30 章の終わり
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紆余曲折はあったものの、アリスティールはノクターヌ領に帰ることができた。さらに、お土産を沢山持って帰る事ができたのだ。国王陛下からは母上や父上には装飾品やお酒、沢山のお金もお礼として渡されたからだ。
アリスティールへのお礼という形でもらった、クーちゃんへのお土産もばっちりだった。
まずは、数種のドレスの型紙。ヒルダ様にはそれだけを頼んだはずが、ついでにそのドレスに使える布地や糸。ギースに買ってもらったリボンにレース、ボタン等をお詫びとして渡した。
お詫びの意味がわからず、クーちゃんは大喜びして受けとる。その意味がわかったのは、アリスティールが環境映像装置を返した時だった。
「私のお宝、プリティーなマイエンジェル映像が消えてる!」
クーちゃんは悲鳴を上げた。アリスティールは何がマイエンジェルだ、自分の姿だろうが!と心の中でクーちゃんに蹴りを入れる。クーちゃんが宝物のようにしていた自撮り映像は、環境映像装置から全部消えて初期化されていたのだ。ついでに他の風景画像も消えていた、というか消した。海のないリンドアリア王国では、海の映像は貴重だったのにと、クーちゃんはその点でも肩を落とした。
実際、シグリート王子は環境映像装置を何度も触りたがった。どうにかして、再度クローディアに会えないかと試行錯誤していたのだ。所詮は魔法装置、映像があると再生してしまう。そのため、早々にアリスティールは中身を消したのだ。実際のところクローディア映像も困るが突然、海映像も困るためアリスティールには初期化しか方法はなかったのだ。
事情を話すと、クーちゃんはあっさり諦めてくれた。
「仕方ないわ、お宝映像はまた貯めるわ。とりあえず、早速この型紙でドレスを作ってみるわ。この布とか光沢とか手触りが素敵!薔薇の刺繍とか入れるのもいいわね。」
ちょっとご機嫌で、布やその他をあーでもないこーでもないと合わせて、デザインを考え始めた。
クーちゃん曰く、ボランティア活動に使うと言ってたが、「随分豪華な衣装になりそうね」と言うと、出来上がってからのお楽しみよ、と可愛くウインクされた。美少女は何をしても決まるのがすごいなぁと、アリスティールは変なところで感心してしまった。
その後クーちゃんはは二ヶ月以上、型紙と布地と格闘していた。まずは、最初は近所で買える安い素材で、その形になるか練習作品を複数作った後、ヒルダ妃からもらった最上級の素材に手をつける。アリスティールも練習代として採寸され、練習作品を着て余裕がどんな感じになるかとか、色々確認された。コルセットありきであまり動かない前提のドレスと、大きな動きがある前提で作る場合は、デザインが異なってくるらしい。
クーちゃんはかなり凝り性だった。さらにこの世界では、ミシンがあるわけじゃないから、縫うのに時間がかかるらしい。結果、庭から出てよくなってからも、少しの間ドレス作りに夢中でずっとクーちゃんは縫い物をしていた。
そして、ついにその結果が出る日が来たのだ。
「出来たわー♪見てー♪アリスティールー♪」
ある日クーちゃんが歓喜の声で、秘密の庭に入ってきたばかりのアリスティールに駆け寄ってきた。珍しく興奮していて、出来上がったばかりのドレスを、体に当てて見せた。
女性はあまり、足を見せないこの世界なので、少しドレスの丈を短くした程度の衣装だったが。フリルやレースにリボンがあしらわれ、子供なら憧れの目で見るドレス、それは、日本で見たようなとある系統の衣装だった。
「ねえ、聞きたいんだけど、その衣装どう見ても魔法少女系のコスプレに見えるのは気のせい?どこに着ていってボランティア活動をするの?クローディア。」
「コスプレじゃないわ!今の私は魔法使えるから、『真・魔法少女』よ⭐️あと、私はあまり出歩けないから、もちろんこのノクターヌ領でこのドレスを着て、ボランティアと言う名の正義の味方をするのよ!」
「・・・マジで?」
アリスティールは一瞬固まった後、我に返った。
「31歳の大人がやる事じゃないわよね?!つか、今もう合計40歳近いわよね?その年でその趣味嗜好はありえないんだけど!変態?」
「年で決めつけるな!そういう固い化石みたいな考え方だと大事なものを見失うぞ!何より俺の肉体年齢は今ピチピチの7歳だ!」
クローディアが剥がれて、大輝の口調になっている。
「そんなことより、どう見ても不審者よ不審者。こんな田舎で魔法少女やったら目立って仕方ないわよ。不審者として即通報されるし、私は領主の娘としてそんな風紀の乱れは絶対止めるわ!」
「大人がやったら不審者だけど、今俺は絶対の正義、何をしても『子供がやることだから許される』という、立派な免罪符を持っている!」
クーちゃんは怯まない。
「そして、アリスティールはそんなことは言えないはずだ。これは、何かわかるか?」
ニヤリと意味深に笑って、紙を一枚出してくる。
「全てを俺と共にするという契約書だ!」
クーちゃんが『情報の対価にクローディアがやるボランティア活動に必ず協力します』と書かれた契約書をヒラヒラさせる。
なんだろうデジャ・ビュ。因果応報か似たようなことを、シグリートやコンラートにやって従わせたのは誰だろう?クーちゃんは余裕の勝者の笑みを浮かべ、アリスティールに希望を聞いてくる。
「もちろん、貴女も一緒に衣装を着て活動するのよ。今から縫うけど何色がいい?わたくしはヒロインの赤をとったから、黄色?青?緑?」
「いやあああ、こんな田舎でそんな変な魔法少女コスで目立ちたくない!!私は領主の娘で顔も知られてるのよ~!!」
想像すると真剣に泣けてくる。
「大丈夫!仮面をつけるから!どんなデザインにしようかしら。」
「余計怪しいわ!余計目立つわ!絶対目立つわ!!」
「まぁ、正義の味方だし、目立ってなんぼよ!諦めなさい!!最初は盗賊退治とかゴブリン退治で、魔法バンバン撃ちたいな!なんか戦うから、美少女戦隊って感じよね!」
「美少女戦隊って、自分で言って恥ずかしくないの?!そこに私が参加っておかしいわよ!」
「照れない照れない、可愛いわよ、アリスティール、ちょっと地味だけど、衣装とメイクで大丈夫!」
うふふと花のように、クローディアが微笑う。
「これからノクターヌ領の平和のため、美少女戦隊一緒にがんばろうな!アリスティール!」
最後は『大輝』の口調になって、紅の髪の美少女は可愛くウインクをしてみせた。
序章というか1章が終わりました。
思ったより沢山の方に、見ていただけてとてもうれしく有難いです。本当にありがとうございました。
ちなみに、ここまでがタイトルの美少女戦隊結成までの物語で、『秘密の花園』がメインテーマで動いておりました。イメージより長く、重めの話に気づいたらなってました(^^;
また、二章からは今までのタイトルに+αになって、タイトルが少し変更で長くなります。
二章への準備期間に、キャラ説明的なものと、幕間的なものを三つあげる予定です。
そのあとGWで5月7日からまた毎日出来るよう準備しますので、また読みに来ていただけると幸いです。




