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10/大好きなモノへの憤慨

いつもワクワクしている事その4。


最高のパフォーマンスを求めるために、

コーヒーを買いだめする時。


完璧、野外の出来事ですが……

筆がはしり終えるまで、ずっと片手にはコーヒーを備えます。


コレがないと、ダメなんです(切実)

●大学前/喫茶店


「それで警察には通報したのか?」

「したッ! でも物的証拠がないからって追い返された! 家まで付いてくる時、動画とってもフードで顔隠してくるしッ!」


 少し、シュンが俯く。

 逡巡しているのか、目元が左へ流れている。

 

 ムラサキと協力すれば、証拠などすぐに掴める。

 解決できる方法を、今、シュンは握っている。

 

 しかし、これはあくまで最終手段。

 出所不明の証拠が、どこから湧いてきたのか。

 今度はそこに焦点があたるだろう。

 

 やはり警察に注目されるのは避けていきたい。

 自分自身はもとより、叔父にも迷惑をかけてしまう。


 ――何度も自分に訴えるが、あのボールペンは最終手段だ。


「……ごめん。虫のいい話よね」

「そんな事ない。大峰は間違っている事をしっかりいったんだろ。悪いのはその男だし」

「ううん。でも結局ミイラ取りがミイラになっちゃった」


 自分が蒔いた種に、足元をすくわれてしまっている事。

 しつこい、度重なるストーキングに恐怖を感じている事。

 

「今は少し落ち着いたけど……いつ過激な内容になってくるかも……」


 と、さらなる発展を危惧する疲労感。

 それらが相まって、表情にも余裕がなくなっていく。


 シュンの前だからと、やせ我慢をしていた反動か。

 目の前のエリコに、普段の明るさはない。


 まるで枯れてしまった向日葵。

 鮮やかな色はくすみ、ずっと下を向いている。 

 

「……大峰……」


 ふと、エリコの手を見る。

 テーブルの上に乗せた右手の震え。

 それをおさえるように左手を重ねるが、意味をなさない。

 

「悪い。こっちも気づいてやれなくて……」


 いいの、と首を左右に振るエリコ。

 震えを隠そうと大袈裟に。


「私も心のどこかでシュンにすがってた。シュンに引っ付いて海藤の事、忘れようとしてたのは本当なの」


 ――ごめんなさい。

 彼女の唇から紡がれた言葉。

 囁きに近い、弱々しい声。 


「私が我慢すればいいと思ってた。ストーカーされている事を秘密にして

笑顔でいればいいと思ってた」

「…………」


「もし、私が逃げ出せても、また誰かが海藤の標的にされちゃうんじゃないかって……」

「……かもな」


「でも、でもね! この間、海藤はシュンの事を『この間告白して振ってきたフザケタ男ね』っていったのよ!」


 知っている。

 その会話をムラサキから聞いている。

 奇しくも、ムラサキも同じ内容で怒っていた。

 どこか似た物同士なのかもしれない。


「私の、好きな人を――シュンをバカにした!」


 エリコ、目尻に光る雫をためながらシュンを睨む。


「そうよッ! アイツはシュンをバカにしたのよッ! 絶対許さないッ! 人の好きなモンにケチをつけた事、後悔させてやるんだからッ!」


 肩を縮めていた姿はどこへいったのか。

 胸を張り、怒気をはらんだ威勢のエリコ。


「……っはは。とことんお人よしな性格だな、お前って」

「なによッ!? それが悪いっての!?」


「悪いわけじゃないよ。ただ――」

「ただ?」


「お前のそういう好きな他人のために感情的になるところが、やっぱり好きだなーって思っただけだよ」


 と、エリコの赤くなった頬。

 シュンの口元はこれでもか、といわんばかりに緩み切った。

読了、ありがとうございます。


設定が先走った内容になりますが、今作は簡単にまとめていきたいと思います。


生暖かく見守っていてください。

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