勇気をその手に
ある日、若者は旅に出た
【ユウキのミサンガ】を手に入れるために
そのミサンガを身につければ
心が勇気で満ちあふれるという
ふしぎなミサンガ
「フッフッフ…きっとキレイにちがいない」
ユウキのミサンガを求めて 旅がはじまった
若者の名を バヌーと言った
最初にたどり着いたのは とても暑いところだった
火山が吹き荒れ 熱風がバヌーをおそう
「カラダが溶けそうだ でも もうすこし!」
ノドがカラカラになっても たおれそうになっても
ユウキのミサンガを求め チカラをふりしぼる
やがて そこを抜けると
今度は身も凍るほどの 寒さがやってきた
道中出会った 親切な旅人が言うには
ここを通るには 寒さをしのぐお守りがいるという
「何個か持っているから わけてあげるよ」
旅人は持っていたお守りをひとつ バヌーに手渡した
バヌーはお礼に 持ってきたリンゴを渡すと
お守りをポケットに入れた
「ココロの底からあたたかくなるようだ」
旅人に感謝を告げ バヌーは歩きだした
「ユウキのミサンガまで あとすこし がんばろう」
たとえ道がなくても 泥まみれになっても
暑くて 寒くて 足がおもくても
ユウキのミサンガへのあこがれは 止まらない
やがて
バヌーはユウキのミサンガが入った 宝箱の前に立つ
「やっと ここまで来ることができた」
宝箱をあけ ユウキのミサンガを手にとる
ふしぎな素材でできていて じんわり虹色に光っている
「これをつけたら ココロが勇気であふれるはずだ」
バヌーはさっそく家に帰り 身につけようとした
しかし バヌーが周りを見渡すと
しょんぼりとした顔の旅人が 座りこんでいた
どうやら最初の一歩が踏み出せないようだ
バヌーはその旅人の目の前に立ち ミサンガを差し出す
「勇気をその手に」