第2撫で ~脳内でもお腹って減るんだね☆~
「ごしゅじん!これはたべれる?」
川で水分補給をした後森へやってきた俺たち。
クロが黄色いゴツゴツした実を持ってくる。
「何処に生ってた?」
「あそこに落ちてたー」
うん落ちてるのもってくるのはやめような、
何が地面にあるか知らないし虫が中に入ってる可能性もある。
クロが指さした方向を見ると確かに黄色の実がなっている木が見えた。
近づき幹を触っていくと何かがいた痕跡、泥が付着していた、
木に体を擦り付けると言ったら熊などだが熊にしては地面に近い位置に泥が着いている、となると小動物、たぬき、狐、猪などだろうかま何がここにいるかなんて分からないが
(うん?これは足をかけた跡か?木に土が付着している、自然にはつかない位置だ、この位置はその枝に登ったな)
足をかけ枝を伝って木を登っていく、
自慢ではないが木登りは昔から得意だった。
(これは、切り傷か?獣の爪というよりはナイフなどの鋭利で細い刃物だな、しかも実がなっていた跡みたいな感じがする、何者かが木に登り、ナイフで実を枝から消えり落としたと…となると食べてもいい果実なのか?)
黄色く丸い実を取り口に入れて思いっきりかみ砕く
(見た目はリンゴに近いが中の触感はブドウに近いな、
皮が少し硬い、酸味もあるが食べれるな、もしかしたらこれは、かぶりつくのでは無く皮を切り中の果肉を食べるものかもしれないな)
実を数個取って地面に着地する。
「ごしゅじんこれはー?」
「ぐあいhしゃhgだいうかぢkっぢdhぢkhぢじゃじゃじゃy」キノコー
「今すぐ捨てようか」
泡を吹きながら発狂する紫色のキノコなど明らかに毒以外の何物でもない、
もしこれが毒じゃなかったら土下座でも何でもしてやろう。
(にしてもすごいな俺の脳内、下手したら魔境)
クロの手から素早く取り遠くへボッシュートする、
「さっきの黄色い実は食べれるみたいだ」
実を一つ渡すと、においをすんすんと嗅いでから食べ始める。
「食べながらでいいんだが、その実を取るときに、たぶん人かな?人がさっきまでいた痕跡を見つけたから、この近くにもしかしたら人が住んでるかもしれない」
「んー?」
「もう少し痕跡を探そうと思う、足跡でも見つかれば集落的な何かが見つかるかもしれない」
(見つけたところで友好的かはわからないが、魔女の家しかり、珍しいからって売り飛ばされたりしかり、
最悪の可能性を考えておいて損はないか、護身用に高校の時に買った木刀でも持ってればよかったんだけど、何でみんな買うんだろうねアレ、場の雰囲気と言うか、先人たちの残留思念?)
そこらへんに転がっていた木の枝を手に取る。
俺の肘から爪先くらいの長さだがないよりはましってくらいか。
「ごしゅじん!これなに?」
しっぽをふりふりさせながら草むらに頭を突っ込んでいるクロがそう言う。
一緒にのぞき込むと、湿った土に足跡のようなものがいくつも付いていた。
「クロでかしたぞ!」
クロの頭を撫でる。
「ごしゅじん♪私やくにたてた?」
「ああ、偉いぞ!よく見つけたな!」
目を細め気持ちよさように撫でられているクロ
(さてどうしたものか、足跡は右方向と左方向についている、つまりどこかに行って帰ってきている、問題はどっちから来ているのか、太陽はすでに登り切って少しずつ沈んでいる、俺は大丈夫だがクロの体力が、慣れない体と世界でどこまで体力が持ってくれるのかはわからない、
この足跡が何時ついたものか、どこまで続いているのかわからない以上、簡単に決めれるものじゃない、
もたもたしてても日が沈んでしまう、
それにこのトンデモ脳内だ道中何が起こるかわからない、
それなら"アレ"を使うか)
枝を地面に立てる。
「なにしてるの?」
興味深々と言った様子で棒を見つめるクロ。
「どちらに進むか迷った時にこうやって枝を地面に立てて倒れた方向に進もうと思ってね」
困った時の運頼みだ
「おもしろそー」
「じゃあクロやってみるか?」
「いいの!?」
クロに棒を渡す。
「いいか、力を込めずにゆっくりと離すんだぞ」
「んんんーーーーーーーーーーっ」
(力込めてますよこの子、まあかわいいからいいか)
「えい!」
(かわいい、じゃなくて倒れた方向は)
「上か」
「やったー!」
ぴょんぴょんと跳ねるかわいい生物を撫でてしまう。
「ごしゅじんいこー!」
「うん!いこー!」
足跡が続いている右でも左でもなく前へ歩いていくクロ、
その先にはなにが待っているのだろうか…
というか突っ込むべきなのか止めるべきなのか悩む俺であった