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第1撫で ~気が付いたら愛猫と異世界きちゃった☆~

そよ風が俺の頬を優しく撫でる、


(ああまるでなにか暖かなものに包まれているように心地良い、)



(まるで人肌の温もりに包まれているような……いやこれは聖なる母の胎内?)


「ごしゅじ…ま」


(なんだ?人が心地良い気分になっていたのに水を刺すような真似をしている奴。)


ゆっくりと薄目を開けると()()()の顔のようなものが目の前にある。


(なるほどこれは夢か)


そう確信する、何故なら自分の家で寝たはずだ。


「ごしゅじんさま」


体をゆっくりと起こし意識を覚醒へと導く。


「おきた!おきたよ!」


謎の存在が俺に抱き着き、頑張って起こした体が地面に倒される。



(太陽がまぶしいな。)



真っ白い視界が襲い来る眠っていたいという感情を吹き飛ばし、目をゆっくりと開くと。

知らない少女の顔が近くにあった。


腰まで伸びる綺麗な黒髪、宝石のように淡くきらきらとしているように見える黄色に近い色の瞳を持ち、

ワンピースを着た少女

少なくとも俺はこの少女を知らない。



「ここはどこだ?」


そんなつぶやきは少女には届かず、少女は一心不乱といったように俺の体に頬を擦り付けていた。


「ごしゅじん!よかった!いきてた!」


その様子が飼い猫によく似ていたので思わず、頭をなでてしまう。

きめ細やかなサラサラな質感の髪、やみつきになるように虜になりかける

女の子の髪とは皆このような感じなのだろうか?



妹や弟の頭をなでていた時はまた違った感覚だった気がするが、

この気持ちよさは何のだろうか?


「あの…ごしゅじん?」


思いにふけっていたら少女が話しかけてくる。



「ああ、すまなかった、いきなり頭をなでてしm「もっとなでて!」…はい?」


少女は頭をグイっとこちらに寄せてくる。

戸惑いながらも少女の頭を再びなでると、しっぽをぶんぶんと……しっぽ!?


左右に揺れるしっぽを観察する。

黒いしっぽだが先が少し白くなっている。


夢、コスプレ、獣人、ファンタジー、いろいろな単語が頭の中をぐるぐると巡るが



「クロか?」



俺が導き出した答えは愛猫のクロの名前だった。


「うんっ!クロだよ!」



少女ははっきりとそう口にした。



頭がショートしかけるがすぐに切り替える。


(まあ夢ならクロが人になっていたり何でもありか、

にしてもクロが人間になったらいいなと思ったか?

夢はいわば記憶の整理、あった出来事や、したこと見たものなどを

頭の中で整理するときに見るのが夢だ、と誰かが言った気がする

となるとどこかで人間だったいいなと思ったのだろう)



頬をつねるが、うん痛い。

夢の中で頬をつねると覚めるというのが嘘だと実感する。



撫でるのをやめるとクロは名残惜しそうに俺の手を見てくるが気にしない。

このままクロをなで続けて夢が終わるまで待ってもよかったのだが…


ぐうううーうーうーううーうーうーう


癒しの空間を断ち切るように俺の腹が鳴った。



「腹減った」


夢の中でも腹が減るものなんだな、

万国共通の事象だからか






「なあクロ」


クロはのんきに手の甲をなめていた、

人間になってもその動作は猫のころと変わらない


「ここどこ?」


「ご主人が知らないなら私わかんないよ?お昼寝してたらここにいたんだもん、ご主人が連れてきたんじゃないの?」


うん、何となくそんな気はしていた

喋れるようになったとはいえ、クロに聞いたことが間違いか


周りを見渡す


今いる場所は丘の斜面のような場所だ、ここを登っていけば何か見えるかもしれない。

しかし俺の記憶の中にはこんな風景存在しない、

物心つく前に見た風景が潜在意識的に反映されているのなら分からないが


「クロ上に行くぞ、何か見えるかもしれない」


「うん。」


クロは歩いてついてくるもちろん二足歩行で。



「なあクロ、猫みたいに四足で歩かないのか?」


「んー?歩けなくはないけどごしゅじん見たいに歩いたら、ごしゅじんに近づけるかなって。」


ワンピースの隙間から除く二つのふくr…げふんげふん

じゃなくて何だこのかわいい愛猫は、おっと冷静になれ。

相手は元猫だ俺はそんな変態ではない、

待てよ?今は人の姿だつまり女の子扱いすればいいのか?

難易度高いぞ?


「そうか、クロが歩きたい方法で歩けばいいと思うが。」


とりあえず当たり障りのない言葉を返す


「ならごしゅじんおんぶしてー」


首元に抱き着いてきたので、おぶる。


「おっふ----いやなんでもない気にするな。」


どうやら体重は見た目相応のようだ、どこまでリアルにするんだ夢さんよ


「クロはここに来る前どこまで覚えてる?」


この時点でもしかしたら程度でこれが現実なのじゃないかと感じている自分がいた、

その不安を抑えるために聞く。


「ごしゅじんがごはん置いて出かけて、帰ってきたらお昼寝しちゃって、わたしもお昼寝しよーと思ってごしゅじんの上でゴロゴロしてたらいつのまにか寝ちゃって起きたらここにいたよ?

