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11/嫉妬が刃となって

いつもワクワクしている事その5。


ある程度、小説を書ききって、

睡眠をとる事。

そうすると、寝起きがスッキリする。


途中で起きる事もなく、

頭の重たさもない。


自己流の脳内デトックスです(笑)

●住宅街(夜)


 帰り道。

 シュン、熱が入りすぎてしまったと後悔する。


 大峰エリコから、ストーカーの件を話していたつもりだった。

 だが、次第にストーカー男の尻尾をどう掴むのか。

 そうした話題になり、エリコが白熱してしまったのだ。


 半ばしおらしくなった彼女を連れて、菊池シュンは帰り道をたどる。

 シュンの自宅アパートにまっすぐ進み、さらにその先にはエリコの住む高層マンションが建っている。

 だから当然、帰り道は一緒になる。


「……ごめんね、こんな遅くまで付き合わせて」

「謝るなよ。元々お茶を誘ったのはオレだし」


 帰宅するスーツ姿の社会人とちらほら、すれ違う。

 同じ年齢の学生の姿はない。


「ん」


 シュン、ポケットの携帯が震えている事に気づく。

 画面には『江守マサヨシ』とある。

 シュンの叔父にあたる男性だ。


「ごめん。叔父さんからだ。たぶんバイトの話だから先にいってて」


 と、足をとめる。

 ぼんやりと薄い光を放つ街灯に寄りかかるシュン。

 

「…………」

 

 聞かれたくない話なのだろう。

 以前も、どんな仕事を叔父から仕事を斡旋してもらっているのか聞いた事がある。

 だが、収穫はなし。

 その時には何も教えてはくれなかった。


「シュンの知りたい事、増えちゃったなぁ」


 それに、あの携帯は仕事用だろうか。

 いつも使っている携帯とは色も形状も違って見えた。


 ゆっくりと歩くエリコ。

 もったいぶるように。

 電話が終わって、すぐにシュンが駆けつけやすいように。


 少し歩いた先。

 振り向くと、まだ街灯の足元にシュンがいた。

 エリコ、見るからに肩を落とす。


「もうっ私が襲われても遅いんだからね」


 と、遠くにいる彼にいい放つ。

 だが、そんな言葉は届く事もない。


「――襲われるなんて、穏やかな話じゃないね。ボクが悪い虫から守ってあげるよ」


 その言葉が耳に届いた瞬間。

 耳の先から寒気が走る。

 

 それはまるで、耳朶やその入口、その裏を嘗め回されたような感覚。

 ねっとりとした、忌み嫌う低い声。

 

 振り向くと、声の主はそこにいた。

 猫背ぎみにフードを深く被った男。

 陰った目元はよくわからない。

 だが、その下の顎や無精ヒゲに見覚えがある。


 ――海藤マサキ、本人だ。


「アンタ、こんなところで何してるのよッ!?」

「何を? 見てわからない?」


 と、両手の手のひらを向けてくる。

 見ての通り、手ぶらだ。


「大事な君に悪い虫がつかないようガードしてたんだよ」

「ははっ彼氏気取りなんてやめたら。似合わないわよ、きもいし!」


 かくん、と無表情で首を傾げる海藤。


「彼氏気取り? それは心外だ。ボクはただ君を愛しているだけだ」

「それが彼氏気取りの、勘違いストーカー野郎だっていってるの!!」


 と、流し目に背後へ目がいく。

 シュンはまだそこにいる。

 エリコと彼との距離は、全く縮まる気配がなかった。



×××× ×××× ××××



 エリコと海藤が出会う、数分前。

 シュンは携帯で叔父と連絡をとっていた。


『……という事で次の標的は急遽、スケジュールを変更して熱海へ発つ』

「わかりました。詳細に変更は?」


『宿泊ホテルの警備だ。多少の変更がある。悪いが、明日の放課後にいつもの場所で”会食”をしよう』

「はい。ではいつもの時間に伺います」


 シュン、業務的に返事をする。

 この仕事に感情は必要はない。

 指示された依頼を、叔父の意図する形にこなすだけだ。


『次で10人目の大台達成だ。気を抜くなよ』

「……はい」


 珍しい。

 叔父なりの景気づけなのか。

 依頼以外の内容を話をしてきた。

 そのせいで、返事が遅れてしまう。


『常日頃から――』

「――初心忘れるべからず、ですよね。叔父さん」

『ああ、その通りだ』


 初心忘るべからず。

 それは叔父の口癖だ。


 つまるところ技術は、経験値の塊である。

 だがその技術を持ってしても、本人が上手く活用しなければ意味がない。

 宝の持ち腐れというやつだ。

 

 正しい状況把握と、正しい対応、理解が求められる。

 それを繰り返していく事で反省や技術がつくわけである。

 

『油断は死だ。弱みを現した愚かさだ。絶対に弱みを見せてはならない』

「はい、叔父さん」


『機密は厳に。常日頃から心するように』

「心に刻みま――」


「いややゃあぁあああああああぁぁぁ!!!」


 悲鳴につられて目線が向く。

 エリコが歩いて行った目的の方向。

 3つほど先の街灯の近くに、1組の男女がいる。


 黒服の男は、女の手を掴んでいる。

 女は縋るように片腕をこちらに伸ばしている。


「ッ! 失礼します!!」


 と、携帯を握りつぶすぐらい力をこめて通話を切った。

読了、ありがとうございます。


設定が先走った内容になりますが、今作は簡単にまとめていきたいと思います。


生暖かく見守っていてください。

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