↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

53/58

9 美少女戦隊と犬探し~戦い編~

今回は切るところがなかったので、長めです。

 ギースの「なんとなく、こっちのような気がする」という適当な台詞と共にフラフラと森の奥に入る。それに対し、アリスティールはともかく、クーも文句を言わずついて行く。


 道のない場所を雑草をかき分け、灌木を切り開いて歩く。30分ほど森の奥に入ったところで、良い香りがしてきた。美味しそうな肉汁が焦げる香り。


 その香りに近づくように森を歩くと、火にかかったスープの鍋と、木の枝を串にして焼けている鳥を、囲んで昼食をとろうとしているむさくるしい集団に出くわした。その近くに檻があり、黒い仔犬?が入っている。少し耳の先が垂れていて毛色は黒、日本で言うと柴犬程度、中型犬サイズの仔犬だ。顔は残念なことにちょっと怖い。


 男たちは見えているだけで、髭もじゃが五人いた。不意をつかれて驚いたものの、バネのように立ちあがりナイフや剣、思い思いの武器で戦闘態勢に入る。そして、言った。


「何故美少女戦隊とやらが、こんなところに居やがる!?お前らジジイに捕まって、娼館に売り飛ばされたんじゃないのか!」


 どうやら知り合いだったらしい。だが、洗濯されてない服に、ボサボサの頭と髭もじゃ。そのせいで私は誰かわからず、全く記憶は呼び覚まされない。そしてどうして、私たちが娼館に行ったことに??

 クーも疑問符一杯の顔だ。ギースに分かる?と聞こうとして振り返り、その姿がない事にアリスティールは気づいた。


「まぁ、いい。兄貴たちも一緒だ。ここで会ったが百年目、この前の借りを返させてもらうぜ!」


貸した覚えはないが、前も似たような台詞を聞いたことは思い出した。その台詞から街で絡んできたゴロツキの一人だと分かる。毎度芸のない台詞だが、その台詞に大喜びでクーが答えた。


「ここで会ったが百年目は、こっちのセリフだ。ノクターヌ領の平和のため、二度とそういう口が聞けないようギッタギタにしてやるわ。そして、そこのかわいいワンちゃんを返してもらうわ!」


 そう啖呵を切り、クーは快調に男たちをぶっ飛ばし始めた。一人二人と木に打ち付けられのびていく。私アリスティールは邪魔しないように、木の陰に隠れた。


 そのとき、突然クーの上から男がふってきた。降ってきたというより、急に空中に出現したようにも見えた。頭の上に落ちてきた男を避けきれず、クーは体勢を崩した。その隙に他の敵の攻撃がクーに入ってしまう。ドレスが剣で裂ける。血が見えないのは、赤い生地というだけでなく、鎖帷子のある前面だったからか。


「ギース、てめえ何しやがる!?」


 男が落ちてきた方を見上げて言ったクーのセリフに、アリスティールは耳を疑った。落ちてきたのは敵の攻撃ではなかったのか?よく見ると、落ちて来たのはさっきクーの攻撃でノビていた奴で、今も意識がない。


「クー、よくわかったな。アリス、クー、君たちはもう少し懲りた方がいい。」

「俺はアリ・・・イエローと違い、魔力の流れや誰の魔力かくらいは分かるんだよ。周囲にさっきまでなかった結界があることもな。」


 クーは完全に前世の口調に戻っている。

 アリスティールは辺りを見回すが、声は聞こえるのにギースを見つけられない。ゴロツキたちも同様だ。もう一人ノビていたはずの男が、クーの上に出現してまたもや動きを止められる。さらにさっき振り払った気絶男もさらに降ってくる。人間二人目落下速度こみ100キロは超える重みに、さすがのクーも地に這った。


「ギース、こいつらの味方だったのか?はめたな!」


 しかし、ゴロツキたちも戸惑っている。クーに攻撃するチャンスではあるのだが、攻撃するには仲間の体が盾になっている。そして、次々仲間の体が空から降ってくる状況は、ゴロツキたちにも恐ろしい状況だった。


「俺は誰の味方でもない。君たちは盗賊狩りや魔物退治ってものを舐めすぎだ。そんなのは怖いもので嫌なもので、楽しいものじゃないとだと知った方がいいと思ったのさ。命のやり取りは、遊びじゃないんだ(・・・・・・・・)。」


 ギースを探してたせいか、相手が気配を消すのが上手だったからか。

 隠れていたらしい男が、アリスティール後ろに立ったのに気づかなかった。気づいた時には毛むくじゃらの腕が、アリスティールの首に巻き付いていた。固い筋肉に吊り上げられた形になり、アリスティールの足は宙に浮いた。足をジタバタさせ腕を外そうと抵抗するが、動きを止めようと首を締める力がより強くなる。