そうだー最近ごしゅじんから他の猫の匂いがしてるよ!

なんで私意外の猫と遊ぶの!」


なるほど、猫好きの友達と(もちろん男だ、男二人で猫カフェって、とは思うが)猫カフェに行っていたのがバレバレだったようだ。

ここ数か月ぐらい猫カフェ帰りに機嫌が悪かったのはこのせいか

『私以外の猫と遊ぶな』ってヤンヤンしそうで怖いが、

猫ならひっかき攻撃か?痛そうだな


「昨日のご飯は?」


「いつもの固いやつ!!」


キャットフードだな。


「その前は?」


「固いやつ!あれマズイ。」


安い鰹の缶詰か、やっぱり安物はダメか、

いつもより食べる速度が遅くなっていた気がする、

完食はしてくれたのだが

次はおいしいの買うからな。


「二日前の夕飯。」


「ふわふわな入った魚!!毎日あれ食べたい!」


ANAZOMUで買ったちょっとお高い猫缶か、どうやらうちの猫は安物は好かずグルメらしい。


そうこうしてるうちに丘の頂上らへんにつく、

あたりを見渡すと、草原、SOUGENN 、そ!う!げ!ん!


「草原しかないじゃないか!!!!」


俺の叫びは風に乗って響く。


「ごしゅじんうるさい。」


なんだこの見渡す限りの葉っぱだらけな土地は俺に草を食べて生きろと、

【今話題の草食男子☆】ってか?古いわ!!

現代人だよ?お湯一つでラーメンが食べれるような時代の人だよ?バリバリの都会育ちだよ?

テキトーに食べて、毒でも食べたらどうすんの!?

こんなことなら店長がおすすめしてた野草の図鑑読めばよかった、

けどあの人が勧めてくる本謎すぎるからな、

《さぶろうさんの食進記》《商流研》《豚は三度飛びレースに出る》

《働きたくない星人が働かない方法》

最後のは店長が書いたやつか、店には何故かサバイバル系の本も置いていた気がする、

悔やんでも遅いが少しだけでも目を通しておけばよかった、

覚えておけるかどうかは別として


ふと眺めていると遠くに森のような木が生い茂っている場所を見つける。



(あそこなら果実が見つかるかもしれない、知らない草を食べるよりかは安全そうか、

途中に川も見えるし水分補給もできるかな)


「森があった川も見えるし、あっちに行くぞ!」


「おんぶー」


「たどり着く前に倒れそうなんで自分で歩いてくださいお願いします。」


この日初めてクロに頭を下げた、



少年少女は森に向かって歩き出す、どの渇きと空腹を癒すために。





------------------------------------------------------------------


その遥か上空雲の上に大きな島のようなものが幾つも浮遊していた。

島の一つ一つに大勢の住人が住んでおり、今日も平和に暮らしていた、



人口約15万と2千の人々を乗せている、

浮遊要塞都市【ファビリチュア】


そして今住人たちは空を見上げていた、

見上げた空に映しだされているのは一人の少女


体に見合わない少し大きめな軍服を羽織り、これまた大きな椅子に小さな少女が座っている。

少女の眼前には大勢の兵士が並び彼女に跪いている。


少女は一呼吸おいてから椅子に掛けていた剣を取り前に出る。


彼女が歩くたびに軍靴がかつかつ、カタカタと静寂な空間に鳴り響き、

銀のツインテールが揺れ、

頭上の太陽がまるで彼女を祝福しているかのように、キラキラと輝かせる。


台の上に立つ少女、


「親愛なる帝国国民諸君!誇り高き帝国兵団諸君!」


少女は赤い目をギラギラと光らせながら演説を始める。


「時は満ちた!今までの屈辱を晴らす時が来たのだ!

あの愚王どもにこき使われ、王国の言いなりになるのはもうおしまいだ!

偉大なる我々の時代がやってきたのだ!

さあ今こそ世界を統べるための第一歩を踏み出そう!

私を信じろ!帝国の栄光ある勝利と共に!!」


彼女は剣を高らかに掲げ宣言する。


湧き上がる群衆、船を揺らし、空を揺らし空気を震えさす。


------------------------------------------------------------------


「やっぱ自然の水はおいしいなあ!」


「うん!ごしゅじんがいつもくれる水よりおいしいかも!」



これから何が起こるかも知らない二人がのんきに水分補給をしているのであった。


「あれ?ごしゅじん、なんか揺れた気がする。」


「そうか?俺は感じなかったが」



悪雲の中に放りだされてしまった事を二人はまだ知らない。

今回から異世界ナデリストのんびりと更新していきます!


(最後暗雲じゃなくて悪雲なのは仕様です)

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