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ロトの当選数字は付箋の上(改訂版)  作者: s_stein & sutasan
10/18

10.またしても1等だった。買っていないけれど

 カナ子は椅子から立ち上がると、頭を抱えてベッドの上へ仰向けに倒れ、右に左に激しく転がった。万一当たったら超悔しいという彼女の言葉を、今実践している。


 冗談のつもりで1分ほどで書いた数字だが、本当にこれでロト8を買っていれば、一生遊んで暮らせる大金が手に入ったのだ。


 枕を両手で鷲づかみにして顔に押さえつける。


「うううううっ! なんてこった!」


 カナ子は急に枕を持ち上げた。


「これはもう、()()()()()としか思えない!」


 彼女は、記入済みの付箋に次の予想を追記しようとした。


 ところが、なぜか書き込めない。


 ならば、消そうと思って消しゴムでゴシゴシやったが、鉛筆なのに文字が消えない。カッターナイフで文字を削ることも出来ない。


 しからばマジックインキで、とチャレンジしたが、あえなく玉砕する。何をやっても追記できないのだ。


「そっか、一度書いたら追記も消すことも出来ないという付箋紙なんだ。聞いたことないけど。……なら、このまま証拠として残そう」


 普通ならこの段階でおかしいと気づくのだが、興奮状態なので自分で納得する理由をこじつけて、次の真新しい付箋を1枚剥がし、また鉛筆で書き込んだ。


 3, 13, 23, 33, 43, 46, 47, 48


 ロトのテクニックとして、下1桁を同じ数字にする場合がある。今回は下一桁が3の数字を全部選んで、43に3を足して46からは連番を考えた。3ずつ足すと50を越えるからだ。


 鼻息が荒いカナ子は、一度冷静になった。


「これも、あまりに規則的すぎて当たると思えないけど、これで万が一、億が一、兆が一、当たってしまったら……」


 自分に「降りてきた」のが本当なのか、次の日曜日を心待ちにする。



 すると、あまりに規則的すぎるこの数字が、また1等に当たってしまったのだ。


 またまた当選者なし。当選予想額は25億円。もし買っていれば、いきなり大富豪だ。


 カナ子は、笑って泣いてを繰り返し、頭を掻きむしった。


「二度あることは三度ある! 今度は予想した数字を買う!」


 彼女は3枚目の付箋に予想数字を書いて、宝くじ売り場に走った。



 次の日曜日、震える両手でくじ券を持って心臓のドキドキが収まらない中、PCで抽選結果を見た彼女は、白目を剥いて()()った。


 どういうわけか、予想した8つの数字は、()()()()()()()()()()のだ。しかも、かすりもしなかった。

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