ⅩⅧ
アルカンは駆け足で宿へ戻ると、
アルカン「ヨウナさんいますかー。」
とそこそこ大きい声で言った。
そうすると、奥の方から
ヨウナ「はいはい、今いくよちょと待ってね。」
ヨウナさんが出てきた。
宿の店主としてではない、身軽な格好で来た。
ヨウナ「結構早かったね、でどうすんだい?」
ヨウナとしてはこんなにも早く返答が来るとは思ってなかった。
きたとしても、二、三日後だと思っていた。
だがアルカンはそれ以上に早く決めたようなので、内心驚きながらアルカンの返答を聞いた。
アルカン「僕は一番早い方法の魔法弾を打ってもらうことにします。」
ヨウナ「・・・・・。本気かい?」
アルカン「はい、本気です。」
ヨウナ「・・わかった、そうなると少し時間がかかるから夕方になったらまた声をかけてくれ。」
アルカン「今すぐではないんですね。」
アルカンは今すぐにでもできると思っていたので、軽く驚いた。
ヨウナ「こっちの手はずとは違ったからね、少しばかし準備させとくれ。」
アルカン「分かりました。では夕方また声をかけます。」
そう言うとアルカンは時間を潰すために外に出た。
ヨウナは、想定外のことだったけれども全力でサポートすると心に決めていたことなので急いでアシクのいる学園へと走った。
学園につくと来客用のインターホンでアシクを呼んだ。
ヨウナ「アシクは居るかい、どうしても伝えたいことがあるから来てもらうようにできるかい。」
そのインターホンの応答を担当したのが偶然にも、アシクだった。
アシク「ん?ヨウナさんじゃないですか、今いきますよ。」
しばらくしてアシクがヨウナの前に来た。
アシク「どうしたんですか、ヨウナさん。アルカン君があなたの質問の答えを言いに行ったはずですけど。」
ヨウナ「その質問の答えで来たのさ、私やあんたが想定していた答えじゃなかったのさ。」
アシク「と言いますとアルカン君は一番遅いのを選びでもしましたか?」
ヨウナ「その方がよかったかもね、あの子が選んだのは一番早い方法の魔法弾を打ってもらうことだよ。」
アシク「・・・・・・・・・。」
ヨウナ「だからあんたを呼んだのさ、学園のあの施設ならいけるだろ。」
アシク「分かりました。すぐにでも準備しましょう。」
ヨウナ「よろしく頼むよ。夕方には来るからね。」




