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8/姉の叱咤

いつもワクワクしている事その2。


好きな事を書く。


商業的、営利的だと世間のニーズ寄りになるけど(転生とか?)

書くための燃料として、自分の好きなジャンルは外せないですね。


昔からアクションも好きなんですが、

まだ構成やら気分やらが……(涙)

●回想/秘密


 他人の秘密を覗く事。

 今思うと、探求心が強いわけではなかった。

 ただ、他人の弱みを握って優越感に浸りたかったのだろう。

 

 ――そう、姉のムラサキと一緒にいると思い知らされる。


 他人の秘密など、知って得する事もない。

 万が一、得したとしても、それはその時だけ。

 いつかはしっぺ返し、大きな損が自分に返ってくる。


 だから、菊池シュンはあまり他人と深く付き合うつもりはない。

 ある程度、仲良くなってしまうとムラサキが秘密を持ってくる。

 

 その人が、誰にもいっていない秘め事を知ってどうするのか。

 結果、どうする事もできないのだ。

 

 だがその秘密が漏れたと知れれば、当然しっぺ返しが飛んでくる。

 

『なぜ、知っているのか?』

『誰にも教えていないのに?』

『人間として最低……』


 反応は十人十色。

 総じて、人との繋がりに軋轢が生まれてしまう。


 繰り返しになるが、シュンの経験上、これだけは断言できる。

 他人の秘密など、知って得する事もないのだ。



×××× ×××× ××××



●住宅街/海藤マサキの自宅(夜)


「ただいま、シュンちゃん」

「お帰り。ちゃんと海藤マサキは戻ってた?」


 海藤マサキが消えていった団地マンションの入り口。

 蛾が集る街灯の元で、菊池シュンは佇んでいる。


 手の平には、小さな鏡。

 そこに雲外鏡のムラサキが映りこむ。


「……胸糞悪いわ、ホント。つーか、きもい」


 質問の答えになっていない。

 しかし、その様子だとあまり良い状態ではなさそうだ。


「散らかった部屋で男1人暮らし。望遠鏡でエリコちゃんの部屋をジロジロ覗き見。ありゃどう見てもまごう事なき、ストーカーね」


「まぁあんな形相で切りかかってくれば、誰がどう見ても変質者かストーカーだろうしね」


 さて困った、と心の中で首を傾げるシュン。

 

 あの海藤マサキを、ストーカーとして警察に突き出す事は簡単だ。

 こちらには秘密を知りたがる妖怪、ムラサキがいる。

 

 証拠の1つや2つ。

 簡単に集められるだろう。

 それらを警察に突き出せば、エリコの身の安全は保たれる。

 

「……それだとなぁ……」

「どうしたの、シュンちゃん?」


 大峰エリコ本人から、なぜ捕まったのかと言及が飛んできそうだ。

 匿名だとしても、被害者側に疑問が多く残る。

 

 直情的なエリコの場合。

 大学やバイト先などの周囲をくまなく訊ねて回りそうだ。

 挙句、ストーカーに目を付けられていたシュンとの関係を掘り下げられる。

 

「そうなると……いかんせん面倒になるし……」

「お~い? シュンちゃ~ん?」


 エリコ自身を守る事も大事だ。

 だが、これは最後の手段として取っておこう。

 これ以上、警察やエリコから注目されたくない。


「……と、なると他には……」

「シュ~~ン、ちゃ~~っん?」


 エリコから、警察にストーカー逮捕を依頼する。

 もしくは警察に相談をして、相手に問題視させる事もできる。


「いやいや、もうそんな事をした結果こうなってるかもしれないし……」


 シュン、頭を無造作にかきむしる。


「ああもうっ! 手詰まりだッ!」


 そもそも、シュンはエリコがストーカーされている事を知らない。

 そうした体裁だ。

 

 エリコを付きまとうストーカーがいる事も。

 そのストーカーがバイト先の副店長である事も。

 男の部屋では、エリコの私生活が覗かれている事も。


 ――全ては、姉のムラサキが手に入れてきた情報だ。

 つまりは、これらは大峰エリコの秘密なのである。


 片思いの相手とはいえ、大学の友人とはいえ。

 菊池シュンが知り得る秘密ではない。


「見知らぬ男に襲われたってだけだろ」


 ――それだけが、シュンの持ち得る情報だ。

 見知らぬ男に、通りすがりに襲われたという事実だけ。

 見知らぬ男とエリコとの関係を裏付けるモノは1つもない。


「『オレ、昨日ストーカーに襲われたんだぁ。なんか悩みがあるなら聞くぞぉ?』って脳天気に切り出せばいいのか!?」


 馬鹿らしい。

 守りたい女性を、心配させてどうするのか。


「シュン!? 落ち着きなさいッ!!」

「――はいッ!!」


 と、条件反射のように返事をするシュン。

 自然と背筋が伸び、少し震える手鏡を見つめる。


「こんなところでグルグル1人で悩んでも仕方ないでしょ。今日はもう帰って休みなさい」

「でも、姉さ――」


「や、す、み、な、さ、い!」

「はい、休みます」


 それでよし、と大きく頷くムラサキ。

 頭が上がらないとはこの事だ。


「今日は私があの男を見張っておくから……しっかり休みなさい。それで明日……いえ、今日の朝にエリコちゃんに相談してみなさい。これはあの子の問題でもあるんだから」


 ふふ、と見透かされたような軽い笑い。


「貴方が考えているより、女の子って弱くないのよ? それに好きな人が危ないっていう意味ではお互い様なんだから除け者なんて可哀そうじゃない?」

読了、ありがとうございます。


設定が先走った内容になりますが、今作は簡単にまとめていきたいと思います。


生暖かく見守っていてください。

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