 空気が吸えず喘ぐアリスティール。太い腕にもう少し力を入れられたら、子供の首など簡単に折れそうな力。男は勝利を確信したのか、笑いながら投降を呼び掛ける。


「そこの赤いの!あと声だけのやつ!大人しくしろ!大人しくしないと、この黄色い娘の命は」


ない、と続く予定だったのだろう。


 バシュッ


 何か飛ぶような音と共に、男の言葉は悲鳴に変わった。男は血が噴き出す肩を押さえて、地面をのたうち回る。アリスティールは地面に放り出される。

 腕が喉から外れたことで、やっと息ができるようになって、アリスティールはげほげほと咳き込む。自分の咳で揺れる視界、少し離れた位置にカエルの仮面を付けたギースが立っていた。


「アリス、いやイエローから汚い手を離せ。って、もう離れてるか。」


 ギースは自嘲するように笑う。ギースさっきから、私の名前が全然隠せてない・・・。まぁ、クーもギースって呼んでるが。でかい図体の男はまだ、泣きわめきながらのたうっている。


「うるさいな。」


ギースがその側頭部を蹴り飛ばす。アリスティールを人質にした男は、あえなく意識を手放した。


「そこのカエル仮面。神出鬼没でギースって名。妖精の守り手とか人外どもに呼ばれてる、アリアスト家の化け物小僧か!ここはアリアスト領じゃないのに、なんで出た?何かに追われてこの森に逃げて来たが、他の仲間が消えちまったのは、お前のせいか!?」


 まだ、無事だった男たちの一人が、呻くようにギースに詰問する。ギースは一部に答え、一部はスルーする。


「随分俺も有名になったな、妖精たちがそう呼んでるのは知ってたけど。化け物小僧かぁ。そんな呼び名も増えたんだね。まぁ呼び名が増えないように、会ったやつは全部片づけたつもりだったんだけどな。」


質問とも、述懐とも取れるギースの言葉に、怯えた様子の男が答え喋り続けている。怖いのだろう、早口で必死で鼓舞し、脅し文句を吐く。


「辺境から帰ってきた奴がいたんだよ、すぐ死んだが・・・。あと見つからず、遠くから見てたやつもいる。もう、お前の存在はバレてる。俺らの後ろ楯はすごいんだぞ。沢山の仲間を擁した組織なんだ。そいつらがいつかまとめてお前を」

「そうか、生き残った奴がいたなら、今度はもっと遠くに捨てようか。」


刃物より鋭く、氷より冷たい言葉だった。カエルの仮面をつけたギースの小さな体が、男には冷たい気と存在感で膨れ上がったように見える。自分の運命を悟った男の顔色は、死神を見たように真っ青になった。三人の男たちは武器を持ちながらも、持ち上げる事もできず座り込んだ。

 逃げ出さないのは、もう無駄だと知っているから。彼らがこの森にいたのも、もう逃げに逃げた結果だったのだ。






 クーは気絶した男たちの下から這い出し、アリスティールの傍に行った。もう、舞台の中心には二人はいず、観客の立ち位置だ。


「なぁ、アリスティール、お前の幼馴染って聞いてた話と随分違うんだが。ちょっと間抜けで、優しくてお人よしみたいに聞いてたんだが。なんかやばいやつじゃない?」


疲れた声で、クーがアリスティールに問う。アリスティールの脳味噌はパンク中だった。


「あれ、ほんとにギースなのかしら?もしかしたら、呪いの仮面で人格変わるとか?」

「仮面はレッドお手製、昨日作成のカエル仮面なんだが・・・・。」


異世界に来てずっと頼ってきたギース。その彼が、どこかに行ってしまったような不安に、アリスティールは現実逃避した。






 

 少し落ち着いた後、何故か男たちに食べ損ねた食事を食べさせるギース。肉もスープも少し土がかかったが無事だったらしい。肩に怪我をした男には治療もさせた。

 アリスティールは勇気を出して、ギースに近づき質問した。食べさせた後所要時間一時間とはいえ、全員が馬車に乗れる気がしなかったからだ。


「彼らは役人に引き渡すの?」

「いや、そこは任せて。二人はこの犬を連れて馬車で待ってて」

「「はい」」


 二人の返事はハモった。

 犬が大人しくしてくれる保証がないので、檻のままクーの怪力で運ぶ。


 10分程度でギースは馬車に戻ってきた。

 クーを外に待たせて、アリスティールは着替えを済ませていた。クーに仮面はつけておくように言われて、普通のドレスに仮面姿で待っていた。


 森から出てきたのはギース一人だった。男たちがどうなったか、アリスティールの方は聞こうとはしたのだが。「何?」と返ってきたギースがいい笑顔過ぎて、怖くて結局聞けなかった。

読んでいただきありがとうございました!


主要登場人物、皆10歳にもならない子供ばかりです。

なんとなく言ってみました。


土日仕事のため、明日の更新まではできるのですが

明後日になる月曜日は、リブートと美少女戦隊の二作ともお休みさせていただきます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。