついた話一つ聞かない。だがまさかリディアと結婚させようとしている為だとは誰が思うのか……。


「王妃様、ご冗談が過ぎます」


流石のリディアも真に受ける事はなく、何時ものクロディルドの軽口だろうと思った。


「あら、私は本気よ。だから貴方が婚約したと聞いた時は、結婚する前にどうにかして奪還させなくちゃってね、考えてたのよ。でも、私が手を下すまでもなく無事婚約破棄してくれたから良かったわ」


もしクロディルドが話している事が真実ならば、色々と怖すぎる……。


リディアもその隣に座っているシルヴィも息を呑む。穏やかな笑みからは、それ以上のものは感じ取る事は出来ないが、話の内容はかなり危うい。


「心配しなくても大丈夫よ、シルヴィ。勿論貴女もどちらかと結婚して貰いますからね」


リディアもシルヴィも目を見開き、驚き過ぎて声が出なかった。


「あらあら、お茶が冷めてしまったわ。ヒルデ、淹れ直してくれるかしら」


「畏まりました」


その後、何事も無かった様にクロディルドはお茶を啜り、何時もと変わらず穏やかに微笑みながら、何気ない話をしていた。やはりあれは冗談だったのかも知れないと、リディアとシルヴィは思い、互いに顔を見合わせると胸を撫で下ろす。


「少し余ってしまったわね」


テーブルの上の菓子は、減ったかどうかすら判別出来ない程変化がない。かなり頑張って食べた筈だが未だに、山の様に積み上げられていた。


「そうだわ!二人ともお裾分けに行ってきて貰えないかしら」










リディアとシルヴィは大きな籠いっぱいに菓子を詰め、廊下を歩いていた。


「お裾分けって、まさか騎士団へなんてね」


「ふふ、そうね。きっと兄さん達驚くでしょうね!それに実は兄さん、結構甘い物好きだから喜ぶわ」


「リュシアン様、甘い物好きなの?食べてる所なんて見た事ないけど」


リディアは何度もリュシアンともお茶の席を共にした事があるが、甘い物を食べている姿を見た記憶はない。


「兄さん見栄っ張りなのよ。男が甘い物好きなんて格好悪いからって、人前では食べないの……特にリディアちゃんの前ではね」


「何で、私?」


「ふふ、内緒」


意味ありげに愉しそうに笑うシルヴィに、リディアは不思議そうに首を傾げた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